京都の千本釈迦念仏 | アジアのお坊さん 番外編

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 京都の千本釈迦堂で、毎年変わらず3月22日の午後2時から、 千本釈迦念仏、仏遺教経会(ぶつゆいきょうぎょうえ)が執り行われます。
 
 昨日、ご随喜させて頂いたのですが、普段は上がれぬ正面の階(きざはし)を誰でも自由に上がらせて頂き、来るもの拒まず法要に参加できるよう、お経のコピーを皆々に渡して下さるのが、この法要の有り難さです。
 
 2月15日の釈迦涅槃会を、旧暦に合わせて彼岸会も兼ねた3月に、お釈迦さま、すなわちブッダ最後の教えを説く仏遺教経(ぶつゆいきょうぎょう)が、古式ゆかしい美しい節回しで、出仕のご僧侶方によって唱えられます。
 
 ブッダが初めて法を説いた五比丘の内の一人である阿若憍陣如(あにゃきょうじんにょ)から、最後の弟子となったスバッダに至るまで、洩れなく法を説き終えて、今やブッダは沙羅双樹の下で、最後の法を説き始めるというのが、この経文の内容です。
 
 少欲知足を心がけ、修行にふさわしい静かな場所で怠りなく精進し、よく省察して智慧を求めよと説く訓み下しの漢文の経文と、「南無釈迦牟尼仏」の念仏が、流麗な調べで国宝の本堂に響く中、最後に参拝者全員で、般若心経の読誦です。
 
 そして一年に一度、この日だけ掲げられる涅槃図の前でご僧侶方による法楽、それから導師を勤められたご住職が、いつものご親切なお人柄そのままに、落ち着いた的確なご挨拶を述べられて、法要は滞りなく終わりました。
 
 「徒然草」にも見える由緒あるご法要、228段と238段に、この念仏の始まりについてと、兼好法師が2月15日に釈迦堂へお参りした時に起こった出来事が記されていますので、是非、原典に当ってみて下さい。そして、ご興味を持たれた方は、是非、来年にお参りされることをお勧め致します。
 
 
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