世界初の名探偵オーギュスト・デュパンが登場する、世界初の探偵小説「モルグ街の殺人」の冒頭で、作者のエドガー・アラン・ポーは「分析的知性」についての見解を述べている。
デュパン登場第3作の「盗まれた手紙」には、手に隠したおはじきの数の丁半を当てるのが得意な子どもの挿話があり、相手と同じ表情を作り、相手の心理を読み取る極意が述べられている。
「D坂の殺人事件」で初登場した高等遊民の明智小五郎は、僕は人間を研究しているんですよと洩らし、後のある作品では、人が小さい頃から何百回と反復して習慣化していること、手拭いをどちらにねじって絞るか、靴を履く時、右足から履くか、左から履くかというようなことに、常に注意を払っているとも説く。
泡坂妻夫が生んだ異色の名探偵、亜愛一郎は「G線上の鼬(いたち)」の中で、人はなかなか気まぐれな選択ができない、たとえば気ままな散歩をしているつもりでも、いつしか同じ道ばかりを人は歩いてしまうものだと語る。この探偵は、人の奇妙な物の考え方や行動から発生した事件を解き明かすことが多い。
人の心にはそれぞれ固有の癖がある。怒りやすい人は、この世を悪意に満ちたものとして解釈し、お金にしか興味のない人は、人の行動を、お金を基準にしてしか、理解できない。注意力の足りない人は、大きな事故も、小さなミスも、同じくちょっとした雑なうっかりから引き起こし、人に指摘されても聞く耳を持たない。
自分自身では、自分の心や思考や行動に、一定のパターンがあることにはなかなか気づかないものだから、小さい頃から何十年にも渡ってこびりついた頑固さを解きほぐすのは容易なことではないけれど、しかしそのパターンの原理自体は、至極単純なものだから、正しい見解によって客観的に物事を分析する訓練を積めば、心を解きほぐし、整えることは、どんな人にとっても、決して不可能ではないはずだ。
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