人は年を取ると、丸くなりますか?…そして、縁なき衆生は度し難いですか? | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

 あの人は年を取ってから、角が取れて丸くなった、という表現をよく聞くかと思えば、年寄りは頭が固い、あの人は年を取って益々頑固になったというような言い方も、よく耳にします。

 多分、人間の心と頭は、意識せずに放っておくと、自然と頑なになるのでしょう。何千回、何万回という反応の集積は、自ずと自分が行動しやすいスタイルを築き上げ、がちがちの「我」というものを作るのでしょう。

 縁なき衆生は度し難しという言葉は、生まれもって悟れない条件を備えている人々を指す一闡提(いっせんだい)という言葉とか、すべての者が悟れるかどうかの一乗論争、仏性論争といった、難解な仏教用語とは関係なく、世間で日常に多々お見受けする、がちがちに頑固な人間を見た人々が、ため息混じりに洩らした言葉なのでしょう。

 反対に年を取って丸くなる人というのは、人生の場数を経た中で、自然と心がほぐれた方もあるでしょうけれど、多くはやっぱり何度もいろんな場面に出会うたび、段々と我を抑えることに慣れてきたり、これでは駄目だと少しずつ、心を鍛えた方なんだと思います。

 年を取って丸くなるより、頑固になる方が簡単なので、世の中には我の強い人が多いのだと思います。けれどそれは、ある種の人々にとっては我を離れ、丸くなるのが無理だということではありません。すべては自分次第です。

 角が取れ、丸くなるように努めましょう。角が取れるという言葉は、とてもいい言葉だとは思いませんか?

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