1990年代の初め頃、ハードカバーのテキストを別にすれば、一般書店で普通に手に入るヒンディー語の本は、白水社の「エクスプレス ヒンディー語」と、「地球の歩き方 旅の会話集 インド・ネパール」くらいで、後者が出た時には、こんな手軽なヒンディー語トラベル会話集が出る時代になったんだなあと思ったものだ。
今や若い女性を意識したような、かわいい作りのヒンディー語会話集が白水社からの数種類を始めとして、JTBやその他あちこちの出版社からいっぱい出ている。普通にインドに行く人が90年代から2000年代にかけて増えたことの、一つの証しでもあると言えるだろう。
そしてこの文章を書くために調べたら、白水社のエクスプレスシリーズはいつしかニューエクスプレスシリーズに変わり、間違いが多いのでネタにしようと思ってた「地球の歩き方 旅の会話集」のインド編は、いつの間にか絶版になっていた。
話は逸れるが、インドでしつこいリキシャワラーや物売りを追い払うのに、「チャロチャロ」と言う人がいたり、ブログや本に書いてあったりするが、「チャロ」では「行こう」、「一緒に行こう」の意味になってしまう。
追い払うなら「チョロチョロ」だ。元は「チョルナー」という動詞で、離れる、放つといった意味。命令形のきつい言い方が「チョロ」で、もう少し丁寧だと「チョリエ」となる。「手を除けろ!」、「触るな!」という時には手を表す「ハート」を付けて、「ハート・チョリエ」と言う。
悪いインド人に「神さまが見てるよ」とヒンディー語で言ってやったら相手のインド人は絶対に言い返せない、と旅慣れたつもりのお方が「地球の歩き方」の投稿に書いておられるのを読んだことがあるが、同じような言い方をして、「ああ、見てるとも! お前のこともな!」と「悪者」に言い返されてる日本人を目撃したことがあるので、注意しましょう。
ちょっと喋れたつもりになるくらいで良ければトラベル会話集でもいいけれど、もう少しと思うなら、やっぱり文法を学んだほうがいい。「ニューエクスプレス ヒンディー語」、関係代名詞あたりでつまずきそうになるかも知れませんが、お勉強するなら是非この本で。