京都の地蔵盆とヒンドゥー教のプージャ、そして北野の天神市 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 関西地方の内でも、特に京都の地蔵盆が盛んなのは有名だ。今年8月の地蔵盆が終わって、各町内のお地蔵さんは新たに色を塗り直された。

 激しく彩色された京都のお地蔵さんたちを、初めて見た時には驚いた。色もさることながら、こうして本尊に色を塗り、祭の度に新たに賑やかに供養するこの感じが、インドのプージャ(祭)を思い出させたからだ。

 日本語の「供養」という言葉自体が元を正せば「プージャ」を漢訳した仏教語ではあるが、神像供養を核とするインドのプージャと、京都の地蔵盆を始めとする石仏彩色儀礼には、きっと何らかの関連があるだろうと思う。

 さて、地蔵盆も終わり、25日は月例の北野天満宮の天神市で、関西では京都東寺の弘法市と大阪四天王寺の太子会も有名だが、私はとりわけ北野の天神市が好きだ。骨董屋台やテキヤさんと、若い人たちの出店数の程合いがちょうど良く、こう言っては失礼ながら、「こんなもんでも並べといたら、どこぞのアホが買うて行くやろ」という落語「道具屋」の台詞を地で行くようなお店から、アジアを旅して集めた雑貨を売っているようなお店まで、実に幅広い品揃えだ。

 ウンチクをかまし合うすれっからしの客と店主、やたらと買い込んでいる西洋人旅行者、インド帰り風の若夫婦から美大生にゴロツキ、お客さんを見ているだけでも楽しい、ここは人間たちの蚤の市だ。

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