タイで修行できると決まった時、同じ宗派でタイ修行経験のあるお坊さんが私にこう言った。「いいか、タイで日本人だと言ったら必ず太平洋戦争のことを聞かれるぞ。あの戦争の意味とは何だったのか、自分の中で答を出しておくように」。多分彼がタイで修行したのは、反日運動盛んな1970年代だったのだろうか。1990年代初頭にタイに行った私に初めて話しかけてきた一時出家の若いタイ人はこう言った。「日本人? シティーハンターのサエバリョウを知ってるか? モッコリって何だ?」。
あれから15年が過ぎ、一休さんは当時ほど人気がなくなったがドラえもんやクレヨンしんちゃんは今もタイでは人気だ。日本のアニメが日本を代表する文化だと、日本の政治家や文化人が認めるようになって既に久しい。
以前はインドで日本のアニメを見かけることはまずなかった。日本人旅行者の多い町でドラえもんの絵を描いた屋台を見かけたのと、南インドで中国製らしきドラえもんのバスタオルを見かけたぐらいだ。今は衛星やケーブルの普及でアメリカアニメほどの人気はないにしろ、クレヨンしんちゃんの「メーラーナームシンチャンヘ」とか元祖天才バカボンの「これでティークへ」といったヒンディー語の主題歌がテレビから聞こえてくるようになった。今や「こち亀」までインドで見ることができる。
一方で韓国ドラマは日本のみならず、アジア中で人気だ。しかしタイのレストランで従業員が仕事そっちのけで韓国ドラマを見ていても違和感はなかったが、あるインド人家庭に招かれての食事中、韓国ドラマが始まった途端に家族全員が会話をぶち切ってテレビに釘付けになったのには驚いた。インド人をも引き付ける、韓国ドラマの魅力は大したものだ。
ところでインドのヨガはタイや韓国でも人気で、日本同様、若い女性を対象にしたおしゃれなヨガ入門書が書店に溢れている。アメリカ経由のブームでありながら、ヨガをきっかけにインドに出かける日本人女性が増えていて、インド旅行者の新しい潮流になりつつあるし、女性誌でインド特集が組まれることも多くなってきた。バリやドバイを想像してインドに行ったOLが、腰を抜かさなければいいのだけれど。
少しずつ、少しずつ、メディアの発達がアジアの文化を混合させつつあるように思う。
※ヨガについては2007年12月12日付「サドゥー!サドゥー!サドゥー!」もお読み下さい。
海外の一休さん事情についてはホームページ「アジアのお坊さん」の「アジアの一休さん」
及び「アジアのお坊さん映画2」を御覧ください。http://www.geocities.jp/piparpati
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