リダクテッド 真実の価値 | 【映画とアイドル】

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🎬『リダクテッド 真実の価値』

         REDACTED (2007)

 

【テーマ:ブライアン・デ・パルマ監督】

 

 

 

ベトナム戦争におけるアメリカ兵によるレイプ犯罪を真正面から描いたブライアン・デ・パルマ監督の『カジュアリティーズ』がボクは戦争映画の中で一番好きというか感銘を受けたんですが、

 

そのデ・パルマ監督がイラク戦争を描いたというので映画館で観たかったんですが、

たしか限定公開で公開館数が少なくて見逃していました。

だから 未見のデ・パルマ作品の中ではずっと一番観たい作品でした。

でも戦争映画ってリアルであればあるほど重たい気持ちになるので

なかなか観るタイミングがありませんでしたが、

今年の自分の中のデ・パルマブームと、

四年近く前のロシアによるウクライナ侵攻以降の世界情勢、

ここのところのアメリカの横暴ぶりを見ていたら

今こそ観るべき作品な気がしました。

同じくイラク戦争を描いた『ウォーフェア』が公開中で 観たいと思っているので

その前に観たいと思いました。

 

 

 

【ネタバレ】

 

 

 

 

ボクが苦手なモキュメンタリー手法を使っているというのが不安でしたが、

ずっと兵士が撮ってる映像というわけではなくて、

普通の映画としての映像とビデオ映像を交互に見せる演出で、

手ブレ映像が苦手なボクは助かりましたが、

ビデオ映像がありがちな動きが激しいものではなく

会話のシーンが中心なので酔わずに済みました。

 

 

出演者みんな素晴らしい演技だったんですが、

知らない俳優さんばかりだったので貼っておきます⤵

海外のサイト⤵(こちらの方が顔と名前が一致します)

https://www.imdb.com/title/tt0937237/

 

 

 

 

 

 

 

イラク戦争における2006年に起こったマフムーディーヤ虐殺事件を元にした作品で、

アメリカ兵による14歳のイラク人の少女への集団レイプ、

少女とその両親・妹を虐殺したという余りにも酷い事件を描いていますが、

ボクはこの事件を知らなかったので、見ていて辛かったものの

こういう事件が実際にあったことを知れてよかったと思いました。

この作品は、アメリカ兵による酷い犯罪行為を見た者に知らしめるだけでも充分に価値のある作品と言えます。

 

 

冒頭に「この映画はフィクションである」とテロップが出るから

(最初から逃げ腰か‥)と少しガッカリしましたが、

【REDACTED:削除された】=“機密情報や不適切な内容が含まれる文書や記録から、それらの部分を黒塗りや空白などで隠して、公開可能な状態にしたもの”

日本でもよく見る黒塗りされた資料を揶揄するかのようなセンス抜群なタイトルの出方でまずヤラれました。

この作品を「フィクション」と呼ぶことが真実を隠蔽しようとするアメリカへの痛烈な皮肉になっているとボクは思いました。

 

 

 

 

実際この作品自体もリダクテッドされたに近い扱いを受けて、

アメリカでまともに公開されず、興行収入はほぼ無いに等しい結果に終わっています。

思うに、『アンタッチャブル』が大成功した後に大スター二人を主演に据えた『カジュアリティーズ』が興行的に苦戦したのも、

デ・パルマ監督がアメリカ兵による犯罪を断罪していたことに対して抵抗を覚えるアメリカ人が少なからずいたことを表していたと思います。

 

本作を「後味が悪い」とレビューされてた方を何人か見ましたが、

戦争映画なんてむしろ後味が悪くあるべきで、

でも本作のそれは後味が悪いというものではなく、

観た後も考えさせられるエンディングでした。

 

(またレイプか‥)と重たい気持ちになりましたが、

そういう残酷な事件が起こってしまうのが戦争の真実でもあります。

 

 

 

戦争映画でありながら 主な舞台が検問所というのが珍しかったんですが、

そこを通る姉妹に目を付けたアメリカ兵が

その子たちの家に兵器や爆弾が隠されているという理由で押し入るのが

まるで“大量破壊兵器があるから”とイラクに攻め入ったアメリカそのもので

デ・パルマがまたもアメリカという国を真正面から批判しているところに

彼の意志・意地みたいなものを感じました。

 

 

検問所のシーンでは大そうな劇伴がずっとかかっていて意外なほど映画的なんですが、

それはおそらくドキュメンタリー風のビデオ映像とのメリハリをつけるためのように見えました。

メリハリといっても ビデオ映像も会話のシーンが中心なので、

一番動きのあるシークエンスが少女の家に押し入るところというのがなんとも‥。

 

 

 

 

普通の戦争映画であれば戦場におけるイラク兵との戦いのシーンが見せ場になるはずですが、

検問所が主な舞台やから戦闘のシーンはなく

アメリカ兵が罪のない民間人を殺してしまうシークエンスが象徴的に描かれます。

しかも殺されてしまうのは妊婦‥。

 

 

 

先に 検問所に掲示されてる看板の文言を誰もが理解できるわけではないことが示されるので、

国の違いによる意思疎通の難しさが悲劇を招いたとも言えます。

 

本当にフィクションとして描くなら、

この検問所でアメリカ兵がテロに会うシーンを入れそうなものですが

それは無いところに、

アメリカ側を完全に加害者として描こうとするデ・パルマ監督の意志を感じます。

ありもしない大量破壊兵器のためにどれだけのイラクの民間人を犠牲にしたのか、ということです。

舞台を検問所にしたことで、戦争というものがいかに市民生活を苦しめるものか見てとれるのが

本作最大のポイントやと思います。

終始 市民生活の中にいるアメリカ兵の姿を描いた映画を他に知りません。

 

デ・パルマ監督の偉いところは、普通の監督なら描きそうな

アメリカ兵と市民とのコミュニケーションの部分はほぼ描かないところです。

安易なヒューマニズムは徹底して排除し、

アメリカという国の傲慢さしかそこには見えません。

それもまた事実だからです。

 

 

アメリカ兵に降りかかる悲劇ももちろん描いています。

 

 

 

 

 

デ・パルマほど映画のエンタメ性を表現できる監督もそうはいないと思いますが、

『カジュアリティーズ』と本作においてはそれを一切排除しています。

だから観ていてしんどいし、観終わった後も重たい気持ちになるし、

こうやってブログを書くのも楽しくありません。

それだけ本作は戦争の悲惨さ・酷さを描けているということで、

だからといって映画として傑作とは思わないものの、

非常に意義深い作品なのは間違いないです。

 

 

 

アメリカという国を悪として描いても、アメリカ兵を悪として描いているのではなく、

善良なアメリカ兵も、その家族も描くことで

アメリカという国家が戦争を起こしたこと自体に対する批判を描いていると思いました。

 

 

 

一家虐殺のシークエンスはビデオ映像にしたことで

過度に生々しく描いていなかったからまだ見れました。

いや、傍観するしかなかった兵士の気持ちで見てたかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

テロの連鎖・暴力の連鎖が無くならないのはこういうことなんですよ。

現にいくつもの戦争が起こってしまっていることで

この先また何十年も暴力の連鎖が続いてしまうのは間違いないと思います。

ロシアによるウクライナ侵攻以降、ボクは未来に理想的な世界像を描けなくなりました。

 

 

彼は基本的には善良な青年やったと思いますが、

自分がやったことの間違いに気づくのが遅すぎました。

 

 

 

伍長として事件を防げなかったからこその贖罪に見えました。

 

 

 

残酷な処刑を当然のことのように見てしまいました。

 

 

 

SNS映像も多用しているので、イラク戦争が現代の戦争であったことがよく分かります。

 

 

 

悪い奴ほど大義名分を振りかざす。

一兵士も大国も同じです。

 

 

 

アメリカは‘世界の警察’みたいな顔をしながら、

結局は自国の利益しか考えていません。

今のトランプ大統領を見てますますそう思います。

 

今 本当に酷い世界状況やからこそ

このタイミングで観てよかったと思いました。

 

アメリカはベトナム戦争やイラク戦争の失敗を反省していません。

たくさんの民間人を巻き添えにしてしまったこともです。

 

 

戦争から生きて帰ることができた兵士も一生心に傷を負うことになります。

 

 

 

エンドタイトルで実際に被害になったイラクの人々の姿を映すところに

デ・パルマ監督の‘戦争反対’という明確で強い意志を最後まで感じました。

 

 

(ここから実際の写真と思われるものが続くのでご注意下さい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幼い子供たちがこんな酷い目にあってしまうのが戦争です。

 

 

デ・パルマは最後に、一見して作り物の画像と分かる

少女が焼かれてしまったような死体の画像を見せます。

実際の写真の後にわざわざそんな画像で締めたのは何故なのか?

ボクは考えました。

デ・パルマは世には出ていない悲惨な戦争の事実がたくさんあるということを伝えたかったんじゃないか?と。

本作自体がまさにそういう作品だからです。

 

 

デ・パルマはもう85歳ですが、

かってないほど戦争の危機にさらされている今の世界を見て

きっと心を痛めてると思います。

まだ作品を撮る元気があるのなら、

現代の戦争を真正面から描いた作品を撮って

戦争というものを世に問うて欲しいです―。

 

 

 

 

 

「検問所で殺されたイラク人2000人のうち“敵”は60人だけ」

「この件で有罪になった米兵はいない」

 

 

 

デ・パルマ監督はアメリカ兵を批判しているのではなく、

ベトナム戦争の反省もせず、

他国を土足で踏みにじる戦争を繰り返す

アメリカという大国を断罪してるんやと思います。

 

この頃SNSを見てたら

やたら好戦的な人たちを目にしてゾッとします。

本作は映画として面白いものとは言えないけど、

それでもボクは今観てよかったと思いました。