【Cloud クラウド】~黒沢清監督が描く 現代におけるネット社会と集団狂気の恐ろしさとは? | 【映画とアイドル】

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Cloud クラウド(2024)

 

 

 

 

 

 

 

【ネタバレ込み】

 

 

 

 

“Cloud”とはインターネットを経由する実体のないサービスのことで、

もはや日常には欠かせないものになってますね。

 

黒沢清さんは著名な映画監督ですが、

ボクは『回路』しか観たことがありません。

今年の夏にYOUTUBEで本編が限定公開されていたから観たんですが、

結果的に本作を観る前のタイミングで観れてよかったと思います。

『回路』もインターネットがもたらす恐怖を描く作品だったからです。

 

『回路』は約四半世紀前の作品で

まだネットが出始めた頃の話で、

ネットが異界と繋がっているかのような恐怖を描いた

いわゆるJホラーの重要作の一つ。

 

たまたまとはいえ『回路』と続けて観て面白かったのは、

インターネットがもたらす恐怖が現代においては非常に現実的かつ悪い意味で人間的になっている点を本作が描いているところです。

この頃よくニュースを賑わす闇バイトもこれに当たるでしょう。

つまり、人間の悪意がネットを介して簡単に繋がってしまう世の中になってしまったわけです。

本作が描く恐怖はより身近になったと言え、

それがどういう結末を迎えるのか?

最初から最後まで興味を持って観ることができましたが、

だからといって面白かったというわけでもないのが

本作に対してのボクの微妙な印象です。

 

 

 

そもそも古川琴音ちゃん目当てで観に行ったので

琴音ちゃんが思ったよりは重要な役回りやったから

その点では観に行ってよかったです。

ただし出番は多くはなくて

描き込み不足やったとは思います。

 

 

 

 

菅田将暉さん推しの宣伝やったから

窪田正孝さんが出てて少しビックリしたんですが、

岡山天音さんも出てるので、

こんな豪華キャストをアピールしなかったのは勿体なかったと思いますね。

 

窪田さんはさすがに上手くて、

天音さんには(こんな奴ホンマにいそうやわ~)っていうリアルさを感じました。

 

 

菅田さん演じる主役の吉井が転売ヤーというのが今どきなんですが、

転売ってフリマアプリを使って今や誰でもできる時代です。

だから吉井が大々的にやってても、それが【悪】とまでは見えないところがミソです。

吉井本人も悪いことをしているつもりはなく

ただ淡々とお金儲けをしてる感じ。

 

しかし、吉井がお金を得ていくのと同時に

吉井に対して悪意を持つ人間も増えていって

それが集団狂気のような行動に繋がっていく。

 

この展開は現代のSNS社会において実際にありそうで

現実にこれに近い事件もあったと思うんですが、

ボクがいまいちノレなかったのは、先に書いたように

吉井が悪人には見えないから、その憎悪に共感できなかったんですよ。

だから吉井側に立って、吉井がその集団の攻撃から生き延びれるか?というサスペンス要素は楽しめたとも言えますが、いかんせん、悪人とは思わないまでも好感を持てるような人物でもないので、どちらにも感情移入をあまりできず、なんだか宙ぶらりんな状態で傍観してしまってた感じもしました。

 

そもそも転売ヤーと分かっていながら物を手放す人たちは

自分で捌くよりはそっちの方がいいと判断したからやってるワケで、

買い叩かれたと恨みを持つのがボクには理解できなかった。

それなら自分でフリマサイト使って売ったらええやん、みたいな。

冒頭で吉井に倫理観を説教する奥さんの描写なんかホンマ無駄。

まぁでも 本作のストーリーを進める上では必要ということなんでしょう。

 

吉井が勤めていた会社の社長が退職した吉井に恨みを持つのも理解できないし、

この、集団狂気の側の行動が理解できないから

後半のサスペンスも滑ってた感じ。

そんな程度の理由で狂気の集団ができることこそが本作が描く恐ろしさなのかもしれませんが、

ボクは納得できなかったですね。

 

 

 

 

 

 

終盤は集団vs吉井と助手の銃撃戦になっていくんですが、

助手役の佐野を演じた奥平大兼さんはいい味を出していましたね。

結局この佐野が一番面白いキャラクターでした。

 

ただ、銃撃戦とはいっても

佐野以外は銃の扱いに慣れてないフツーのオッサンらやから

いかんせん銃撃戦が盛り上がらない。

ここを「リアル」と称賛されている方もいるようですが

ボクはフツーにつまらなかったです。

無駄に何回も弾を使うシーンも不自然。

 

なんか文句ばっかり書いてますが、

2時間強、最初から最後までほぼ退屈することなく観れただけでも

面白かったと言えるのかもしれません。

 

 

 

あと、一般人たちの狂気を描くと同時に、

この世の中を悪の組織が裏で牛耳ってる描写を入れたことで

現代社会に対する漠然とした恐怖感は出ていました。

 

 

 

 

 

気になってたラストの落としどころには納得できたので、

鑑賞後感は決して悪くはなかったです。

 

先の『シビル・ウォー』もそうでしたが、

期待したものとは違っても

観た後にその作品のことを考察したくなる、

色々と考えたくなる作品もたまにはいいと思います。

 

 

文句言いながらもパンフレットは買って

キャスト・スタッフのインタビューはしっかり読みましたから。

 

ブログを書き終えたので

今からコラムを読みます(笑)

 

 

 

 

 

同じ女優さんが出演する作品を

年間で五本も映画館で観れることなんて後にも先にもないでしょうから、

やっぱり観に行ってよかったです^^