『八つ墓村』は人間の怨念の凄まじさを描いた、ミステリーというよりホラーとして恐ろしい映画。 | 【映画とアイドル】

【映画とアイドル】

『007』『スター・ウォーズ』『エヴァンゲリオン』
『魔法にかけられて』

カラフルスクリームゆうか【ミスiD2021CHEERZ賞】
叶星のぞみ(五代目KONAMON)
菅原未結(KRD8)

🎬『八つ墓村』 1977年作品

 

 

 

 

15日までYOUTUBEで本編が公開されていたので観ました⤵

 

 

 

 

この『八つ墓村』といえばボクが子供のころのテレビCMでの

「タタリじゃあ~!」ってのが、映像とともにインパクト大で(;´・ω・)

 

本編もテレビで観ましたが、

それから四十年以上経って二回目の鑑賞、

大人になってから初めて観ましたが、

まず(2時間半もあんの?)と引きかけましたw

 

 

冒頭こそ何気に凄い『ランボー』も真っ青の!?スタントシーンがあって驚きますが、

 

 

序盤はわりとまったりしてて、

渥美清さん演じる金田一耕助が登場するのも遅いんですが、

本作の主役は実質萩原健一さん演じる辰弥です。

 

 

八つ墓村に行くまでの地味な展開も観れたのは

美也子を演じる小川真由美さんの魅力に尽きます。

当時三十代後半くらいの小川さんの色気がなんとも言えず

魅かれてしまいました。

子供の頃はなんとも思ってなかったはずですが、

今観たらドンピシャですよ。

 

 

 

その他にも 山本陽子さん・中野良子さんなど

昭和の名女優たちが登場するだけで見入ってしまいました。

俳優さんたちもみんな素晴らしくて、

昭和の名優たちを拝めるだけでも今となっては価値がある作品やと思います。

 

 

1970年代の日本の風景も懐かしさを感じて楽しめます。

 

普段乗ってる大阪環状線の映像もあったから(おっ!)となりました。

 

 

 

一人二役にしては映像が自然過ぎると思ったら、

別々の女優さんが演じてたんですね。

市原悦子さんとは気づきませんでした。

 

 

 

 

岡山県でロケされたという映像が素晴らしくて、

観てはいませんが、現代の清水崇監督の『犬鳴村』などにも通じる

‘田舎ホラー’の元祖的作品なのかな~(?)とも思いました。

 

 

ウィキペディアで調べてて驚いたんですが、

七億円もの製作費を投じたそうで、

松竹映画の気合いを感じますね。

実際ブームになって大ヒットしたから

まぎれもなく70年代を代表する話題作の一つやと思います。

10歳の頃の本作の記憶がわりと鮮明に残ってるってことが

本作の凄さを表してると思います。

そうは言ってもさすがにストーリーはほぼ忘れていたので

新鮮に楽しむことができました。

 

 

 

【※ネタバレ】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

懸賞金に目がくらんだ村人たちに欺かれ

凄惨な最期を遂げた落ち武者たちの祟りが本作のストーリーの要になっていますが、

 

 

この落ち武者たちが殺されるシーンに驚きました。

(こんなゴアシーンあったっけ?)と思うほど残酷なシーンのオンパレードで、

どうやってここを地上波で放送したのか今さら気になります。

今なら映画館では18禁になったと思われるほどの描写です。

 

ただ、本作のそれはスプラッターホラーの見世物的な描写とは全く違い、

落ち武者たちが残酷な殺され方をしたからこその祟りなので、

本作のテーマを際立たせるために必要な残酷描写だったと言えます。

 

 

夏八木勲さんの鬼気迫る表情が怖すぎます。

 

 

 

どギツイ描写があるからこそ

金田一耕助を演じた渥美清さんの雰囲気にホッとして、

観るまでは、『犬神家の一族』の石坂浩二さんのイメージが強かったから

どうなるかと思いましたが、よかったですね!

思ったほどは活躍しないとはいえ

渥美さんならではの雰囲気が

陰惨な作品になりかねなかった本作を

数歩手前でエンタメ作品に踏みとどまらせたと思います。

 

 

山崎努さん演じる要蔵による村人32人惨殺シーンが強烈で、

ここのキービジュアルはトラウマもののインパクトです。

 

頭に差してたのはロウソクかと思ってましたが、

それじゃ消えてしまうから懐中電灯やったんですね。

このビジュアル考えた人天才やと思う。

四十年以上脳裏に焼き付いてましたから。

 

このシーンにリアルな臨場感があるのが怖い。

 

 

なんか日本って、基本的には平和で治安がいいと言えるとは思うんですが、

時に世界的にも類を見ないような残酷極まりない犯罪が起こりますよね。

表向きは優しい国民性に見えるからこそ恐ろしくて、

ハッキリ言っておぞましいです。

まさに見せかけだけが平和な国で、

表には出てなくてもヤバい奴いっぱいいると思います。

だからボクは電車乗ってる時とかも、

少しでも危なそうな奴がいたら警戒してますね。マジで。

 

村で起こる大量殺人という点では、先日映画も公開されてた福田村事件というのを意識してるのかな?とも思いました。

 

 

 

洞窟のシーンは全国各地の鍾乳洞でロケしたみたいなんですが、

暗い洞窟をホラー要素として強調するのではなく、

自然の美しい造形物として映し出していたのがよかったです。

音楽も美しかったですね♪

終盤は この鍾乳洞も主役のひとりと言ってもいいくらいです。

 

 

連続殺人ものとして後半盛り上がってきますが、

推理ものの要素はいい意味で感じなくて、

あくまでも‘祟り’の恐ろしさを感じさせる演出がよかったです。

 

野村芳太郎監督といえば『鬼畜』も強烈やったイメージがありますが、

なんといっても『疑惑』の素晴らしさが忘れられません。

‘人の業’というものを描く監督のイメージがあります。

 

 

祟りの恐ろしさが全編を覆っているとはいえ

実際にそれで毒殺とかされるはずはないので

真犯人の意外性の面白さはあるんですが、

本作が本当に面白いのは

実際に犯人が居ても、祟りによる悲劇という側面が活きているところ。

これがなんとも言えない恐ろしさと

ある種の悲しさも感じさせる物語の締め方は秀逸やと思います。

 

敢えて全ての答えを出そうとしない渥美金田一もよかったです。

 

 

 

実在する人間に落ち武者が乗り移ったかのような真犯人のビジュアルは

今観たら ジャパニーズホラーの原型にも見えました。

 

 

 

 

 

 

どれだけ時間が経っても人の怨念は消えない―。

 

 

昔は‘祟りじゃ~’がギャグにもなりましたが、

呪い殺してやりたいような人間が二人はできてしまった今のボクからしたら、

本作が描いた人間の怨念の恐ろしさと強さは

より強烈なインパクトを持ってボクの心に響きました。

観終わってから気づいたんですが、

ボクは村人たちに欺かれ

惨い殺され方をした落ち武者に一番感情移入していました。

 

この落ち武者の怨念に共感できたことを恐ろしく感じました。

 

 

落ち武者たちの祟りが成し遂げられたラストは―

 

自分にとってはハッピーエンドでもあったことに気づいたとき、

さらに恐ろしさを感じました。