『オルカ』は人間の業の深さとシャチの家族の絆を描いた唯一無二の動物パニック“復讐”映画。 | 【映画とアイドル】

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『ジョーズ』の記録的大ヒット以降

無数に登場した動物パニック映画の中でも

特に印象的な本作。

 

一流のスタッフ・キャストで製作された本作は

決して『ジョーズ』の亜流などではなく、

なんなら 哀しみに胸を締め付けられる

唯一無二の動物パニック映画と言ってもいいと思います。

 

 

ボクは小2の時に『ジョーズ』を家族で映画館で観て(現代では考えられないw)心底ドキドキしたから、その二年後に公開された本作も当然気になっていました。

 

当時は小学校の通学路に映画のポスターが貼られてて、

本作の割引券を配ってた記憶があります。

まぁまぁ残酷なシーンもあるので

これも現代では考えられないことですね(^^;

 

今思えば、昔は『エマニエル夫人』のポスターが平気で街中に貼られてたおおらかな時代でしたw(^^ゞ

 

まだ小学生やったボクは映画館では見れずに

後にTVの洋画劇場で見たんですが

子供心にそのもの悲しさが記憶に残る作品でした。

 

 

 

今さらDVDを買って久しぶりに観ましたが、

子供のころはワクワクしたシーンすら

哀しみに覆われたように見えて

鑑賞後は何とも言えない気持ちになりました。

動物パニック映画でありながら決して娯楽映画とは思えない、

楽しい映画が好きなボクは

今本作を観たら 打ちひしがれたような気持になりました‥。

 

 

冒頭からシャチが泳ぐ美しいシーンがありますが、

先のストーリーが分かっているだけに

エンニオ・モリコーネが奏でる旋律が哀しく胸に響きます。

 

初期の007シリーズの撮影を数多く手掛けたテッド・ムーアは

水中シーンが多かった『サンダーボール作戦』の経験を活かしたと思われます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名優リチャード・ハリス演じる漁師が

水族館に売ることを目的にシャチを捕獲しようとしますが、

夫婦シャチの雌の方を撃ってしまい

しかもお腹の中からまるで人間の赤ちゃんのような胎児が出てくるところはトラウマ級のシーンです。

ここで雄の背ビレに傷が付いて、

以降、明確にこの雄による復讐が描かれるのが上手い描写になっています。

 

 

 

動物側の視点に立った ここまで明確な‘復讐もの’は他では観た記憶がありません。

シャチは哺乳類なので、動物というより人間の感覚に近くて

むしろイルカのように人間より賢いイメージもある。

 

冒頭こそ意図的に『ジョーズ』を意識したシーンがありながらも

本編のドラマは全く趣が異なることになります。

 

 

いつからかメジャーな大作は上映時間が長いのが当たり前になっているので、まずは92分というコンパクトさが良いと思いましたが、

今観返すと、ドラマに焦点を当てながらも

登場人物たちの人物像の描き込みが無かったり

編集がやや雑に感じたりと、

食い足りない部分がありながらも

テンポがいいのは間違いなく、

ここは娯楽映画を意識していたように思います。

 

 

あくまでもシャチが主役の作品なので、

漁師の過去は少し描かれるとはいえ

人間側の方が記号的になってるのは

これはこれでアリと言えると思います。

 

 

 

一時期人気を博した美人女優のボー・デレクが出ていたことを全く忘れていましたが、

足を食いちぎられるシーンがあったことも忘れていたから

ここはなかなか衝撃的で、

本作はドラマをメインに据えつつも

いい意味で『ジョーズ』を意識したような見せ場もきっちり入れてるのがいいです。

 

 

情け容赦の無いシーンを描くことで

漁師がシャチとの対決を決意する展開に説得力が出ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャーロット・ランプリングの存在感でドラマ要素の説得力がアップ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

70年代のこのテの映画のポスターって↑

詐欺まがいのものが多かったんですが(笑)

 

 

本作は本当に港町をオルカが破壊・爆破するシーンがあったので

初めて観た時はワクワク・ドキドキしましたね^^

でも 今観たらこのシーンですら物悲しく感じました。

 

 

 

 

クライマックスを北極にしたことによって

ビジュアル的にも物悲しさが強調されて

しかも人間側の主役がシャチに殺される、

初めて観た時は衝撃を受けた展開でした。

 

ここでシャチが漁師を食うんじゃなくて

尾ビレで氷山に叩き付ける決着のつけ方がよかったです。

あくまでも漁師を殺す、

‘復讐’が目的であったことがより際立つことになりました。

 

 

 

 

 

 

あらためて今観返すと

漁師はシャチを倒す気などあまりなく、

むしろシャチの望む決着に向かって自ら進んでいたように見えました。

シャチへ行った自分の行為の罪を認め、

シャチが思うところの終着点を

自分の辛かった人生の終着点に定めたように見えました。

 

 

 

 

 

なんか昔以上に胸が締め付けられて、

(なんでこのテのパニック映画でこんな気持ちにならなアカンのや‥)と

落ち込んだような気持ちになってしまいましたが、

今ではサメ映画のサメはオールCGで描かれるのが当たり前なので、

実写やアニマトロニクスを使ったシャチの描写には

昔以上にワクワクするものがありましたね。

 

 

 

 

 

シャチを人間と同列以上に捉えて描くことによって

生命の大切さ・尊さを描いた本作は

『ジョーズ』以降数多く登場した動物パニック映画の中でも

孤高の存在として生き続ける作品だと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

復讐を果たしても 怒りが消えるわけでも

愛するものが戻ってくるわけでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「罪は自分自身に対して犯すもの」