QUANTUM OF SOLACE (2008) ➉/10
本作は‘復讐’がひとつのテーマになっていますが、そこをあえて深くは掘り下げずに
テンポのよさに徹したのは正解やったと思います。
前作の『カジノ・ロワイヤル』の後半はポーカーのシーンがメインで、従来のボンド映画ほどのアクションはなかったので、アクション密度が高い本作とセットで考えたらバランスがいいかもしれません。
そこはプロデューサーもマーク・フォスター監督も意識しているような気がします。
この右腕なんとかならんかったんか?(笑)
やっぱりフォスター監督はアングルに凝る人やと思います。
グリーン(マチュー・アマルリック)は小憎たらしいけど、言っていることはけっこう納得できる。
マティスの復讐も果たそうとするボンドがいい!!
ここらへんもクレイグ=ボンドならではの激しさ!
クレイグは歩いているだけでもカッコイイですが、走っても当然カッコイイです!
メドラード将軍(ホアキン・コシオ)のなんともいやらしい感じも悪役としてマル。
こういうキャスティングも本当に上手い。
グリーンは意外に善戦しましたが、いかんせんあんな風貌なんで対決は迫力なかったですね。
右腕はシリーズ史上最強に最弱やったし‥ww
最後の最後までいやらしい奴。
悪玉に小物感があっても、こういうサブキャラで悪党側に厚みを持たせるのもボンド映画の上手さ。
ここはまさに絶体絶命で、助かるとはわかっていてもジリジリしました。
ボンド映画において御都合主義で助かるのはいい意味で当たり前。
しかし本作はかなり追い詰められた方やと思います。
‘復讐’という目的で動くことの恐ろしさも表現していたのかもしれません。
この構図が最高にかっこいい!!
フィールズの復讐も果たしたこの決着の仕方も最高にかっこいいし、
この絵も凄くかっこいい!
本作の最初の予告編ではこのシーンが映ったので、ワクワクして想像力を搔き立てられたものです^^
ボンドも悟ったか?
しかし、この考えに至るまでの過程はよく分からない気もする。
ボクはいっそキスすらしない関係で終ってほしかった気もしました。
これだけボロボロでも絵になるボンドはクレイグしかいない!!
ボンドガールと別々になるエンディングはよかったと思います。
あくまでも本作でボンドの心にいるのはヴェスパーなんですよね。
同業者に見せる情けがいい。
最後の最後で憎むべき相手を殺さなかったことで、さっきの言葉が活きてきます。
諜報員としての成長も感じられる。
今回のボンドは『消されたライセンス』以来の荒々しさでしたが、
そんなボンドを大きな心で見るかのようなM(ジュディ・デンチ)がよかったです。
ダニエル・クレイグがボンドを演じることによって、Mが女性である意味が活きたと思います。
なんか 母親のような感じもするんですよね。
駆け出しのボンドを見守る存在として。
本作のボンドを見ると、次回作の『スカイフォール』で一気に老けさせてしまったのが今さらながら悔やまれます。せめてもう一作は若手のスパイとしての勢いを見せてほしかった。
いつものガンバレルが復活してオーソドックスなジェームズ・ボンドのテーマがエンディングに流れるのが粋。
前作の誕生の物語と合わせて ここで真のボンドができあがったのに
次回作『スカイフォール』で死の淵をさまよい スパイとしての表向きなスキルも失うとは‥。
クレイグ=ボンドが新作の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』でどうなるかも予断を許さないですね(^^ゞ
本作のように最高にかっこいいクレイグ=ボンドがまた観たいです!!!