PRISONERS (2013)
これは ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールという好きな俳優さんの共演作で
ストーリーも惹かれるものがあったから、観に行きたかったんですが、見逃してました。
家で観ても、二時間半強、まるで映画館で観ているかのような緊張感を味わえました。
自分も娘を持つ父親ですから、ヒュー・ジャックマン演じる主人公ケラーが娘を誘拐されてしまう設定には身につまされるものがあります。
この予告編で↑見てとれる範囲のネタバレで書きたいと思います✑
この事件を追う刑事ロキを演じるのがジェイクなんですが、
激情に走るヒューに比べると落ち着いた印象で、そりゃあ 捜査の過程においてアグレッシブになることはありますが、ヒュー演じる父親が常軌を逸した行動に走る姿と比べたら冷静に見えるので、
この主役の男二人の‘静と動’のコントラストがまず面白いです。
映像はシビアなストーリーに合った緊張感あるものでしたが、その寒々とした映像にどこか美しさもあるのはさすが、撮影監督の名手ロジャー・A・ディーキンス!
この人がいまだにアカデミー賞をとったことがないとは驚きです。
『007 スカイフォール』であげるべきやったと思う。
本作を今観たいと思った理由は、今年スター・ウォーズの続編以外で最も楽しみにしてる『メッセージ』を監督しているドゥニ・ヴィルヌーヴの作品でもあるからでした。
『ブレードランナー』の続編も監督しているので、今年最も注目の映画監督と言っていいと思います。
映画ナタリー@eiga_natalie
新海誠、樋口真嗣、押井守らがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作「メッセージ」を称賛 https://t.co/LZuBufH7Hw https://t.co/hMzCCs7KxE
2017年03月09日 12:00
この監督の作品は今回初めて観ましたが、ストーリーの面白さだけでなく、先に挙げた映像の素晴らしさもあいまって、しかも『ゾディアック』に主演していたジェイク主演ということもあってか、ボクが現代最高の映画作家と思っているデヴィッド・フィンチャー監督を連想させるほどのハイクオリティーな作品になっていました!
アメリカ映画ならではの、主人公が信仰心が強いことを示すような冒頭でありながらも、
実際の行動は神に背くかのような、目を背けたくなる行為。
ここでケラーに拷問される容疑者を演じたポール・ダノの演技は、主役二人にまったく引けをとらないリアルさで、本作は子役も含め、出演者全員の演技が完璧といっていい素晴らしさ!!
暴走するヒューと対比になってるのはジェイクだけではなく、同じく娘を誘拐された父親フランクリンを演じるテレンス・ハワード。
同じ被害者の立場やからこそ その対比が鮮明で、常識的な反応を見せるフランクリンの姿があるからこそ、ケニーの暴走の恐ろしさがより際立って見える。
実際に自分の立場に置き換えたら感情移入できる設定なんですが、こういうストーリーって意外になかったというか、ボクは初めて観たからインパクトありました。
感情移入できたとはいっても、その拷問が数日間に渡り、あきらかに過剰な暴力に見えてきた時、いくら父親としては共感できても、人として、人間としてどうなのか?という疑問が沸き上がってきた時、この作品の面白さは更に深みを増すんです。
展開が全く予想できないから、最後まで油断はできません。
真犯人のオチは賛否分かれるかもしれませんが、そこには二重のオチがあったのがなかなか!
しかし、それを踏まえると、実は 映画が終わったその後の物語も観たくなります。
これは オチを分かった上でもまた観たくなる映画ですね。
この作品は単なる犯人捜しのサスペンスではなく、非常事態に追い込まれた人間の行動が社会のルールと相反することがあるのを描いてるのが一番の見どころであって、だからこそその部分の帰結をもう少し見たかった気はしました。
犯人が誰だったかは実は大きな問題じゃないと思いました。
愛する娘のためとはいえ、完全に法から逸脱、いや、もしかしたら‘人’としての道からも外れてしまったかもしれない主人公の罪と向き合うべき作品であると思いました。
そこをポイントと捉えると、いい意味でまだ観足りない気がしました。
娘への愛ゆえとはいえ、感情のままの行動に走ったケニー。
彼はおそらく一生十字架を背負うことになったと、ボクは思いました。
そして、唯一救われたのは、孤独に見えたロキだったような気がしたのです。