絶望的で無慈悲な『チェイサー』の中に見えた人間の闇と光。 | 【映画とアイドル】

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韓国映画には情け容赦のない作品が多い印象があるが、

本作ほど打ちひしがれた作品は、韓国映画に限らず、そう記憶にない。

 

 

 

 

(なんて無慈悲な映画なんや…)と、初めて観た時は落ち込んだが、

何年振りかで観たら、その何とも無慈悲な展開の中にも、かすかな、

いや、確かな光が見えたような気がした‥。

 

 

 

 

 

デリバリーヘルスを経営する元刑事のジュンホ(キム・ユンソク)が失踪したヘルス嬢を探すうちに

ヨンミン(ハ・ジョンウ)という怪しげな男にたどり着くが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、主人公の男がデリヘルの元締めという設定が面白い。

つまり、主人公は世間一般から見たらロクデナシのイメージ。

実際、失踪したヘルス嬢を探す最初の理由は金のため。

 

 

 

 

 

 

しかし、本作にどんどん引き込まれていくのは、掟破りのプロットはもちろんやけど、

ジュンホが連れ去られたミジン(ヨ・ソンヒ)の幼い一人娘と出会うことで、

その追跡が金のための行動から徐々に、純粋に‘女を救い出したい’という気持ちに変わっていくところ。

 

 

 

 

 

 

掟破りのプロットとは、犯人のヨンミンにスグたどり着くだけではなく、

ヨンミンが早々に警察に拘束され、しかも 自らの犯行をアッサリ自供するという

全く予想だにしない展開!!

 

犯人が早々に警察に捕まった状態では本来サスペンスが高まるはずないのに、

警察が自供の裏付けを取れないことで、ヨンミンが釈放されるタイムリミットが迫って来る。

 

 

 

 

 

しかも、ミジンがまだ生きていることが分かるので、

ヨンミンが釈放されるまでにミジンを助け出さないとトドメを刺されてしまうという

極限のサスペンスに雪崩れ込む展開!

 

 

 

ジンホの 元刑事としてのスキルを使った捜索から目が離せなくなる!

 

 

 

 

 

 

 

 

長編デビュー作とはとても思えないナ・ホンジン監督の演出は奇跡的とも言える素晴らしさ!!

 

 

 

キム・ユンソクの、ハリウッド俳優では見たことないような味がある、かつ 鬼気迫る演技!!

 

 

ハ・ジョンウが醸し出す、ぱっと見のルックスからは想像つかない人間の恐ろしい闇…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猟奇的な殺人がはびこる現代の世の中における、警察と司法の限界も見せつけられることで

その恐ろしさは一層増す。

 

そう、自分の身を守るのは自分しかいないと。

 

 

 

 

 

女性を金儲けの道具くらいにしか考えてなかったジュンホが、

一人娘を抱えるミジンの生活を垣間見ることで、ミジンを大切な人間として救い出さなければと奔走する一方、

 

 

人を人とは思わず、単なる欲望のはけ口としか捉えていないヨンミン。

ヨンミンはミジンに幼い娘がいることを知った上でハンマーを振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

人としての正義感を思い出したジュンホの熱さと、

どこまでも冷たいヨンミンの対比が強烈で、

 

 

その真逆のベクトルが真正面からぶつかり合うのも韓国映画らしいけど、

敢えてスッキリ終わらないところも、また らしい。

 

しかし、だからこそ思う。

 

目の前にいる大切な人間は絶対に守らないといけないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、そんな相手を見つけたジュンホの姿は、

疲れ切った背中の中にも、かすかな光が差したようにボクには見えたのです。