Football is coming home

Football is coming home

関西圏を中心に活動するアマチュアライターによるサッカー観戦ブログ(^^)
基本コンセプトは「感じたことを好きなときに好きなだけ」
ご贔屓クラブはヴィッセル神戸とINAC神戸レオネッサ。神戸から世界へ…!

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2024.01.27 @ヨドコウ桜スタジアム(観衆:2,625人)

 

【Photo】

 

【Result】

Urawa Reds 1-1(PK:5-6) INAC Kobe Leonessa

[R]OwnGoal('19)

[I]M. Takase('90+5=PK)

 

【Line Up】

1 A. Yamashita

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3 M. Doko

5 S. Miyake

4 A. Takeshige

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2 M. Moriya

6 Y. Matsubara('46 15 H. Ide)

13 H. Kitagawa

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10 Y. Narumiya

16 S. Amano('65 20 A. Kuwahara)

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24 H. Aikawa('46 11 M. Takase)

9 M. Tanaka

 

Sub : 21 M. Funada 、 30 A. Matsuki 、 7 M. Yamamoto 、 8 R. Masuya

 

Manager : J. Ferron

 

【Comment】

equipo!

120分間に及ぶ「激闘」となったちふれASエルフェン埼玉との準決勝を制し、決勝戦へと駒を進めたINAC。対する三菱重工浦和レッズレディースも、PK戦までもつれたサンフレッチェ広島レジーナとのシーソーゲームに勝利し、決勝まで勝ち上がってきた。
隣県の大阪で開催された試合だったが、雰囲気は完全にレッズのホーム。サポーターの人数が極端に多いわけではなかったが、それでも圧倒的な声量によって創り出される独特の空気感は、まさに「浦和ならでは」といったところ。
対するINACのサポーターも、普段よりは数が多かったように見て取れたが、それでもJクラブのレディースチームと同じように動員をかけるのは、やはり限界があるなと感じた次第である。ただ、数で劣る中でも、いつも応援席を盛り上げてくれるサポーターグループ「雷音」の皆さんの活動には、頭が下がる思いでいっぱいであることも、この機会に触れておくことにしたい。

実に、7年ぶりとなる皇后杯のタイトルを目指した決勝戦。その戦いは非常に厳しいタイトなもので、ボールを保持できない、前進できない、拾えないの「三重苦」に終始苛まれ続けることに。頼みのエース・田中美南は、レッズの高橋はなと石川璃音の両センターバックに封殺され、攻撃の生命線とも言える両翼も思うように持ち味を発揮できず。とりわけレッズのストロングポイントである遠藤優と清家貴子の縦ラインと対峙した北川ひかるは、サイドの主導権争いで後手を踏み、なかなか高い位置で仕事をすることができなかった。

失点シーンは、清家のクロスがディフレクトしたボールがそのままゴールに吸い込まれた不運なものであったが、それを差し引いてもまったく何もできなかった、というのが90分を通しての印象。そんな中、必殺仕事人・髙瀬愛実と、桑原藍というスパイシーなカードを切り、スクランブル体制を敷いたプロセスが実ったのは試合終了間際のこと。
まったく勝てる要素が見当たらなかった試合のラストプレーで巡ってきたPKのチャンスを髙瀬が冷静に沈め、土壇場で振り出しに。もはや運命の悪戯としか思えないような展開であったわけだが、あのプレッシャーのかかる場面でPKを任され、クールにサラリと決めてしまう髙瀬の強心臓ぶりには、ただただ感服したばかりである。

延長戦に入ると、両者にチャンスが訪れるスリリングな展開に。最大のハイライトは、延長後半のラストプレーで守屋都弥の高速クロスに北川が飛び込んだ場面だったわけだが、惜しくもネットを揺らすには至らず。
そこで劇的な形でストーリーを完結できればベストだったが、それはさておき。PK戦に突入した時点でなんとなく勝てそうな気がしていた。勝手な先入観ではあるが、PK戦は試合で劣勢だったほうが勝つケースが多い印象があるのと、何よりINACには絶対的な守護神・山下杏也加がいるから。
実際のところ、山下は相手の3人目・塩越柚歩のキックを見事にストップ。最終的に7人目までもつれたPK戦は、かつてINACのダイナモとして誰からも愛された伊藤美紀の失敗によって、勝敗が決することに。これもまた、サッカーの神様が仕向けた運命の悪戯だったのかもしれない。

チームとしての総合力は、安藤梢と猶本光の主力2選手を欠いた中でも、普段と変わらないクオリティを発揮したレッズのほうが遥かに上だったが、それでも試合はINACが勝った。
これぞカップ戦。これぞフットボール。サッカーは本当に面白いスポーツである。
筆者は2011年の「なでしこフィーバー」をきっかけに、長らくこのチームの動向を追ってきたが、タイトル獲得の瞬間に立ち会えたのは、今回が初めてのことだった。金色のテープが舞う中、喜びの表情を見せる選手たちの姿を目にして、こちらも悦ばしい気持ちになったのは言うまでもない。
昨年末のヴィッセルに続き(【Vissel Report 2023】 第33節 名古屋 (2023.11.25) | Football is coming home (ameblo.jp))、再び神戸が優勝。非常に誇らしく、そして清々しい。
次なるターゲットは、WEリーグのタイトルを手にすること。この先、男子も女子も神戸が勝ち続ける時代が長く続くことを期待したい。

2023.12.23 @ノエビアスタジアム神戸(観衆:2,110人)

 

【Photo】

 

【Result】

INAC Kobe Leonessa 3-1 Cerezo Osaka

[I]A. Takeshige('61)、H. Kitagawa('67)、M. Takase('90+1=PK)

[C]S. Koyama('35)

 

【Line Up】

1 A. Yamashita

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3 M. Doko

5 S. Miyake

4 A. Takeshige

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2 M. Moriya

6 Y. Matsubara

13 H. Kitagawa('86 15 H. Ide)

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8 R. Masuya('46 11 M. Takase)

16 S. Amano('46 7 M. Yamamoto)

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10 Y. Narumiya('90+2 24 H. Aikawa)

9 M. Tanaka('90+2 30 A. Matsuki)

 

Sub : 21 M. Funada 、 17 C. Minowa

 

Manager : J. Ferron

 

【Comment】

Battle of Kansai


セレッソ大阪ヤンマーレディースがWEリーグ参入を果たしたことにより、今季から新たに誕生した「Battle of Kansai」。この日、ノエスタに遊びに来ていた岩渕真奈さんもコメントしていたように、この神戸と大阪の両雄を中心に、関西の女子サッカー界を盛り上げていってほしいものである。


年内最後の試合。布陣はいつもの「3-3-2-2」で、守護神・山下杏也加が3試合ぶりに復帰。そして、絶対的なピースが見当たらないインサイドハーフは、増矢理花に先発出場の機会が与えられた。


ほぼ互角だった前半は、エース・田中美南に効果的なパスがなかなか「刺さらなかった」のと、いわゆる「キーパス」の精度を欠き、成宮唯が何本か惜しいシュートを放った以外は見せ場を作れず。
先述した増矢には、ライン間でボールを引き出し、攻撃に違いを生み出すような働きを期待したのだが、この日の出来はトップフォームからはほど遠く、前半45分の出場のみでベンチに退くことになってしまった。
サンフレッチェ広島レジーナから3シーズンぶりに復帰したものの、なかなか思うように試合に絡めていない増矢。期待値が高かっただけに、今季ここまでのパフォーマンスには物足りなさを感じずにはいられないが、その才能と確かな技術は誰もが認めるところ。早くチーム内での「居場所」を確保し、ゴールに直結するプレーを見せてもらいたいものである。


前回観戦した試合(【Leonessa Report 23-24】 第3節 vs 大宮 (2023.12.13) | Football is coming home (ameblo.jp))の阪口萌乃に続き、この日は小山史乃観に「恩返し弾」を浴び、3試合続けて追いかける展開に。不穏な空気が漂う中で、後半開始から髙瀬愛実という切り札を投入し、セントラルストライカーを2枚並べる布陣にシフトしたことで、相手を押し込むことに成功。後半は終始イニシアティブを握った。
竹重杏歌理のミスショットが相手GK 山下莉奈のキャッチミスを誘発し、61分に同点に追いつくと、67分にはカットインした北川ひかるの右足から放たれたクロスがそのままゴールに吸い込まれ、あっという間に逆転。試合終了間際には、不可解な判定から得たPKを髙瀬が冷静に沈め、試合を決めた。
シュートを打てば何かが起こる。如何なる場合においても、ゴールを狙う姿勢を持ち続けることの重要性を再認識した一戦だったのではないだろうか。


「いい試合」でも「面白い試合」でもなかったが、過去の2試合は勝ち切れていなかったことを鑑みると、価値ある勝利だったと言える。日テレ・東京ヴェルディベレーザが今節引き分けたことを受けて、INACは2023年を首位で終えることとなった。
そして2024年の初戦は、ベレーザとの直接対決が控えている。ウインターブレイク前のまさに「大一番」。敵地・西が丘での試合となるが、必ず3ポイントをモノにし、ライバルに差をつけたいところである。

2023.12.13 @ノエビアスタジアム神戸(観衆:806人)

 

【Photo】

 

【Result】

INAC Kobe Leonessa 1-1 Omiya Ardija Ventus

[I]A. Kuwahara('84)

[A]M. Sakaguchi('53)

 

【Line Up】

21 M. Funada

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3 M. Doko

5 S. Miyake

4 A. Takeshige

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2 M. Moriya

6 Y. Matsubara('68 20 A. Kuwahara)

13 H. Kitagawa

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7 M. Yamamoto('46 24 H. Aikawa)

16 S. Amano

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10 Y. Narumiya('58 11 M. Takase)

9 M. Tanaka

 

Sub : 18 M. Tokaji 、 30 A. Matsuki 、 19 M. Hayashi  、 17 C. Minowa

 

Manager : J. Ferron

 

【Comment】

救世主現る。


前節の長野でのアウェイゲームは、多くのチャンスを迎えながらも引き分けに終わり、会場確保の都合で順延になっていた第3節をこのタイミングで消化。かつてINACでプレーした選手が多く在籍する大宮アルディージャVENTUSとの一戦は、ミッドウィークに開催された。
果たして、この試合の存在を認知していた人はどれほどいただろうか。スタジアムに集結したのは、いわゆる「ニッチな層」だったと推測するが、平日のデーゲームという悪条件ながらも、ノエスタには800人ほどの観衆が集まった。これは、十分に立派な数字であると言ってよいのではないだろうか。


そんなひっそりと行われた試合は、おなじみの「3-3-2-2」の布陣でスタート。前節は負傷交代を余儀なくされた三宅史織の状態が心配されたものの、いつもどおり3バックの中央で先発出場し、守護神・山下杏也加が欠場した以外は、現時点のベストメンバーがピッチに送り込まれた。
試合は一進一退の攻防が続いた中で、阪口萌乃に「恩返し弾」を浴び、前節と同様に追いかける展開に。縦に仕掛ける積極的な姿勢を見せた北川ひかるのチャンスメイクが目立ったものの、どこかゴール前での迫力を欠いた印象で、なかなか相手ゴールを脅かすようなシーンを作り出すことができず。


打開を図るべくメンバーチェンジを行い、更には途中からシステムを「4-4-2」に変更して得点を目指した中で、ジョルディ・フェロン監督の策が実ったのは84分のこと。髙瀬愛実のシュートがクロスバーを直撃したリバウンドに、桑原藍がいち早く反応して頭でプッシュ。きれいにネットを揺らしたわけではなかったが、高卒1年目のルーキーがチームの窮地を救った。
これがWEリーグ初ゴールとなった桑原。試合後のインタビューで素直に「嬉しい」と語っていた初々しい姿が印象的だった。本来なら、勝てなかったことの悔しさも口にするシチュエーションではあったが…笑。


同点に追い付いてから畳み掛けるエネルギーは残されておらず、試合はドローで決着。両者ともに、勝てば首位浮上を果たせた中で、結果はまさに「痛み分け」となった。
1ポイントを積み上げたことにより、日テレ・東京ヴェルディベレーザと勝ち点で並んだものの、得失点差で下回るINACは現在2位。この日対戦したアルディージャや、開幕戦(【Leonessa Report 23-24】 第1節 vs 新潟 (2023.11.11) | Football is coming home (ameblo.jp))で苦しめられたアルビレックス新潟レディースが上位争いに顔を覗かせるなど、今季のWEリーグはここまで混戦状態だ。
この混戦から抜け出すために、勝利が欲しいのは言うまでもない。皇后杯の「兵庫ダービー」を経て、次節はセレッソ大阪ヤンマーレディースとの対戦を控えている。
これが年内最後のゲーム。気持ちよく2023年を締め括るべく、ホームで勝利を手にしたいものである。

2023.12.03 @パナソニック スタジアム 吹田(観衆:32,397人)

 

【Photo】

 

【Result】

Gamba Osaka 0-1 Vissel Kobe

[V]J. Patric('56)

 

【Line Up】

1 D. Maekawa

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19 R. Hatsuse

23 T. Yamakawa

3 M. Thuler

15 Y. Honda('79 2 N. Iino)

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24 G. Sakai

33 T. Ohgihara('48 5 H. Yamaguchi)

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11 Y. Muto

18 H. Ide('66 22 D. Sasaki)

26 J. Patric('66 14 K. Yuruki)

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10 Y. Osako

 

Sub : 28 Y. Tsuboi 、 34 Y. Ozaki 、 20 M. Arai

 

Manager : T. Yoshida

 

【Comment】

完走。

優勝が決まって迎えたシーズン最終戦。もはや勝敗にはそれほど関心がなかったが、それでも「腐った土」に塗れるガンバ大阪を尻目に、最後もしっかりと勝ち切った。
王者としての「貫禄」を見せつけたわけではなかったし、毎度ながらエンターテイメント性に欠ける内容ではあったが、あくまでも結果にフォーカスするという、良くも悪くも今季を象徴する試合だったのではないだろうか。

年間で積み上げた勝ち点は実に「71」。2位の横浜F・マリノスとは、最終的に7ポイントもの差がついた。勝ち点40に到達して手放しで喜んでいた頃を思うと、改めて素晴らしい成果を出すことができたと言える。
その要因は、J1リーグのトップスコアラーに輝いた大迫勇也をはじめ、常に先頭に立って闘う姿勢を誇示し続けた酒井高徳と山口蛍、そして前線で大迫とコンビを組んだ武藤嘉紀をはじめとする経験のある選手たちが大きな怪我もなく、フルシーズン戦ってくれたことに尽きる。
また、主力に定着した前川黛也と佐々木大樹といった生え抜きの選手たちに加え、本多勇喜や井出遥也らの「移籍組」も、欠かせないピースとして初優勝に大きく貢献したことも見逃せない。

そして、昨季途中の「再登板」から短期間で「勝てる集団」を作り上げた吉田孝行監督のマネジメント力もまた、一定の評価を得て然るべきだと考える。
ただ、チームの出来は先に挙げたような一部の主力選手のパフォーマンスに大きく左右されるのが実態で、その構造は「モダン」という言葉から大きくかけ離れた単純で分かりやすいもの。このまま個人に依存しながら勝ち続けられるとは思えないし、中長期的な目線で先を見据えると、一抹の不安を感じずにはいられない。

来季はどうなるのか。その答えは「一部の主力選手次第」であり、どのようなスカッドが形成されるのかも含めて、蓋を開けてみないと分からない。
恐らく、吉田監督の続投が既定路線だと思われるが、歯車が狂った暁に残留争いに巻き込まれるようなことがあっても、何ら不思議ではないと個人的には思っている。
本気で「真のビッグクラブ」を目指すのであれば、間違いなくボトムアップが必要。それは、大学生と対戦してあっさり負けてしまう「Bチーム」のレベルを上げることと、チーム戦術の幅を広げることを指す。

岐路に立たされる2024シーズン。そんな次なる戦いに向けた「警鐘」を結びとして、2023シーズンを締め括ることにしたい。
ヴィッセルサポーターの皆さん、1年間お疲れ様でした。
そして改めて、本当におめでとう!

2023.11.26 @ノエビアスタジアム神戸(観衆:1,640人)

 

【Photo】

 

【Result】

INAC Kobe Leonessa 2-0 Nojima Stella Kanagawa-Sagamihara

[I]Y. Narumiya('25)、M. Takase('76)

 

【Line Up】

1 A. Yamashita

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3 M. Doko

5 S. Miyake

4 A. Takeshige

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2 M. Moriya

6 Y. Matsubara

13 H. Kitagawa

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7 M. Yamamoto('57 24 H. Aikawa)

16 S. Amano('75 11 M. Takase)

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10 Y. Narumiya('90 30 A. Matsuki)

9 M. Tanaka

 

Sub : 18 M. Tokaji 、 19 M. Hayashi  、 8 R. Masuya 、 20 A. Kuwahara

 

Manager : J. Ferron

 

【Comment】

ヴィッセルに続け。

開幕戦(【Leonessa Report 23-24】 第1節 vs 新潟 (2023.11.11) | Football is coming home (ameblo.jp))は堅い試合になってしまったものの、続く仙台でのアウェイゲームは攻守ががっちりと噛み合い「3-0」で快勝。ミッドウィークに開催予定だった第3節は、ヴィッセルがノエスタで大一番を控えていたこともあって順延となり、いい具合に過密日程を回避するような恰好でシーズン3試合目を迎えることとなったINAC。

システムは変わらず「3-3-2-2」を採用。先に述べた開幕戦(【Leonessa Report 23-24】 第1節 vs 新潟 (2023.11.11) | Football is coming home (ameblo.jp))では、なかなか思うようにボールを動かせなかったが、松原優菜をアンカーに置き、成宮唯を前線のフリーマンに据えるという、現時点での最適解を見出したことにより状況が好転。前者は中盤の底でバランスを取りながらボールを捌き、後者は開幕から多くのゴールに絡むなど好調をキープしている。

そんな成宮は、25分に今季初ゴールとなる先制点をゲット。守屋都弥が天野紗とのワンツーで右サイドを突破し、その折り返しに成宮がダイレクトで合わせるという、鮮やかな崩しから生まれた得点だった。
その後は、ゲームを優勢に進めながらもなかなか2点目が奪えず、「もしも」のことを考えながらやきもきしたが、必殺仕事人・髙瀬愛実が交代出場からまもなくしてヘディングシュートを決め、試合を決定付けた。
思い返すと、この髙瀬のゴールも守屋の正確なクロスから生まれたものだった。残念ながら、なでしこジャパンのブラジル遠征メンバーからは外れてしまったが、その悔しさを晴らすかのように2つのアシストを記録。この日も圧倒的な存在感を示した田中美南のポストワークを起点に、右の守屋と左の北川ひかるが高い位置で仕事ができた印象で、この両者にボールが渡れば上質なクロスが供給される。
INAC自慢の両翼が、どれだけアシストの山を築くのか。個人的には、今季最大の注目ポイントとして捉えている。

開幕3連勝。内容と結果が伴い、試合を重ねるに連れて、チーム状態は右肩上がりに良化しているように思える。
冒頭に触れたとおり万全を期した甲斐もあってか、ヴィッセルが悲願のJ1リーグ初制覇(【Vissel Report 2023】 第33節 名古屋 (2023.11.25) | Football is coming home (ameblo.jp))を達成。その翌日のノエスタは、前日の盛り上がりとは相反して閑散としていたが、INACも負けじと質の高い試合を見せてくれた。
試合後のインタビューで成宮と髙瀬が語っていたように、できるだけ多くの人たちに試合を観に来てもらいたいところ。Jリーグのシーズンオフ期間に「サッカー観戦ロス」を防ぎたい方々は、是非ともINACの試合に足を運んで頂きたく思う。

2023.11.25 @ノエビアスタジアム神戸(観衆:25,365人)

 

【Photo】

 

【Result】

Vissel Kobe 2-1 Nagoya Grampus

[V]H. Ide('12)、Y. Muto('14)

[G]K. Junker('30)

 

【Line Up】

1 D. Maekawa

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19 R. Hatsuse('81 2 N. Iino)

23 T. Yamakawa

3 M. Thuler

15 Y. Honda

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24 G. Sakai

33 T. Ohgihara

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22 D. Sasaki('50 26 J. Patric)

18 H. Ide('58 5 H. Yamaguchi)

11 Y. Muto

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10 Y. Osako

 

Sub : 28 Y. Tsuboi 、 25 L. Osaki 、 20 M. Arai 、 64 J. Mata

 

Manager : T. Yoshida

 

【Comment】

苦節29年。


普通ならドローで決着していたはずの試合で、3ポイントをもぎ取った埼玉でのアウェイゲーム。そして、この試合の前日には2位の横浜F・マリノスが勝ち点をロスト。
散りばめられた伏線を最後に回収する。それをホームで成し遂げる舞台まで整ったのは出来過ぎだったが、いずれにせよ神戸の地にシャーレが渡るのは、必然とも言える運命の巡り合わせだったのだろう。
いわゆる「奇跡の残留」を果たした2010シーズンの終盤戦や、天皇杯を制して初の栄冠を勝ち取った2019シーズンの終盤戦に漂っていた「絶対に勝てる雰囲気」。J1リーグ初優勝を目前に控えたこの日も、どことなく当時によく似た空気がホームスタジアムに充満していた。


思い返すと、もがき苦しみながらJ1残留を果たした2022シーズン。横浜F・マリノスに目の前で優勝を決められ(【Vissel Report 2022】 第34節 vs 横浜 (2022.11.05) | Football is coming home (ameblo.jp))、13位に終わったチームにはまったく期待していなかったのだが、思いのほか開幕からペースを落とすことなく上位争いを続け、吉田孝行監督も試合後のインタビューでコメントしていたように「いい意味で」期待を裏切ってくれた。
その道中、これまでチームの中核を担ってきたアンドレス・イニエスタとセルジ・サンペールを切り捨てるという決断を下す一幕があった。無骨で退屈なスタイルに舵を切ったクラブの意思決定は、個人的には受け入れ難い「悲報」でしかなかったのだが、それでも日本人選手を中心に構成されたチームは全員が勤勉に働き、各セクションで役割を全うし続けた。
そんな規律正しい集団を作り上げ、素晴らしいストーリーを完結させた吉田監督。戦術的な引き出しの乏しさは今季も相変わらずだったが、それでもモチベーターとしてブレることなく、チームを然るべき方向に導いたその振る舞いには、心からの賛辞を送りたいと思う。


私情を含めると「必ずしも望んだ形ではなかった」という枕詞が入るが、捻くれたことを言うのはほどほどにして、この最高の結果を素直に喜ぶことにしたい。
苦節29年、遂に辿り着いたJ1リーグの頂点。新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年以降は、ヴィッセルの試合を現地観戦する回数が極端に減ったため、あまり大きなことは言えないが、クラブに関わるすべての人たち、そして仲間たちに最大限の「おめでとう」を伝えたい。
次に見据えるのはアジア制覇。このクラブには、更なる発展を遂げるポテンシャルと土台がある。また新しい景色を見せてくれることを期待して、今後も愛するクラブとトモニ歩み続けたいと思う。

2023.11.11 @ノエビアスタジアム神戸(観衆:3,106人)

 

【Photo】

 

【Result】

INAC Kobe Leonessa 1-0 Albirex Niigata

[I]M. Tanaka('7)

 

【Line Up】

1 A. Yamashita

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4 A. Takeshige

5 S. Miyake

6 Y. Matsubara

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2 M. Moriya

16 S. Amano

13 H. Kitagawa

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10 Y. Narumiya('90+3 20 A. Kuwahara)

24 H. Aikawa('62 3 M. Doko)

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9 M. Tanaka

11 M. Takase('46 7 M. Yamamoto)

 

Sub : 21 M. Funada 、 19 M. Hayashi 、 17 C. Minowa  、 8 R. Masuya

 

Manager : J. Ferron

 

【Comment】

蕗奈とトモニ。

実に4ヶ月ぶりの現地観戦。随分と季節も進み、終始肌寒さを感じさせる中、WEリーグ3年目となる23/24シーズンが幕を開けた。

新たにスペイン人のジョルディ・フェロン監督を迎え、王座奪還に向けてスタートしたINAC神戸の新シーズン。なでしこジャパンが熱い戦いを見せた、FIFA女子ワールドカップが起爆剤になれば…と思っていたのだが、そんな願いも儚く、このオープニングマッチに詰めかけた観衆は三千人と少々。過去の傾向を鑑みると、この日をピークに段々と減っていくのは明白であり、今季も多くの観客動員を望むのは難しいように思えてしまう…。

リーグ戦の開幕に先駆けて行われたカップ戦では、4バックと3バックを併用し、あらゆる選手があらゆるポジションで試された。時折、何がしたいのかよく分からない采配も見られ、結果的にリーグカップのタイトルを逃してしまったが、それは選手の見極めを行ううえで必要なプロセスだったのだと、勝手に都合よく解釈している。
随所にエモーショナルな振る舞いを見せる新指揮官は、昨季ベースとなった「3-3-2-2」を開幕戦で採用。新加入選手については、松原優菜が3センターバックの左で起用され、北川ひかるは左ウイングバックとして古巣対戦に臨んだ。

今季キャプテンを務める田中美南がカウンターからファーストゴールを仕留め、幸先よく先制したものの、その後はこれと言った見せ場もなく、いわゆる「しょっぱい試合」が長らく展開されることとなった。「開幕戦特有の堅さが出た」とまとめてしまえば話はそれまでなのだが、ジョルディ監督が志す「ボールを保持しながら前進するサッカー」を十分に表現できたとは言い難く、その先行きに一抹の不安を覚えた90分であった。

昨季から変化を感じたのは、「無理に攻め急がないこと」と「捨て球を減らすこと」の意識が高くなっているところ。とは言え、裏を返せば安牌な横パスやバックパスが目立った印象で、伊藤美紀と脇阪麗奈、更には阪口萌乃といった中心選手が抜けた中盤は、クオリティが低下した感が否めず。技術的なミスが散見され、ボールを簡単に失ってしまう場面が多く見られたのは、非常に気になった次第である。
神戸が誇る右の翼・守屋都弥に加え、左に北川というこの上ないピースが加わった両翼のクオリティはリーグ屈指。本来なら、彼女たちを「武器」として活かしたいところなのだが、中盤でなかなかボールが落ち着かなかったが故に、思うように高い位置を取ることができず。試合後に「持ち味を発揮できなかった」と北川が悔しさを滲ませたように、シーズン初戦は不完全燃焼に終わってしまった。

そんな両翼を活かすうえで、今後ポイントになってくるのが中盤の組み合わせであり、中でもアンカーポジションの人選は、とりわけ重要であると言える。この試合では天野紗がスターターを務めたが、うまく嵌らず。途中で選手の配置を変え、成宮唯がポジションを下げてから少しばかり整備されたように見て取れたが、できれば成宮はよりゴールに近いゾーンでプレーさせたい選手である。
後半の途中からは、土光真代がアンカーとしてピッチに立ち、持ち前の中距離〜長距離レンジのパスを織り交ぜながら「幅」を使えるようにもなった。ただ、そんな土光もまた、3センターバックの右を最も得意とする選手であり、アンカーを本職とする「専門家」が見当たらないのが実情である。
適任者が不在の今、当面は試行錯誤を繰り返しながら試合をこなしていくことになるだろう。守備の強度に加えて、舵取り役としてボールを配球し、時にはデリバリーすることも求められる難しいポジションだが、すべてが噛み合った暁には、両翼から質の高いクロスが供給され、エース・田中が得点を量産する楽しいサッカーが展開されることになるはずだ。

いろいろと課題はあるが、先述したカップ戦と昨季のリーグ戦で苦杯を舐めたアルビレックス新潟レディースにリベンジを果たし、悪いイメージを払拭できたこと。そして何より、3ポイント獲得という最低限の結果を残し、良いスタートが切れたことは前向きに捉えたいところ。
次節は仙台でのアウェイゲーム。マイナビ仙台レディースもまた難しい相手であるが、連勝を飾り、波に乗りたいものである。

そして最後に、水野蕗奈について触れておこう。
左膝の大怪我からカムバックし、カップ戦で実戦復帰を果たしたばかりだったが、クラブからもリリースがあったとおり、再び同じ箇所に大きな怪我を負ってしまった。
選手生命にも影響を与えかねない非常にショッキングな出来事だったわけだが、松葉杖をつきながらも、サポーターの前に姿を見せてくれたことに安堵した人も少なくなかったのではないだろうか。
長期間のリハビリは辛く厳しいものになると思われるが、この困難に打ち勝ち、必ず復活を遂げてくれることを願っている。

2023.07.01 @ノエビアスタジアム神戸(観衆:27,630人)

 

【Photo】

 

【Result】

Vissel Kobe 1-1 Consadole Sapporo

[V]M. Thuler('85)

[C]S. Supachok('26)

 

【Line Up】

1 D. Maekawa

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24 G. Sakai

3 M. Thuler

15 Y. Honda

19 R. Hatsuse

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5 H. Yamaguchi

16 M. Saito('80 25 L. Osaki)

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26 J. Patric('71 2 N. Iino)

8 A. Iniesta('57 22 D. Sasaki)

14 K. Yuruki('46 10 Y. Osako)

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11 Y. Muto

 

Sub : 28 Y. Tsuboi 、 6 S. Samper 、 27 T. Izumi

 

Manager : T. Yoshida

 

【Comment】

Muchas Gracias!


今季3回目の現地観戦は、アンドレス・イニエスタのラストマッチ。この日ばかりは「行かない」という選択肢はなく、ぼったくり価格の高額チケットもさほど気にはならず。
ノエスタには開場の少し前に到着したのだが、目の当たりにしたのは、これまで経験したことのない人の多さ。そんな光景が、この7/1が特別な1日であることを物語っていたと言える。


この試合の位置付けは「興行」だったのか、或いは「リーグ戦の1試合」と捉えていたのか。吉田孝行監督が、半ば戦力外のような扱いを続けてきたイニエスタを突如として先発に組み込んだことから、その位置付けは前者に該当するものと認識した。
今季ここまで頑なにトライしなかった、イニエスタの起用。それを最後の最後で試すという、もはや何がしたいのかよく分からない恰好になったわけだが、とりわけ戦い方を変えるわけでもなく、イニエスタにボールを集めるわけでもなく…。どのようなプランでこの試合に臨んだのか、その意図を紐解くのは、私にとってなかなか困難な作業であった。
「自陣からゲームを組み立てる」とか「パスで剥がす」という概念はもはや皆無で、長いボールを中心とする無機質な戦い方も相変わらず。それも大迫勇也ありきで成立しているようなものだが、そんな戦術上の最重要人物をスタメンから外した采配についてもまた、理解に苦しむものがあった。
案の定、機能不全に陥ってしまった攻撃は、偶発的なカウンターぐらいしか攻め手がなく、この日採用した「イニエスタ・シフト」は急造感が否めず。背番号8の即興性に期待したのかもしれないが、イニエスタ自身もしばらく試合から遠ざかっていたこともあってか、そのパフォーマンスはトップフォームからほど遠く、最後の57分間のプレーで「魔法」を見せることはできなかった。


いわゆる「大人の事情」があったのか、はたまた吉田監督自身の判断だったのか。その真意はよく分からないが、明らかに試合でプレーできる状態ではなかったイニエスタを先発させ、特にトラブルを抱えていたわけでもなかった大迫をベンチに座らせたこの日のマネジメントは、極めて稚拙だったと言わざるを得ないだろう。
今季ここまでは、ひと昔前の高校サッカーのような体力的な負担の大きいスタイルをベースに、一定の結果を出すことができている。その事実と成果を否定するつもりはまったくないが、本来はイニエスタを中心に据え、彼の能力を最大限引き出せるような「仕組み」の構築を多くの人が望んでいたはず。
ただ蓋を開けてみると、健康面に問題があるわけでもないのに、リスペクトに欠ける不当な扱いを受け、どこか哀しそうな表情を浮かべるイニエスタを見るのは、個人的にはなかなか辛いものがあった。
普通に考えると、イニエスタのスペシャルな能力を活かし、ボールを保持することに重きを置いた戦い方もオプションとして備えておくべきだったと思うのだが、現場責任者の力量を鑑みると、戦術の幅をこれ以上広げるのは困難だったのだと推察する。最近は「プランBが存在しない」という声が多く聞かれるが、「プランBを仕込めなかった」と表現するのが正しいと個人的には思っている。カップ戦で復調の兆しを見せながらも、リーグ戦では未だに出場機会が与えられていないセルジ・サンペールも、イニエスタと同じ道を辿るような気がしてならないのは私だけだろうか…。


イニエスタには、できることなら神戸で引退までの時間を過ごしてほしかったが、不遇の時期が続く以上は、チームを離れるタイミングは今がベストだったと思っている。もちろん、まったく本望ではないが、プレーしたいという意欲と情熱がまだあるのであれば、力を発揮できるチーム、そして何より優秀なマネージャーの下でサッカーを愉しむのが、彼にとって最善の選択なのではないだろうか。
改めて振り返ると、イニエスタがいた5年間は本当に素晴らしい時間だった。いつからか「いること」が当たり前になってしまっていたが、神戸に初のメジャータイトルをもたらしてくれたことはもちろんのこと、毎試合のように世界基準の技術を披露し、私たちを楽しませ、時には驚かせてくれた。
本人に届くことはないだろうが、この場を借りて感謝を伝えたい。Muchas Gracias!
「サヨナラは言わない」というその言葉を信じ、いつかまた神戸で再会を果たせることを願っている。


さて、試合の雑感を簡単に綴って締めることにしよう。後半は駆け込みで大迫を投入したこともあり、前半は無策だった攻撃が少しばかり補正されたが、それでも北海道コンサドーレ札幌のいいところばかりが目立った試合だった。
マテウス・トゥーレルがヘディングを叩き込み、辛くも勝ち点1を拾った以外にポジティブな要素は見当たらず、とても優勝を狙えるようなクオリティのサッカーではないなと感じた次第だが、シーズン前半戦に積み上げた貯金もあって、依然として上位をキープしている。
現時点で首位に立つ横浜F・マリノスとの実力差は、かなり開きがあるように見て取れるが、それでも彼らに喰らい付いていくためには、この先ケガ人を出さずに突き進むこと。とにかくこれに尽きる。
一部の選手への依存度が高すぎる現状と、Bチームで臨んだルヴァンカップであっさり敗退したことを鑑みると、如何にして毎試合ベストメンバーを送り込めるかが生命線になることだろう。それを揺るがすアクシデントが起こるようなことがあれば、ここまで保たれてきた秩序は一気に崩れることになるはずだ。


もうイニエスタはいない。この決断が正しかったと証明したいのであれば、結果で示し、私のような否定的な意見を持つ人間を黙らせてほしいものである。

2023.06.04 @フクダ電子アリーナ(観衆:2,051人)

 

【Photo】

 

【Result】

JEF United Ichihara-Chiba 0-1 INAC Kobe Leonessa

[I]Y. Narumiya('43)

 

【Line Up】

18 A. Yamashita

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4 A. Takeshige

3 M. Doko

7 R. Wakisaka

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2 M. Moriya

6 M. Ito

27 S. Koyama

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10 Y. Narumiya

11 M. Takase('85 16 S. Amano)

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24 H. Aikawa('68 8 M. Sakaguchi)

9 M. Tanaka

 

Sub : 1 R. Takenaka 、 25 R. Tsutsui 、 29 C. Minowa  、 51 K. Miyamoto

 

Manager : K. J. Park

 

【Comment】

2位死守。


仕事で首都圏まで出向く予定があったため、ついでに観戦してみたジェフユナイテッド市原・千葉レディースとのアウェイ戦。なかなか訪れる機会がなかったフクアリでの試合観戦は、およそ10年ぶり(【Vissel Report 2013】 第36節 vs 千葉 (2013.10.06) | Football is coming home (ameblo.jp))のこと。
二層構造のサッカー専用スタジアムでの観戦は、なるべく上層スタンドで。そんな(どうでもいい)拘りがあるため、ビジター側の上層スタンドで観戦したのだが、言うまでもなく観やすかった。
欧米諸国に比べると、我が国はスタジアムのハード面の環境整備がかなり遅れている印象だが、フクアリのような比較的コンパクトな専用スタジアムが今後各地にもっと増えてほしいところ。そういった意味で、現在建設が進んでいる広島や長崎、金沢の新スタジアムがどのような仕上がりになるのか、非常に楽しみである。


前日に三菱重工浦和レッズレディースの優勝が決まり、2位の確保を次なるターゲットとして迎えたこの試合。守備の要・三宅史織が欠場したディフェンスラインは、土光真代がセンターを務め、右に竹重杏歌理、左に脇阪麗奈が入る形となり、中盤のインサイドには髙瀬愛実が先発で起用された。
立ち上がりは一進一退といった感じで、最近大きな怪我から復帰したエース・千葉玲海菜を中心とするジェフの攻撃陣に攻め込まれる場面もあったが、高い位置からのプレッシングが少しずつ機能するようになってからは、INACがゲームを支配した。
そんな中、この日も際立っていたのが田中美南の圧倒的な存在感。前線でボールを受けた際にロストすることは殆どなく、その巧みなポストワークは大迫勇也と重なって見えるものがあった。この試合では、いつもよりポジションを下げて組み立てにも参加するなど、プレーの幅の広さも彼女の特長の一つであると言える。
ライバルの植木理子が固め取りをしたこともあり、逆転での得点王獲得はやや難しい状況にあるが、今季のベストイレブンに選出されることはほぼ間違いないはず。来る7月に開催されるワールドカップにおいては、エースとして日本の攻撃を牽引する働きに期待したいところだ。


得点が入ったのは、前半終了間際の43分のこと。土光の正確なフィードに守屋都弥が抜け出し、グラウンダーのクロスを成宮唯がダイレクトで仕留めた。今シーズン幾度となく見てきた、INACのストロングポイントを活かした「再現性のある攻撃」である。
古巣対戦となった成宮は、かなり気合が入っていた印象で、運動量もいつも以上に多かったように見て取れた。レッズ(【Leonessa Report 22-23】 第18節 vs 浦和 (2023.05.14) | Football is coming home (ameblo.jp))とベレーザ(【Leonessa Report 22-23】 第20節 vs 日テレ (2023.05.28) | Football is coming home (ameblo.jp))との大一番では決定機を逸するなど、大きなインパクトを残した移籍初年度に比べると、今季はややパフォーマンスが落ちてしまった感が否めなかったが、それでも彼女が重要な選手の一人であることに変わりはない。
背負っている番号のとおり、試合を決められる存在になれるかどうか。もう一皮剥けるには、いま以上に「最後のところ」で輝けるようになってほしいものである。


ゴール前でのアイデア不足を露呈した後半は追加点を奪えなかったものの、この勝利によって22/23シーズンの2位が確定した。残りはあと1試合。個人的には、今季限りでの現役引退を発表した武仲麗依に、出場機会が与えられることを期待している。
連覇は逃してしまったものの、最終節も3ポイント獲得に拘ってほしいところ。クラブに長く在籍した功労者・武仲の現役最後の試合に、花を添えたいものである。

2023.05.28 @ノエビアスタジアム神戸(観衆:2,012人)

 

【Photo】

 

【Result】

INAC Kobe Leonessa 2-2 NTV Beleza

[I]M. Tanaka('9)、H. Aikawa('15)

[B]R. Kobayashi('31)、R. Ueki('45=PK)

 

【Line Up】

18 A. Yamashita

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3 M. Doko

5 S. Miyake

7 R. Wakisaka

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2 M. Moriya

6 M. Ito

27 S. Koyama

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10 Y. Narumiya

17 M. Yamamoto('46 11 M. Takase)

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24 H. Aikawa('58 8 M. Sakaguchi)

9 M. Tanaka

 

Sub : 1 R. Takenaka 、 4 A. Takeshige 、 25 R. Tsutsui 、 29 C. Minowa  、 51 K. Miyamoto

 

Manager : K. J. Park

 

【Comment】

最後まで戦え。


優勝を目前にしたプレッシャーなのか。首位を走る三菱重工浦和レッズレディースが前日に星を落とし、逆転優勝へ僅かな可能性が残った中で迎えた、日テレ・東京ヴェルディベレーザとの今季ホーム最終戦。


アウェイで勝利を収めた前節のちふれASエルフェン埼玉戦と同様に、脇阪麗奈を3バックの一角に組み込み、インサイドハーフに山本摩也を起用。ここまで脇阪が務めることが多かったアンカーポジションには、伊藤美紀が入った。
前線に目を向けると、愛川陽菜が先発に名を連ね、田中美南とコンビを組んだ。その愛川の抜擢はヒットを生んだ印象で、前線に機動力をもたらすとともに、田中と互いにゴールを演出し合うなど、1得点1アシストと躍動した。


2トップの揃い踏みによって、幸先よく2点を先行した時点で「今日は勝てるだろう」と思ったのだが、一筋縄ではいかないのがベレーザとの試合。小林里歌子に豪快なボレーを叩き込まれると、得点ランクでトップに立つ植木理子にPKを沈められ、開始早々に積み上げた「貯金」はあっという間にチャラに。定説どおり、2点差はやはり「危険なスコア」であることを、身をもって体感した次第であった。
PKを取られた判定は、土光真代と山下杏也加の連携が乱れてしまったことが発端であったため、やや印象が悪かったか。少々不可解にも思えたが、受け入れざるを得ないかな、というのが個人的な見解である。


後半は髙瀬愛実と阪口萌乃という、ベンチに控える切り札を次々と投入し、田中の圧倒的なポストワークを軸によく攻めたが、最後のところで決め手を欠いた。逆に、終盤に逆転を許しかけそうになった大きなピンチが訪れるなど、最後までヒリヒリとした「永遠のライバル」との直接対決は、ドローという結果で決着した。
1ポイントを積み上げたことにより、首位との勝ち点差は「6」に縮まった。シーズン残り2試合で、この状況から逆転優勝を目指すのは現実的ではないかもしれないが、可能性がある限り、最後まで諦めずに戦ってほしいところ。千葉と長野でのアウェイゲームをしっかりと勝ち切り、レッズが連敗するというごく僅かな望みに懸けたいものである。


繰り返しになるが、まだ終わっていないし、何も決まっていない。他力本願の状況に変わりはないが、奇跡が起きることを信じたい。