先日吉沢悠とぺスビン主演の「道~白磁の人~」見てきました。
新宿のバルト9という映画館です。あの丸井の建物の。
思いのほか見に来ていた人が多かったです。
今韓国に留学中の私にとっては白磁の魅力、ということだけでなく、韓国人と日本人の関係を考えるうえでとても考えさせられる映画でした。

舞台は1914年以降の京城(ソウル)。日本統治時代です。
私はその当時の京城の人々の住まいや衣服などの様子を知らなかったので、とても新鮮でした。
憲兵が朝鮮人をすぐに殴る、気に入らなければ何度も何度も殴る、最悪は銃が出てくることも。それは日本人に対しても同じだったそうですが、衝撃を受けました。話には聞いていることだけれど、当時の日本人の横暴ぶりがすさまじく、日本人がそういうことをしたと、簡単には信じがたいくらいでした。
その当時、朝鮮人が日本語を話せることがあっても、日本人が朝鮮語を勉強しようとすることはまずない。そこがもともと朝鮮語を話す人が住んでいた土地で、日本人が後から来て占領したのであっても。そんな中で朝鮮人が日本語を話すなら、日本人も朝鮮語を話さなければと自ら朝鮮語を学ぼうとしたり、朝鮮人の服装をしたりした浅川巧はとても特異な人だったんですね。当時そのようなことは、日本人からも朝鮮人からも変な目で見られただろうし勇気のいることだったと思います。
でも浅川巧には、朝鮮の山を木でいっぱいにする、というはっきりした目的がありました。そのように目標がはっきりとある人は、重要なことを見ている、朝鮮人だから、日本人だから、というようなことにとらわれない。
しかし多くの日本人はそうではありませんでした。憲兵のような立場の人間はもちろんですが、巧の母など、巧に近い人たちも、最後まで「これだから朝鮮人は・・・」と言っていたのは、その当時の日本人が朝鮮人に対して抱いていた根深い認識を物語っています。逆に、浅川巧と父チョンリムが親交を交わしていても抗日運動の道に進んでいくチョンリムの息子の存在も、絶対に払しょくできない日本人に対する嫌悪感を表しています。それほど嫌悪されるだけのことを、日本人はしてしまったのだと思います。
映画の副題になっている白磁は当時から日常的に使われる大衆的な器であり、骨董屋では二束三文で扱われていました。朝鮮の人たちが毎日キムチを盛る器。だけれど、そんな朝鮮の人たちの日常に根差している、だからこそどことなくあたたかみを感じる白磁の器の魅力に気づいたのも浅川巧です。巧や兄の伯教、柳宗悦で朝鮮の人たちの家にあった白磁の器を集めて朝鮮民族美術館をつくりました。朝鮮の人たちが誇りに思っている白磁の器をたくさん集めて、それを壊さなければいいけれど・・・とひやひやしながら見ていたのですが、やっぱり、美術館オープンの日にアクシデントが起こるんです。。
ところで今話題の塩谷瞬が、柳宗悦役で出ていました。私はこの人が塩谷瞬とは分からずに、役柄のせいかなんだか魅力的な人だな・・・と思っていたら、見終わった後塩谷瞬だと教えられ、どうりで。。。と妙に納得がいきました。やっぱりいろんな人が惹きつけられてしまうオーラのある俳優さんです。
途中関東大震災が起こり、朝鮮人が放火をしたといううわさが流れまったく関係のない朝鮮人が何人も殺されたということを、巧は日本にいた妻の弟から聞きます。それを聞いた巧が、日記に「いくら朝鮮人が日本に対して反感を抱いていても、朝鮮人がこのような震災の時にどさくさにまぎれて放火をするとは人情がなさすぎる。自分は信じる、朝鮮人だけで今回の放火をたくらんだのではないと」と残しています。実際に京城で朝鮮人と接しながら、朝鮮人が反日という動機だけでそのような災害につけこんで放火をするような人たちではないと感じたのでしょう。日本人だから、朝鮮人だから、○○人だから、と決めつけず、自分が付き合ってきた人たち、実際に接した印象でものを言う姿勢は、見習いたいところです。
朝鮮人の葬儀を見て、「朝鮮人はどうして人前であんなに大きな声で泣くんだろうね、みっともない」と言っていた巧の母。そんな巧の母が、巧の葬儀の参列をしていた時、列を離れて一人で泣き崩れるところに朝鮮人のおばあちゃんがかけより、なぐさめるという場面がありました。人前で泣いたり大声を上げることはみっともないことだ、という認識がある日本人でも、自分の息子を失えば抑えることはできないくらい悲しい、それは民族など関係なく普遍だということでしょう。
先ほど言った美術館オープンの日に起こったアクシデントで、チョンリムは西大門刑務所に収容されます。私はソウルでは西大門刑務所近くに住んでいるにもかかわらず今まで行ったことがなかったのですが、ソウルに戻ったら見学に行ってみたいと思います。
どうでもいいですが、私ずっと吉沢悠をよしざわゆうって呼んでました。「ひさし」なんですね、初めて知りました。
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