1948年にル・コルビュジエが南米大陸に設計した唯一の建築(竣工が唯一ということで計画案は他にあります)であるクルチェット邸を舞台とした映画なので邦題が『ル・コルビュジエの家』となっていますが、原題はスペイン語で "EL HOMBRE DE AL LADO" といいまして直訳すると「隣の人」という意味になります。
エイドリアンの兄でその喋り方だけでバート・ヤングだとわかる個性派俳優の演じるポーリーの勤務先である精肉工場のシーンを見たとき、これ、リドリー・スコットの『ブラック・レイン』で同じシーンがあると気づきます。 映画の最初に出てくるスタッフの名前の中に "James H. Spencer" とあったのを『ブラック・レイン』のプロダクションデザイナーNorris Spencer と勘違いしたことから、勝手に納得してしまっていました。 James H. Spencer と Norris Spencer がただの苗字の一致だけなのか縁者関係にあるのかは知りませんが、オマージュだったんですね。
去年見た映画で最もよかった作品は?と訊かれたら『華麗なるギャッツビー』と答えようかなと思ってます。 理由は、エンディングに "Kill and Run" という曲が流れたから。 エンドロールに流れたとき、急いでiPhoneの電源を入れてSHAZAMを回して調べました。すると"KILL AND RUN BY SIA"と出たのでした。 それからぼくのSIA探求が始まりまして、今日まで続いています。 いろいろ彼女の歌を聴いていますが、ぼくの尺度で彼女を超えて上手く歌を歌える人を知りません。いい加減な感じも含めて素晴らしいと思うのです。 そんなシーアがなんとなくつぶやくように歌った(ように聞こえる)「Dreaming」という曲です。
正直な感想は、一体何のために作られた映画なのかがまったくわからないものでした。 強いて言うなら、事務所のプロモーションのためにつくられたのかな。 代表作を美しく撮ること、ノーマン・フォスターの略歴に浅く触れること、友人やスタッフたちのインタビューなどで、全体的に表面的なものでとどまっています。 タイトルにある「建築術」について語る部分はほぼありません。強いて言うなら一言くらい。三角形は強度もあるし部材が減らせるのでとてもいい、くらいなものだった。 これだと学生の教材にもならないなと思いました。 原題は "How Much Does Your Building Weigh, Mr. Foster?" 直訳すると「フォスター君、きみが設計した建物の重さはいくらかね?」となるが、これは師であるバクミンスター・フラーがノーマン・フォスターに訊ねたことばで、フォスターは即答できず後で計算してみて総重量のうちおよそ半分が基礎部分だったというエピソードが紹介されているだけで終わっている。 じゃあ、それがどうなのかについては述べられていない。もっと軽くすることが必要である、あるいはなぜそうする必要性があるのか、などには詳しく触れられていない。 またフォスターの得意とするエネルギーや空気の流れについての説明は全くなかった。 もしかしたら心地よい音楽と浮遊するようなクレーンからの撮影でうとうとしている間に説明があったのかもしれないけれど。