1.指板Rのおおまかな種類と特徴
前述の通り、ギターには指板Rというものがあり、この指板の丸みの度合いによって弾き易さが変わります。また、Rの数値は小さいほど径が小さくなるため、指板より丸みのある形状となります。Rが小さい順から特徴を説明します。
184R
Fenderのトラディショナル。丸みが強いため、握りこみによるコードが押さえやすい。弦高が低いとチョーキングで音詰まりし易い。
240R
現代のFenderのスタンダード。184Rよりもチョーキングで音詰まりしにくく、305Rより握りこみやすい。バランスが良い。
305R
Gibsonのスタンダード。チョーキングの音詰まりがまず起きない。弦高を低く設定可能。Fender系のギターから持ち替えるとほぼフラットに感じ、違和感あり。(逆もしかり)
コンパウンドラディアス
ヘッドからボディにかけて、概ね240R~305Rに変化していく。丸みのあるローポジションでは握りこみフォームによるコードプレイがしやすく、フラットなハイポジションではリードプレイがし易い仕様となっている。
指板Rの特徴についてまとめますと、Rが小さいと握り込み、コードプレイがやり易く、低い弦高設定が困難。Rが大きいと握りこみ難くてリードプレイがやり易く、弦高を低くしやすいです。また、Rが小さいストラトはフレットが低い仕様のものも多く、チョーキング時に指板に指が接触しやすくなることが多く感じます。
2.指板Rの弾き易さ評価
前章では指板R別に弾き易さの観点で説明しましたが、ギターの弾きやすさは指板R一つ取って決まるものではなく、ネックの厚さやシェイプによっても大きく左右します。ですが、本章ではあえて、前章の内容をもとに吉田なりに各指板Rを評価したいと思います。
まず、184Rについては説明の通り。コードプレイは問題ないのですが、やはりハイポジションでのチョーキングで音詰まりしやすいデメリットは、HR/HMジャンルにおけるリードプレイでは難有りだと思います。そして、240Rになると音詰まり問題はほぼ改善され、かつ握り込み易さも十分確保されており、かなり弾きやすく感じます。
305Rやコンパウンドラジアスになると音詰まりとは無縁となります。しかし、ハイポジションであっても305Rとなると、個人的に少しフラットすぎるように感じます。これは弾きにくいとかではなく、慣れとか好みの問題によるものだと思います。といった感じで240Rが一番好きです。
3.弾き易さ以外の評価
弾き易さ以外にも評価基準があります。それは、指板R別で演奏時に得られる「フィーリング」が異なることです。ここで言うフィーリングとは、演奏時に指にかかる負荷、指に伝わる弦振動が変わり、それらが演奏にもフィードバックされる(奏者の意思決定に影響を与える)といったものです。
吉田の例で言えば、305Rやコンパウンドラディアスなどのフラットな指板はハイポジションのチョーキングが難なくできてしまうので、あんまりストラトっぽくないなと物足りなさを感じて必要以上にネチッこいニュアンスで弾いてしまいます。一方、184Rや240Rになると、ハイポジションでのプレイがちょっと窮屈になる感じが、Fenderっぺぇ、ストラトっぺぇなと感じて、必要十分なニュアンスで弾きます。
※あくまで吉田の場合です。
つまり、「今ストラトを弾いているぜ~」という感覚が濃いか、薄いか。という裏の指標が存在します。これは、他の仕様の例で言えばネックジョイント部分のヒールカットの有無とか、フレットの大きさや高低とかにも通ずることでして、必ずしも弾き易ければOKということではなく、それらの仕様にしか出せない音や、演奏があるんだということをお伝えしたく。
ということで、記事タイトルの答えとしては、「実際に弾いてビビッときたやつに決めてください」ということですね。なんか身も蓋もないですが、今回はこんな感じでご容赦ください。
おしまい☆
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