副題は「日本へ大脱出する中国人富裕層を追う」とあります。
(画像はお借りしました)
冒頭、まるでWOWOWのドラマの捜索シーンのような描写。
捜索対象だったひとりの中国人女性が日本に来るまで、来てから、そしてその死後の出来事が、この本の著者を突き動かし、この本を書かせるに至ったそうです。
[概要](出版社web潤日(ルンリィー) | 東洋経済STOより)
日本に押し寄せる中国新移民とは何者なのか?中国で何が起きているのか?知らぬ間に存在感を増す潤日コミュニティの現状を追う。
目次
第1章 世界の現象としての潤
第2章 タワマンに住む人々
第3章 新お受験戦争
第4章 引退組企業家安住の地
第5章 独自のエコシステム
第6章 地方という開拓地(フロンティア)
第7章 焦燥する中間層
第8章 リベラル派知識人大集結
第9章 抗議者、小粉紅、支黒、大外宣
「潤」(ルン)とは、中国人がよりよい暮らしを求めて国外に脱出するムーブメントとでも言いましょうか。
日本以外にも、アメリカ、カナダ、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、ヨーロッパ諸国等、世界中への ルン が中国の潮流だそうです。
ただ、飛ぶ鳥を落とす勢いだった中国経済のスローダウン、アメリカとの関係悪化等の影響で、物価高の英語圏を避けて、必ずしも関係良好とはいえない日本が移住先の上位に躍り出ています。
気が付けば、世界のどこにもないレベルの安全、清潔さ、食べ物のおいしさ、そして何よりも強烈に安い物価。
これらは、気持ちの上での(日本への)抵抗を押してでも移り住もうという動機の源泉です。
背景には、欧米各国が制限に動いている投資家ビザを日本だけが緩和の方向で動いていることもあります。
経営・管理ビザも大幅に緩和され、事業所や出資金なしで2年間滞在になるとか。
高度人材になると、1年半で永住権も取得できます。
日本はまさしく、潤(ルン)の穴場です。
そんな潤(ルン)の生態
トップ富裕層は3A(麻布、赤坂、青山)
プチ富裕層は勝どき
に住んでいると言います。
子供の教育にも熱心で、有名進学塾の最上位クラスにも中国人の割合が増えました。
人口14億の中国の受験戦争に較べれば、日本の受験戦争なんてアサメシ前~とばかりに日本のトップ校を目指すそうです。
犬の散歩で通る住宅街でも、50坪以上の空き地に建つ注文建築は施主が中国系の名前。
一方で、100坪ぐらいの土地を4分割して建つ建売りには日本人の施主名が並びます。笑笑
不動産価格も、北京や上海の不動産に較べればトーキョーはまだまだ安いし、中国では得られない所有権が得られる。
資産保護の観点からも日本は 買い です。
こんな風に日本を席巻しつつある中国富裕層。
ある意味、ニッポンの成長エンジンを刺激しています。
気になるのは、移住してきている人たちが、必ずしも日本が好きでやって来てるわけではないということ。
資産が倍増して、手ごろな教育を受けて最終的な留学を果たし、母国の情勢が改善したり諸外国のビザ規制が緩んだ時にはさよならニッポン、の人たちかもしれません。
わがニッポン、清濁併せ吞んで自国の利益に変えるしたたかさを発揮できますかね?
