『第三次世界大戦はもう始まっている』 by エマニュエル・トッド | ☆ Pingtung Archives ☆

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もとは(湾生の母にまつわる)戦前の台湾・屏東(Pingtung)や引揚げ、さらに2016年の屏東訪問の記録。今は思い付きの日記で、映画やドラマ、本、受験、犬、金融・経済、持病のIgGMGUSそして台湾とテーマは支離滅裂です。♬マークは音楽付き。

先日読んだ『ウクライナ戦争の嘘』にたびたび登場した歴史家 エマニュエル・トッド による本です。

(Wikipediaより)

『ウクライナ戦争の嘘』もそうですが、この手の本を読むと、教養のないわたくしは鵜呑みにする傾向があります。

なので、やや批判的な目をもって読み進めました。

 

でも、結論から言うと、『第三次世界大戦はもう始まっている』は本当かもしれません。

 

内容

第三次世界大戦はもう始まっている / エマニュエル・トッド【著】/大野舞【訳】 <電子版> - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア (kinokuniya.co.jp)より)

戦争を仕掛けたのは、プーチンでなく、米国とNATOだ。
「プーチンは、かつてのソ連やロシア帝国の復活を目論んでいて、東欧全体を支配しようとしている。ウクライナで終わりではない。その後は、ポーランドやバルト三国に侵攻する。ゆえにウクライナ問題でプーチンと交渉し、妥協することは、融和的態度で結局ヒトラーの暴走を許した1938年のミュンヘン会議の二の舞になる」――西側メディアでは、日々こう語られているが、「ウクライナのNATO入りは絶対に許さない」とロシアは明確な警告を発してきたのにもかかわらず、西側がこれを無視したことが、今回の戦争の要因だ。
ウクライナは正式にはNATOに加盟していないが、ロシアの侵攻が始まる前の段階で、ウクライナは「NATOの“事実上”の加盟国」になっていた。米英が、高性能の兵器を大量に送り、軍事顧問団も派遣して、ウクライナを「武装化」していたからだ。現在、ロシア軍の攻勢を止めるほどの力を見せているのは、米英によって効果的に増強されていたからだ。
ロシアが看過できなかったのは、この「武装化」がクリミアとドンバス地方の奪還を目指すものだったからだ。「我々はスターリンの誤りを繰り返してはいけない。手遅れになる前に行動しなければならない」とプーチンは発言していた。つまり、軍事上、今回のロシアの侵攻の目的は、何よりも日増しに強くなるウクライナ軍を手遅れになる前に破壊することにあった。
ウクライナ問題は、元来は、国境の修正という「ローカルな問題」だったが、米国はウクライナを「武装化」して「NATOの事実上の加盟国」としていたわけで、この米国の政策によって、ウクライナ問題は「グローバル化=世界戦争化」した。
いま人々は「世界は第三次世界大戦に向かっている」と話しているが、むしろ「すでに第三次世界大戦は始まった」。ウクライナ軍は米英によってつくられ、米国の軍事衛星に支えられた軍隊で、その意味で、ロシアと米国はすでに軍事的に衝突しているからだ。ただ、米国は、自国民の死者を出したくないだけだ。
ウクライナ人は、「米国や英国が自分たちを守ってくれる」と思っていたのに、そこまでではなかったことに驚いているはずだ。ロシアの侵攻が始まると、米英の軍事顧問団は、大量の武器だけ置いてポーランドに逃げてしまった。米国はウクライナ人を“人間の盾”にしてロシアと戦っているのだ。

 

全編を通して、著者が吐き出す言葉はアメリカの虚をつくものばかり。

 

  • 「付加価値の合計」であるGDPでは経済の真の実力は測れない
  • 軍事関連と多少のコンピュータを別にすれば、アメリカはたいして売り込む物を持っていない。いわば「幻想の経済大国」
  • 対ロシア制裁で犠牲になるのはヨーロッパ自身
  • 世界の不安定がアメリカには必要。戦争はもはやアメリカの文化やビジネスの一部
  • NATOと日米安保の目的は日独の封じ込め
  • ロシア制裁に動いた日本の行動は滑稽
  • 「経済の真の柔軟性」とは、銀行システムや金融商品を開発する能力にではなく、生産活動の再編成を可能にするようなエンジニア、熟練労働者にこそ存しているのではないか

 

わたくしが社会人になってからの日本での出来事を振り返っても、著者の指摘は的を得ているように思います。

 

プラザ合意で、G5はアメリカの輸出力回復のための円高に合意し、1ドル235円だったドル円レートは翌年150円へ。

この為替津波の影響軽減のために日本は未曽有の金融緩和へ

バブル経済の発生

バブル崩壊

追い打ちをかけるように、日本の半導体やクルマをねらったアメリカによる日本締め出し政策

30年のデフレ 経済弱体化

デフレ克服のための未曽有の金融緩和2

ここへきて急激な円安 (←イマココ)

???ひょっとしたら日本発の金融危機

 

GAFAMに代表されるネットビジネスも、そういうプラットフォームを作ってショバ代を稼ぎまくるアメリカに対して、それに使われる半導体のデジタル小作人になりさがり、円安でさらに安くなった労働力を提供するしかない日本人。

 

それもこれも、遡れば敗戦国になった日から決まっていた運命なのでしょうか。

 

この先は、アメリカが軸の西側陣営 対 それ以外 の軍事・経済的衝突(第3次世界大戦)が大きくなりそうです。

基軸通貨としてのドルの地位もどうなるかわかりません。

わがニッポンはアメリカ(頭のいいジャイアン)のポチとしてのふるまいでは自国を守れない可能性が高いです。

 

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追記:

実は『ウクライナ戦争の嘘』に出てきた トルストイの『セワ゛ストーポリ』も借りたのですが、表記(文体も漢字も)が古すぎて1ページも読めませんでした・・・(鉛筆の〇印はわたくしではありません。わたくしはもっと読めませんでしたあせるあせる