アメリカとロシアの専門家ふたりによる対話形式の本です。
この本が出たのは2023年6月。
ハマスによるイスラエル攻撃が起こるだいぶ前です。
ウクライナに加えてガザ。
アメリカにとって、敵の敵は味方、というほど事態は単純じゃなくなりました。
ウクライナにしてもガザにしても、世界の警察アメリカ が首を突っ込み、独裁主義と闘う国(=敵の敵、つまりウクライナとイスラエル)を支援するという構図は同じです。
西側メディアによると
ウクライナ戦争は100%プーチンが悪い。
民主主義を守るためにアメリカ、NATO、G7をあげてウクライナを救おうとしている。
という論調。正論です。
アメリカは、その有り余る財力と軍事力を世界の民主主義のために惜しみなく注いでくれます。
軍事力を持たないと決めたニッポンみたいな国は、大人しく用心棒代払ってアメリカの傘の下で 民主主義バンザイ と声をあげるのがせいぜい。
けれどこの本を読むと、世界中が本当に民主主義・自由主義を望んでいるか微妙と言わざるを得ません。
なのに 民主主義を押し付けて戦争支援。
大量の兵器で犠牲になるのはイデオロギーなど考える余裕もない人々。
ウクライナのために、先日アメリカ議会は追加の軍事支援を決めました。
その額ざっと9.4兆円。
2022年からの合計は少なくとも13兆円。
支援物資の値段を3-4倍にふっかけたり、ポーランドにミサイルを落としてNATOを巻き込もうとしたり(←未確認情報)、いやいやどうしてウクライナも食わせ者だな、という空気で各国からの追加支援が滞り、青色吐息だったウクライナはアメリカに深謝しています。
アメリカ国民の血税から支払われる軍事支援は、一方で戦争特需であり、好景気の隠れたドライバーとなっているのも事実です。
”民主主義の警察”として世界各地で軍事支援することは好景気を生む魔法のクスリです。
わがニッポンの支援は、世銀によるウクライナへの融資を55億ドル(約8800億円)まで日本が保証するという内容。つまり55億ドル分は日本が払います。財政支援。血税ですが経済効果はありません・・・
他の国々も、経済規模やウクライナからの距離によって支援を負担しています。
それもこれもプーチンの悪行を正すため。
でもきっと正せない。
ウクライナの国土を全て奪還するまで戦争を続けたらきっと核戦争になって人類滅亡かもしれません。
あまり見たくない未来を垣間見たような気分です。
アメリカのインフレはそう簡単には収まらないでしょう。
なにしろ戦争特需なのですから。
そして、”民主主義の警察”がいらなくなる日が来たら、ドルは本当に基軸通貨じゃなくなるかもしれません。
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先日、地下鉄日比谷駅ホームでずいぶん通る声に振り向いたら 手嶋さんでした。
テレビに出てくるときと同じ口調で電話で会話されてました・・・笑