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オリバー・ストーン監督が2015年7月から2017年2月にわたってロシア大統領ウラジーミル・プーチンにインタビューした内容を元に構成されたドキュメンタリー。
クレムリンを訪ね、アイスホッケー場やソチの避暑地に同行しながら、これまであまり見たことがなかったロシアの指導者の横顔に迫ります。
労働者階級の生い立ちから大統領に上りつめた過程、国家観や国際政治の“操り方”、アメリカに対して高めていった疑念について語られます。そして、柔道や愛馬の世話のシーンなどを通して、家族観や宗教観、人生観を探ります。
以下、作品中の印象に残ったプーチン語録です。
「柔道を始めたことで人生がいい方向に変わったよ」
「ソ連崩壊にともなう最も重要な問題は、ソ連崩壊によって二五〇〇万人のロシア人が瞬きするほどのあいだに異国民となってしまったことだ。気がつけば別の国になっていた。これは二〇世紀最大の悲劇の一つだ」
「アメリカは、ソ連が崩壊したことで何でもできるという幻想を抱いた。何をしてもとがめられることはないとね。そこにわながある。そういう状況に陥ると個人や国家は過ちを犯す。アメリカはその罠にはまった」
「(NATOの存在意義は? に対して)私の目には、自らの存在を正当化するためにNATOが常に外敵を探しているように見える」
「クリントン大統領はロシアのNATO加盟に賛成したが、代表団はピリピリしていた。アメリカは検討さえしないだろう」
「答えは非常に単純だ。この地域におけるアメリカの外交政策の基本は、ウクライナがロシアと協力するのを何としても阻止することだと私は確信している。両国の再接近を脅威ととらえているからだ」
「ロシアの最も重要な要素はわが国民とその自尊心だ」
「(あなたは近い将来ウクライナをめぐって戦争をする気があるのか、という質問に対して)それは最悪のシナリオだと思う」
「(権力の座に長く居過ぎると国民に必要とされていると錯覚する。自分の変化に気づかない、に対して)それは危険な状態だ。権力を握っている者が国家や国民との絆を失う時が来るかもしれない。そうなったら潮時だ」
様々な作品で問題提起してきたオリバー・ストーン監督ですが、この作品は完全にプーチン大統領に乗せられた感が強いです。そのメッセージは、ひとことで言うと「悪いのはアメリカ」。
ストーン監督が投げかける微妙な質問を正面から受け止め(たように見せかけて)、冷静に一切の無駄を省いたかたちで切り返します。
特に感心したのは各国の国勢、経済、軍事のデータを詳細に把握していて、小さな数字の違いも指摘してくること。
わがニッポンのリーダーでこれほどの愛国心とキレる頭脳を持ち合わせた人物がいたでしょうか?
田中角栄(昭和な例えですみません)を最後に、そのあとの首相は昼行燈の行列といった感が否めないのは私だけでしょうか・・・
今のウクライナの悲劇はプーチンによってもたらされたもの。
でもそれはプーチンの中でも最悪のシナリオだったことが、上記語録でわかります。
そして、アメリカによるアメリカのためのプロパガンダに乗せられた西側の目を離れると、プーチンよりも黒いアメリカの野望が透けて見えることも確かです。日本はそのアメリカの同盟国(属国と言ったほうがいい)であることも忘れてはいけません。
ところで、今のプーチンは影武者という人もいますが、どうなんでしょう。
・・・であれば、この映画の中のプーチンと今のプーチンは別人、ということになります・・
サイモン&ガーファンクル 「アメリカ」
(テンポがスローですが、セントラルパーク コンサートの動画を上げます)