おっちと会う約束は1月の最後の土曜日。
もうすぐ2月。
2月は、おっちの誕生日のある月だ。
それにバレンタインデーも。
なんてこったい。
恋する乙女のイベント祭りじゃないか!
逢う日まであと1週間をきったぐらいの日に
突然ひらめいた。
せっかく逢うんだし、なにかプレゼントしたい。
形に残るものはやめよう。
おっちがおうちに持って帰れないし。
ってことは、やっぱり食べ物?
バレンタインも近いし~ってことでチョコはどうだろう?
街は、ちょうどバレンタインモードでおいしそうなチョコはあふれかえってるし。
ナイスっ!自分。
でも。
もしかしたら、おっちは甘いもの苦手かも・・・。
聞けばいっか。
聞いたら、サプライズ感がなくなるけど、聞かないで
あげた後に、食べられないって言われるよりいっか。
その日の電話タイムのときにさりげなく
「あのね。話違うけど、甘いものって苦手なタイプ?」
「ん~。得意ではないなぁ。なんで?」
「あ~・・・。んー。そっかぁ。。。
んー。実はね。会うのって1月末じゃない?だから、バレンタインってことで
チョコでももっていこうかと・・・。でも、甘いのあまり食べられないんだったらダメだね。
計画倒れだー。」
「え?なになに??作ってくれんの?
食べれなくはないよ。ただ、そんなにいっぱいは食べられないけど。
でも、好きな子が作ってくれるものは食べるよ!
うわぁぁぁ。めっちゃ楽しみや。また、楽しみが一つ増えたわ。」
嬉しそうに、はしゃいでるおっちが
でんわの向こうにいた。
・・・。
・・・。
・・・。
・・・どうしよう。
いつのまにか、アタシが手作りのもの持ってくって話になってる。
でも、でも、こんなに喜んでるのに、
『手作りはちょっと・・・。』なんていえやしない。
アタシ、料理は結構自信があるんだけど
いかんせん、お菓子関係は「・・・ん?」って感じなんだけど。
一回シュークリームで失敗して以来、どうも苦手意識が・・・。
それに、バレンタインにチョコあげるのなんて
小学生以来のイベント挑戦。
恋する乙女イベントに参加したくて
腹をくくった。
「えーっと。そんなに喜んでくれるなら持ってくね。
あまり甘くないものにするよ。
でも、お菓子は得意分野じゃないからあんまり期待はしないで。」
よしっ。
なんとか、保険は掛けといた。
おっけー。おっけー。
あとは、なんとか上手く作るだけだ。
簡単なチョコケーキにすることに決めた。小麦粉とチョコレートでつくるいたって簡単なやつ。
ラム酒に付け込んだドライフルーツをたっぷり混ぜ込んで
ラム酒の香りが効いた焼き菓子。
アタシは何度も何度も練習した。
一番ベストなやつを作るために。
オーブンから、あふれる甘い香りが
アタシをかわいい女に変えてくれるような気がした。
幸せな気分だった。
金曜日。
いよいよ明日。おっちに会える。会えるんだ。
手を伸ばせば、届く距離に。
ちゃんと、顔見て話せるんだ。
2つ作ったチョコケーキの一番うまくできた方を
切り分けて、一個づつきれいにラッピングした。
食べてもらえるんだろうか?
おいしいかな?
ドキドキしつつ
早く寝ようと、一生懸命目をつぶった。
目が覚めたら、いよいよ逢えます。