毎日LINEで欠勤届を送ってくる社員をどうするか | 小さい会社にしかできない労務管理のことを話そう

小さい会社にしかできない労務管理のことを話そう

労働エッセイストの松井一恵です。小さい会社には小さい会社にしかできない労務管理の方法があります。
丸17年社会保険労務士として生きてきて、みんなに知ってほしいこと、未来に残したいことを書き残そうと思います。

「会社に出てこない社員を懲戒解雇にしたいんだけれど、

無断欠勤かどうかが微妙なんです・・・」

というご相談、最近とても多いです。

 

ある関与先さんの入社2ヶ月目男子社員から、直接の上司に

「母が入院して、会社に行くことができません」

という連絡がLINEにありました。上司は、

「そうか、それは大変やね、お大事に」

と返信して、その日は終わったそうです。が、次の日も、

「会社にいけません、母から目が離せません」

その次の日も、

「まだ具合が悪く・・・」

また次の日も、という風に10日ほど連絡が続いて、その後、連絡が途絶え、3日ほど経過して、

初めて総務課長が気がつき、やっと私のところに相談がきました。

「無届で休んでいるわけですから、就業規則では14日で懲戒解雇です。あと1日で通知してもいいですよね」

というのが総務課長の言い分です。

「イマドキ、家族が入院したからって、10日以上もずっと家族が付き添うなんてありえない。

ましてや、入院の付き添いに男手なんて、役にたちませんもの。

緊急ならLINEも仕方ないですが、これだけ時間があったんだから、ちゃんと出す気になれば届出ができるはず。

上司にLINEしたからって、許されるもんじゃないですよ」

とは手厳しい。ですが、

出てこない社員は誰かがカバーしています。身勝手なある社員の行為で、他の社員が長時間労働になり、

当局から指導を受けるのは会社、窓口は総務。

はっきりさせて人員補充をしたい、という総務課長の気持ち、分からなくもありません。

「一回出勤するように」と通知書を郵送し、「念のため」として退職届を同送したら、退職届にサインをして送り返されてきました。

転職活動してたんだなぁ、

・・・いい会社が見つかったらフェイドアウト退職、見つからなければひょっこり戻ろうとでも思ってたのか。

親をだしにするなんて、バチあたりまっせ。

 

LINEの使用率はスマホ利用者の70%に達するといわれており、便利なツールではありますが、

「LINEによる欠勤、退職等の届出の有効性をどう取り扱うか」

そこまではっきり決めている会社はまだ少ないと思います。

私はLINEによる届出は電話に準ずると考えています。

LINEはあくまでも業務に支障をきたさないための簡便な届出、正式な届出は就業規則に定められたとおりの書面のやり取りが必要です。

本人の病欠であれば欠勤届、

親の看護であれば介護休暇の取得届、

退職するつもりなら退職届をきちんと提出させることです。

 

では、LINEを受け取った上司はどうするべきでしょうか。

 

休業予定を確認すればよいのです!

 

「そうか、それは大変やね、お大事に。ところで、何日ぐらいかかりそう?」

これでOK。

返信があったら、その結果を総務課長に報告する。

たとえば「○日」と予定がかえってくれば、

届書を郵送するなり、介護休暇(といっても年間5日程度が上限なのだが)の説明をするなり、総務と社員で手続をつめます。

「わからない」と返信があったら、

「じゃ、介護休暇は5日だから、届書、郵送します。返信してね。○日(6日目)には出勤だから、一回会社に顔を出して」

としておきます。そこで、会社としての対応を相談します。

ここからの選択肢はいくつか出てきますので、いつから理由なき欠勤になるのか、まずはっきりさせておくことが大事です。

 

ずるずるするのは、会社でも私生活でもよろしくないですぜ。