うちの会社に監督署の調査が来たよ! | 小さい会社にしかできない労務管理のことを話そう

小さい会社にしかできない労務管理のことを話そう

労働エッセイストの松井一恵です。小さい会社には小さい会社にしかできない労務管理の方法があります。
丸17年社会保険労務士として生きてきて、みんなに知ってほしいこと、未来に残したいことを書き残そうと思います。

今まで、「なんで怒るのかしら、調査なんて来て当たり前なのに」

と思ってました。

「まっとうにやってたら、問題ないでしょ」

と思ってました。

 

ごめんなさい、

私も、

腹立ちました!

わが社にも、来た。

労働基準監督署の調査。

 

この、「腹が立つ」が何なのか。。。自分なりに解読すると、

 

1)認可(許可)権者の調査ならともかく、なんで御宅にいわれないかんの?

施設にしても、ヘルパー派遣にしても認可・許可をおろしてもらっている役所の調査なら仕方ないなと思うんですが、なんの権限で~という不条理感(笑)

 

2)トレンドで悪いことしてそうって選んできたんじゃない?

病院で、それも相当高額の報酬をもらってる医師に対する未払い残業代を認める判決がでたから、隣接業種を狙い撃ちしてるんでしょ、バスで大きな事故があったらバス会社に入るとか、深いポリシーじゃなく、いまトレンド的なフワッとした感じでうちを選んだんじゃない?的な不公平感。

社会保険労務士として、調査立会に行って「よそにも入れよ、絶対だぞ~」・・・ああ、これ、何人の社長に言われたことか(沈)

あぁ、社長の気持ち、よく分かりました!

 

 

・・・すみません、ちょっと落ち着きました。

 

気持ち分かるけど、調査、ちゃんと対応しないといけないんです。

労働基準監督官の権限

101条の1 労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の付属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる

第102条 労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う

第104条の2 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めたときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる

 

そう、法律に定められた権限があるのです。日本で商売するなら、日本の掟には従わないといけません。

彼らには逮捕権もあるのです。ミニうんちくですが、

「署」と「所」は違うのです。「署」のつくところは、逮捕される可能性があります。年金事務「所」は逮捕はされません、警察署とか税務署とかは、「所」より怖いのよ。

だから、腹が立っても、調査はばっくれずに受けましょうね。

 

一般的には、「臨検(=立ち入り検査)」と「事業所調査(=呼び出し調査)」が行なわれています。

「臨検」は突然来ることが多いです。予め連絡があることもあります。労働局および労働基準監督署が年間計画に従って行う「定期監督」、悪いところ直してくれたかなの「再監督」、労働者の申告があって見に来たよの「申告監督」、ちゃんとしなさいといったのにしなかったね強権発動の「司法警察監督」などがあります。

来た時点ではどれか分からないことも多いです。最近ははっきり「労働者のかくかくしかじかの申告があったから」とおっしゃる監督官の方もいらっしゃいます。ただし、「だれが」申告したかは、教えてくれません。真偽のほどが分からない匿名の申告であっても、関係者は調査し、調査されるので、お互いに大変です。

「事業所調査」は書類を持って、労働基準監督署に来てくださいね、というものです。

何を見るかというと、

・過重労働はないですか

・未払い残業はないですか

・就業規則や協定など必要な届を忘れてませんか

・労働条件の明示などちゃんとやってますか

・必要な安全に対する備えはちゃんとできてますか、健康診断やってますか?

・・・そう、ちゃんとできてますか?できてなかったら、ちゃんとしてくださいよ、という指導のために来はるんですよね。

この指導のことを「是正勧告」といい、決められた期限までに「お直し」をして、直しましたよ~と「是正報告」をしなければなりません。

よっぽどの悪事をはたらいていないかぎり、いきなり逮捕されたりはしないので、ご安心ください。

ということで、うちの会社もちゃんと明日出頭します。

 

 

 

さてと、社会保険労務士に戻って話すとすれば、

「健康診断みたいなもん。

悪いところないか、早期発見して、取り返しのつかない事故が起こらないようにしときまっしょ」

と前向きにとらえて、決してばっくれないように。私がお手伝いしますから、調査にはご協力なにとぞよろしくお願いします。