時間は取り返せません | 小さい会社にしかできない労務管理のことを話そう

小さい会社にしかできない労務管理のことを話そう

労働エッセイストの松井一恵です。小さい会社には小さい会社にしかできない労務管理の方法があります。
丸17年社会保険労務士として生きてきて、みんなに知ってほしいこと、未来に残したいことを書き残そうと思います。

先日、ある資格学校(仮)の女性社員と話をしてたときのことです。

「社長が本店から来ると、全体会議が長くて長くて。先日も授業でクレームがあって、企業さんと取引が切れたことで、会議が3時間も4時間も・・・おかげで、私、トイレに行けなくて、膀胱炎になったこともあるんです。困ったもんです。年々、話が長くなりますね」

会議もこうなってしまうとパワハラに近いものがあります。

 

冷静に考えてみましょう。

月給300,000円、1ヶ月22日・1日8時間勤務の従業員の時間単価は1,705円。

従業員10人を3時間、会議で拘束すると1,705円×3時間×10人=51,150円。

仮に経常利益率が10%とすると、この経費を取り返すためにあげなければならない売上は51,150円÷10%=511,500円。

既存のお客さんが逃げたことの対応に、新たに50万以上契約をとってこないといけなくなってしまいました。

会議は意外と高くつくということです。その会議が売上換算で50万円以上の価値あるものであることを祈りたいと思います。

 

もっと冷静になりましょう。

営業成績の不振、顧客からのクレーム、安全上の問題や法令の制限で自社商品を回収しなければならない等々、ひょっとしたらそれが一番わかるのは倒産のときかもしれませんが、会社には様々な問題が起こります。損をした、失った、頭を抱えて、後ろを向き、何が悪かったのか、あの時どうしていれば、こんな損をしなかったのかと「反省」をします。「振り返り」から学ぶことは、とても重要だけれど、過去は変更できません。感情的に怒りをぶつけることはなんとか抑えこんだとしても、そうこうしている間に時間は過ぎていくのです。

お金やモノは後から取り返せますが、時間は決して取り返せません。たとえ1秒たりとも、どんなに偉い人であっても。

時間がある、残っているということは、常にアドバンテージなのです。

損切りしようにも気持ちの整理がつかないとき、過去が気になって迷いが吹っ切れないとき、どうか思い出して下さい。 

 

どんなに振り返っても、過去は変わらない。

今日が一番若い一日で、今が一番アドバンテージがある時です。

社員の時間は、前向きに使いましょう。