台風はだれのせい?? | 小さい会社にしかできない労務管理のことを話そう

小さい会社にしかできない労務管理のことを話そう

労働エッセイストの松井一恵です。小さい会社には小さい会社にしかできない労務管理の方法があります。
丸17年社会保険労務士として生きてきて、みんなに知ってほしいこと、未来に残したいことを書き残そうと思います。

台風が来ています。皆様、災害には十分ご注意ください。

さて、労務管理で災害というと、よくご質問があるのは、

「台風で営業ができないので会社を休みにしましたが、賃金を支払わなければならないのか?」

ということです。原則は「ノーワークノーペイ」、仕事してないものまで、払う必要はないです。さて、

 

毎度おなじみの労働基準法では、第26条(休業手当)に、
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の
100分の60以上の手当を支払わなければならない。」
と定められています。ややこしいですが、

「働かなくても6割払え、ただし働かなかったことが会社のせいだったらね」

という意味です。

 

「会社のせい」というのは、

・会社が準備しておくべき原料を準備できなかった

・必要な検査で機械を止めなければならなくなった

・労働基準監督署の是正勧告で操業を止められた

等々が考えられます。意外と「会社のせい」の範囲が広いので、「台風で休んだら、払わなければならないの?」という質問が多いのでしょう。

さて、では、「台風」は誰のせいでしょうか?

台風がどういうメカニズムで起こるのかはよく知りませんが、会社のせいで台風が起こるなんてことはありません。ですので、台風でやむを得ずお休みになった場合の給与は、満額はおろか、休業手当も支払う必要はありません。

 

同じように、社員からのクレームが多いのが、

「インフルエンザで会社を休まなければならなくなった。私は働けるのに医者が会社へ行くなというんです(iДi)」

という場合や、

「子供がインフルエンザで医師の指示で会社を休まなければならなくなった。私はなんともないのに、何とかしてください(`Δ´)」

という場合です。医師の指示には従わねばなりません。ですが、インフルエンザにかかったのは、会社のせいではありません。よって、原則どおり「ノーワークノーペイ」で結構です。

 

ただ、「台風が来るぞー」という報道がありながらも、明らか風が吹いていない、雨も降っていない、営業はできるけど、「うちの店、客来ないしな。いっそ閉めてバイト帰してしまおうか」という場合は、台風が原因ではなく、会社が仕事を準備できなかったとみなされ、休業手当を払ってね、ということになりますので、十分注意してください。天災に乗じて、邪なことを考えなさんな、ということですね。

 

せっかくの三連休に台風襲来で、本当に大変ですが、

どうぞ皆様、ご安全に(・∀・)/