どうしても酒が飲みたかったんだけど | 夜の風、あるいは羊の咆哮

夜の風、あるいは羊の咆哮

羊が毎夜、咆哮しています。




どうしても

酒が飲みたくて

そんな日もあるだろう、

どうしても

酒が飲みたくて。


嫁と娘が寝静まった頃

そっと家を出る。


高校時代、

受験勉強の合間に、

真夜中

ラーメンを食べに出た。


そのときの気分に

似てるかも知れない。


そう、

家族が寝静まった頃、

そっと家を出る。


細心の注意を払って。


音を立てないように、

誰も起こさないように。


そっと家を出た。


とにかく

酒が飲みたい一心で、

そんな気持ちになる時もあるだろう。

コートを羽織り、

ブーツを履いて、

そっと家を出たんだ。


行き先は

家の近所のバー。


何度か足を運んだことがあって。


大好きなマティーニと、

今日はモヒートを飲もうと思って。


それだけにしておこう。


今日は

それだけにしておこう。


そう思って行ったんだけど、

どうやらオーナーが変わったみたいで

中に入ると女の子ばっかり。


もちろん店員がね。


客は男ばっかり。


男たちは

女の子の気を引こうと

必死になってる。


まぁ、

そんな店に

すっかり変わってしまっていた。


やれやれ。


結局、何も飲まず

家に帰って

ウィスキー。


どうしても

飲みたいとき。


バーのカウンターのはしで、

一人、思索に耽りながら、

度数の高い酒をちびちびと飲む。


今日は

そんな気分だったんだけど、


まぁ、いずれにせよ、

女の子のばっかりで、

飲んでもないのに、

あんなやつらにチャージ払うのは納得いかない。


てか、酔ってきた。

また明日やな。


うん。


また明日。