December 2012

猫から出たマコト/日本出版社
¥1,365
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図書館でたまたま見つけた本。
猫に関することわざについて語るエッセイと写真とイラスト。

「猫の子一匹いない」ってことわざは、裏を返せば猫の子の数がその街の親密度を測る基準になりえるってことらしい!
ほかにもいろんなことわざから発展した妄想とか言葉遊びがふんだんで、作者は空飛んでる人っぽい。
猫の黒目がなんで縦長なのか、とか、猫の糞の砂かけ行為は個人情報の秘匿(!)とか。

写真もこれまたいい写真撮るんだねー。
ほとんどは街の野良ネコ。
銅像に並んでる猫とか、置物っぽい猫だなと思いきや本当に置物の猫の写真、木漏れ日にまじってどこに猫がいるのか一瞬わからないけど本当に猫はいない写真とか。
逆の逆みたいなおもしろさ。
写真って裏切っておもしろくすることもできるんだなーと学習。そういう写真私も撮りたい。

イラストは化け猫っぽい。一度見たら忘れないネコの絵だな。
November 2012

宇宙の果てのレストラン (河出文庫)/河出書房新社
¥798
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「銀河ヒッチハイク・ガイド」の続編で、前作を貸してくれた会社の同僚にまたもや借りた。
前作にも増してユーモアに富んで、人間の本質をついているようなドキリとする発言もふんだんにある。
電車内で読んでいるとついニヤリとしてしまうので、気を付けなければいけない。。。

印象に残ったのは、”宇宙の果てのレストラン”であるミリウェイズで、今からステーキになろうという牛が、客に話しかけるシーン。客の罪悪感を薄めるために、最初から食べられることに自ら生きがいを感じる牛を作ったらしい。おまけに自分で自分のどの部位がお勧めなのか人間語を話し、自殺して料理される。なんとまぁ、、、確かに人間ならいつかやりかねないね、とうなずいてしまう。

それから、気に行った表現。
ほぼ例外なく銀河文明は「生存」「疑問」「洗練」という3段階を経る。これは言いかえると、「いかにして食うか」「なぜ食うのか」「どこでランチをとろうか」ということになるらしい。
で、ミリウェイズはその3番目の問いへの適切な解になるらしい。

なんか哲学的なようでいて人をバカにしているようで、、、そんな雰囲気が本作を包んでいる。

おまけに、前作で宇宙の究極の答えである「42」について、その究極の問いが本作の最後の方で明らかになるんだけど、2重の意味で「えぇっ?」てびっくりする。

あと、表紙にアヒルのおもちゃが浮いているのもなんだか憎い。
続編が気になります。

そうそう、これって2006年に映画化されているらしいが日本でも公開されたのだろうか。検索したらDVDは日本語版も出ていた。
October 2012

今月は以下の本をざっと斜め読みした。全部図書館で借りたが、いくつかは購入しようと考え中。


(1) Erik Millstone and Tim Lang 著/大賀圭治 監訳/中山里美・高田直也 訳 「食糧の世界地図 第2版」
食料の世界地図 第2版/丸善
¥2,730
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(2) 鈴木福松 監修/増美国弘 著 「農業技術協力ODA/NGO 実践現場からのアプローチ」
農業技術協力ODA/NGO―実践現場からのアプローチ/農林統計協会
¥2,835
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(3) 藤家梓 「定年後の海外農業ボランティア」
定年後の海外農業ボランティア―ユーモア痛快ガイド (ルーラルブックス)/農山漁村文化協会
¥1,365
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(4) 大高未貴 「ニッポンNPO戦記 アフリカに緑の革命を!」
アフリカに緑の革命を!―ニッポンNPO戦記/徳間書店
¥1,575
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(5) 高橋久光・夏秋啓子・牛久保明邦 編著 「熱帯農業と国際協力」
熱帯農業と国際協力/筑波書房
¥2,940
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(6) 農業・生物系特定産業技術研究機構 編著 「最新農業技術事典」
最新農業技術事典/農山漁村文化協会
¥38,000
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農業ってむちゃくちゃ大変だ、ということを思い知った感じ。。。
いろんな事象が複雑に絡み合って、一筋縄ではいかない。生物とか気候といった学問がそもそも難しいとは感じていたけど、農業ってそこにさらに流通とか労働力とかについても考えないといけない。
農業を一言で言いかえると、resilienceとかstubbornnessという単語だろうと思った。

特にアフリカで農業やろうなんて人は不屈の精神を持っている人だろうなぁ。
でもアフリカが自分で自分を食べさせていけない限り地球の未来は無いと思う。
工業化も国の発展の一つだけど、持続可能な農業を発展させることもすごく大事だと思う。

今後、時代は水とか食糧を争う時代になるんじゃなかろうか。。。
あっと言う間に100億近くなる人口を支える画期的な技術が生まれるのはまだまだ先だと思うし、そもそも水や食糧は局在している。
30年後、どうなってるか考えるのが怖い。
May 2012

本は、これから (岩波新書)/岩波書店
¥861
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図書館勤務の友達から薦められて読んでみた。さすがに図書館勤務だけあって、本の未来についてまじめに考える機会が多いのだろう。

池澤夏樹も無類の本好きらしく、もちろん作家としても本の未来を思わざるを得ないんだろうな。
自分自身の本への思いだけでなく、いろいろなジャンルの人にこのタイトルで文章を書いてもらう、という考え方がいい。そして結論は何もない。答えを押し付けてこない。

私としては電子ブックは便利だし、単純に本は消えゆくのだろうな、とだけ思っていたけど、この本を読んだら、いろんな考えの人がいることに気付かされた。

いくつか、心に残ったキーフレーズを。

・すべての文化が物質から遊離して重さを失った時、ホモ・サピエンス・サピエンスは別の生き物になっているかもしれない。肉体だけは元のまま、という思い込みがどう維持できるか。・・中略・・本の重さは最後の砦かもしれない。(池澤夏樹)
・今時の装置は20年もすると使えなくなり、せっかくの記録媒体も無用の長物となりかねない。ITが栄えて、情報の記録がけつらくしていくのだ。その点、紙に書かれた記録が千年の歴史を刻んでいることを思えば、紙のたくましさとしぶとさを感じずにはいられない。(池内了)
・寝たきりになっているのに、大部な辞書を、開いては、読みふけっていました。この読書欲。知識欲。明日世界がなくなるとしても、万巻の書を読みたいと思ってしまう自分に、かつての父の姿がダブります。(池上彰)
・「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう」『悲しき熱帯』の終盤に刻まれたレヴィ=ストロースによるかの一節がぼくの頭の中を反芻する。・・中略・・少なくとも人がいなくなった無人の荒野で、人類の歴史を語るのは電子書籍ではなく、物質に刻まれた痕跡としての活字であるとぼくは思う。(石川直樹)
・書き手なら・・だれでも、もっと多くの人に自分のメッセージを届けたい、と思うのは当然ではないだろうか?・・中略・・ネットの世界では、すでにブログやホームページで、自分の情報を無償で発信している人たちがたくさんいる。無償でも届けたい・・メッセージとはそういうものではないか。そしてふしぎなことに、情報とはそれにアクセスする人が増えれば増えるほど価値が高くなる、というふしぎな性格を持っている。(上野千鶴子)
・「おのれ自身を含む風景を鳥瞰する力」。・・中略・・読書はその力を涵養するための好個の機会なのである。・・中略・・最後の一項の最後の一行を読み終えた瞬間に、ちょうど山の両側からトンネルを掘り進んだ工夫たちが暗黒の一点で出会って、そこに一気に新鮮な空気が流れ込むように、「読みつつある私」は「読み終えた私」と出会う。読書というのは、そのような力動的なプロセスなのである。(内田樹)
・ゆっくり読む。ゆっくり声にだして読む。そうして、ゆっくり開かれてゆく時間をたもつ。どんな本にも可能とは言えなくとも、そうした自分を自由にできる、本との付き合いを一人一人が日々につくれなければ、新しい本の在りようもまた見えてこない。そう思うのです。(長田弘)
・マージンは、作品世界と現実世界をつなぐ「橋懸かり」であり、あるときは早朝の木漏れ日、あるときは午後の柔らかな日差し、またあるときは夕陽や灯火を映す。わたしたちはテクストtextを読み込むとき、不思議とそんなコンテクストcontext(=状況、背景、文脈)を印象深く記憶している。読書の達人ともなれば、テクストやマージンに書き込みを加えたり、ページの端を折ったり、本に独自の「足跡」を残していく。(桂川潤)
・二一世紀というのは、「何を読み、聴き、喰い、経験したか」という、加算的/攻撃的なプロフィールの時代が終わり、「何を読んでなく、聴いてなく、喰ってなく、経験してないか?」という、減産的プロフィールの時代だと思っています。加算的なプロフィールは、不可避的に「知ったかぶり/粉飾申告」という背伸びの強要を海、結果不安を増大させ・・略。(菊池成孔)
・検索エンジンを使って、あたかも自分の手で選んだかのような結果だけをスライドショーのように繰り出し続けることと、物理的に本を発見することは同じではない。アルゴリズムを借りたプロセスは、自分と本の中に記憶されない。人はさまざまなことをきっかけに、一冊の本を手に入れる。・・中略・・その中で、納得できる何冊かの本とほどほどに出会える才能がありさえすれば、たとえ「すべての本」に行きつかなくても人は幸福に生きていくことができると思うのだ。(柴野京子)
・今後、和本リテラシーの回復に成功すれば三千人は一挙に一億三千万になり、電子書籍はそれらの人々に先人の英知のすべてを公開することになる。”物としての本”の理解は、その上のこととしても別にかまうことはない。もちろんその時まで”物”を電子情報としてだけではなく、具体的に立派に保存・整理する義務は当然のことであり、また、電子化してこそ、その義務はより明確に意識されるようになるだろう。(中野三敏)

一つ確信したのは、科学・技術は文化を、世界を、人の考え方を大きく変える力を持っている、ということ。
池澤夏樹も認めているが、これらの文章を書いた人はやはり本の時代に育った人たちだから、考え方に限界がある。急激なパラダイムシフトに敏感に対応しつつあるが、それでも心の形成が本の中にある世代だ。
これから電子ブックを当然のように扱う子供たちにとっては今この時代の私たちの悩ましさなんてまったく無意味なのかもしれない。
そう思うと、文化というのは、科学・技術の前では非常に受け身的な存在だと思う。科学に近い現場にいるものとしては、それはそれでうれしい。だからこそ科学・技術の進化を推し進める側が常にその影響力を考慮しなくてはならない、ということも思う。

内田樹にしても、池内了にしても、五味太郎にしても、松岡正剛にしても、私の尊敬する人たちが文章を寄せているのも気に入った。また10年後に読み直してみたい。また、電子ブックで育つ世代にもいつかぜひ読んでほしい。
April 2012

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)/ダグラス・アダムス
¥683
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会社の同僚から借りて読んだ本。なんか新しいジャンルを見つけた感じ。海外のSF小説はたぶん初めて読んだと思う。しかもSFっていってもまじめな感じじゃなくて、しょっぱなからぶっ飛んでる。海外のSF小説が全部そうではないと思うけど、こんなユーモアとウィットに富んだSFは日本人にはなかなか書けないと思う。雰囲気としては星新一みたいな感じだけど、その想像力をもっとはばたかせていろんなところにディテールにまでこだわってる書いている。

お役所の公示の出し方とか、究極の健康ドリンクの味とか、生命の普遍的問いとか、身近なところから哲学的なところまで、幅広く揶揄してる。人間の愚かさと愛すべき点をよーくわかってるんだなぁ、と感心する。
人間に限らずいろんな生命体が出てくるけど、どれもなぜか馬鹿げて愛おしい。

少なくともこれだけは覚えておかなければいけない。
地球上で一番賢いのはネズミ、次がイルカ、三番目が人間なのだと。
地球の北欧のフィヨルドを作ったじーさんはそれで芸術的な賞をもらったということ。
最先端技術の最強の軍事力をもって地球に攻め込んできた異星人がいたが、スケールの大きさが違いすぎて地上の犬に食べられてしまったということ。
そして生命の普遍的問いの答えは42だと。

作者はたぶんイギリス人だと思うので、イギリスの文化がわかっていたらもっと楽しめるかも。それでもこれを和訳した人はエラい。よくうまく訳せていると思う。原文は知らないけど、ユーモアや皮肉のおもしろみが損なわれていないような気がする。

あ、そうそうキーワードは”Don't panic!(パニくるな!)”デス。