June 2013

沢登りの本/白水社
¥1,785
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沢登りシーズン到来!ということで久しぶりに沢登りの本を手にする。昨年読んだ「俺は沢ヤだ!」は非常におもしろくって、それで沢に引き込まれたと言っても過言ではないが、この本はどうだろう。とりあえず図書館で発見したので借りてみることに。

これは沢登りってのがどんなもんなのか、素人の青年と女の子を熟練の頑固なおっちゃんが手ほどきをしていく、という感じで一応ストーリーになってる。登場人物に実際のモデルがいるのかどうかはよくわかんないが、ま、気楽な文体ですらすら読める。いわゆる解説本とは大きく線を画しているが、それでも解説本なので、筆者の沢への思いとか経験がたっぷり書いてあるわけではないので、やや物足りない。

時々解説のために描かれている挿絵がいかにも年代を感じさせて、逆に新鮮でおもしろい。1997年刊行とのことだが、それよりもっと古い感じもする。登場人物たちの発言もなかなか懐かしい感じ。

筆者が沢と同じくらい人が好きなのがよく伝わってくる。緩くて暖かくて、時に厳しい。こういう人と一緒に沢に行きたいし、こういう人くらい沢に強くなって、仲間から信頼されるようになりたいなぁと思う。
MAY 2013

神戸ルール/中経出版
¥1,000
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職場の同僚から借りた。同僚は今年4月に神戸に転勤になったばかり。これまでずっと東京暮らしだったらしく、神戸になじむために!と思って買ったらしい。

彼曰く、神戸に来た日が浅すぎて、読んでもよくわかんなかったとのこと。
確かに、私は神戸に住んで2年1ヶ月が過ぎたが、知らないネタも結構あった。これは神戸っ子が自分のアイデンティティーを再確認するための本だ。

実際、神戸っ子に聞くと書いてあることは大抵ホントらしい。
隣に座っている別の同僚は生まれてこの方30年以上神戸に住んでいて、この本に書いてある通りだ、と言っていた。

それって典型的すぎるんちゃうか。。とも思うけど、神戸っ子は神戸っ子らしさに自信を持っているから、本の通りのコテコテの神戸人であるのがいいみたい。

でもそもそもコテコテの神戸っ子というのは、定義が難しいらしい。新しいものを取り入れて柔軟に姿を変えていく寛容さが神戸のいい点でもある。周りに押し付けたり、対抗意識を燃やしたり、とかそういう意識も無い。おっとり、さっぱり、新参者も快く受け入れ、あまりこだわらないという気風らしい。
さすが港町。日本初というものがたくさんあるのもうなずける。

あと10年くらい住んだら、この本の中身もわかるようになるかなーとも思うけど、その頃にはまた神戸の街や雰囲気も変わっているのかも。
でも海と山に囲まれたコンパクトなこの土地の住みやすさは変わらないだろうね。
本当に住みやすくって、最高です。神戸。
February 2013


田中淳夫 「森林異変 日本の林業に未来はあるか」
森林異変-日本の林業に未来はあるか (平凡社新書)/平凡社
¥798
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米倉久邦 「森のチカラ 日本の森林再生プロジェクト」
森のチカラ―日本の森林再生プロジェクト/三五館
¥1,680
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大成浩市 「森林で働く」
森林で働く (なるにはBooks)/ぺりかん社
¥1,260
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将来、林業とか森林の中で働く仕事に就けないかと思い立ち、まずは本を読んでみることに。図書館の蔵書検索で「林業」というキーワードをたたいて出てきた本たち。


田中淳夫の本は一番リアルな現状を教えてくれている。いろいろな調査結果や統計に基づいている部分が多く、信頼できそう。多少論理展開が飛躍するところもあるように感じたが、林業をとりまく各種業界の浮く雑な絡み合いなどもよくわかった。結論的には日本の林業は負のサイクルに陥っているが、わずかな希望はある、らしい。いろんなジレンマやトレードオフがあって、正直、私にはとてもやっていけない、と思った。
でもなんとかしないとヤバい。林業は単なるカネを生むための業ではなく、国土や水を守る業であることをしっかり理解しないといけないし、逆に国土や水を守る業の副産物として森林を効率的に使ってカネを生み出す、という逆の発想もありえる。


以下は記憶に残った内容

・日本国土の66%が森林、その内40%が人工林。
・備長炭は木炭の内、ある材料(ウバメガシ)と製法でできた木炭を指す。備長は発明した人の名前から。
・苗木は1.2m間隔で植える。
・スギやヒノキの伐採時期は40~60年。暖かく成長の速い土地では20年で伐採する地域もあり。
・森林の境界問題は深刻。どこまでが誰の土地かわからずに手が出せない土地が増えている。
・極相林とは、植生の変遷が終わりきって、それ以上植生が変化しない林を指す。
・緑資源機構が地域の森林組合などと分収林契約をして人工林の増加を促した。
・森林は酸素を作ると言われているが、呼吸や落ち葉の分解などで酸素を使うので、トータルで見ると酸素を作り出す効果はほとんどない。しかし二酸化炭素の吸着効果は大いにある。
・林業を活性化させるには木材の需要を高めるしかない。木は他の材料よりも何が優れているか?もっともすぐれているのは、人の心を和ませる「見た目や手触り」。これを十二分に発揮させて使わないといけない。

February 2013

夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神/飛鳥新社
¥1,575
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インド好きな私の習性で、ゾウ、ガネーシャという単語にひかれて本屋で立ち読み。最初の数ページ読んで笑えて笑えて、これは読みたい!と思った。その話を友人にしたら、買ってこいと言われて購入。本を買うなんてめっちゃ久しぶり(笑)
その友人は、作者への表敬のために本は絶対買って読むらしい。
私に言わせればそんなもの、出版業界を甘やかせるだけだと思うが。

それはともかく、とにかく読んでわかったんだけど、この本は自己啓発本の新しい形だった。
うまいなー。普通に小説として読んでいたら結構いいこと書いてあってびっくりした。
自己啓発本ってなんかこう、あからさますぎて食傷ぎみになるので嫌いなんだけど、これなら躊躇なく読める。

何より笑える。独特な笑いのセンスだから合わない人はつまんないかもしれないけど、私は電車の中で何度も吹き出した。

一番記憶に残ったのは、才能が無いってのはその分、人の意見を聞ける才能があるって思えばいいってこと。
凡人だからこそ人の意見が聞ける。人の話を聞けば無限に成長できる。
自己主張ばかりが成功につながるわけじゃない。

嫌なことの対価でお金がもらえるんじゃなくて、人を楽しませた褒賞としてお金がもらえるってことを忘れずに!どんな仕事でもそれは誰かを喜ばせることにつながってるんですなー。

楽しみを後にとっておく、そうするともっと楽しめるということを知らないといけない。ダイエットに利くな、この言葉。。。

困っている時に困っている人を助ける。これも大事。自分より困っている人はたくさんいるし、たぶん人を助けることで自分の心に余裕が生まれて、道が開けるんかも。何より、情けは人のためならず。

最後の終わり方はちょっと残念。私が作者だったら、婚約指輪はプルタブってことにするなー。

January 2013

天地明察(上) (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)
¥580
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岡田准一主演の映画で名前を知った。原作があるとは知らなかったけど、父や会社の人が原作がおもしろいと言っていた。で、会社の人に借りて読んだ。

時代物なので読みにくいかと思いきや、文章ひとつひとつが短くて簡潔で、すごい読みやすい。さくさく進んだ。それがちょっと単調に感じるところもあったけど、変に技巧的でないのはいいのかも。

数学というものはなんとなく西洋から入ってきたものと思っていたけど、日本は日本で独自に研究していた人たちがいたんだなぁというのを知ってうれしくなった。もちろん、歴史に基づくフィクションなので鵜のみにしてはいけないけど、でも日本人も解析的に考える素地は十分持ってたんだな。

西洋の数学って哲学家や思想家から発展してきた気がするけど、日本の場合は碁家や神道家が数学に近いところにいたのかもしれない。
発展の仕方はちがっても、でもやっぱり同じ答えに行きつくのが数学って素晴らしい。

代数を考え出した人ってエライ。心底そう思う。今は当たり前すぎてそのありがたみを忘れてた。
三平方の定理の証明とか、すごいシンプルだけど証明するのはちょっと難しい気がする。
そういう一つ一つの数学の真理が本当に美しくってキラキラしている。

ネガティブポイントを挙げるとすると、もう少し人間のドロドロしたところとか強くて深い感情表現があってもいいように思った。登場人物みんながさらっとかっこよく書いてあるので、そこが読みやすいんだけど、そこまで共感しないし、そこまで強烈なインパクトもないかなぁと。

あとは主人公の神道の免許皆伝とかは余分かな、と思った。暦と神道は切っても切れない関係とは思うけど、そこに一石を投じた人物なんだから、神道とは距離を置いてもよかったのになぁ。
でも史実としてはきっと神道も影響してたんだろうね。そういう時代だもんね。

あと終わり方もイマイチかなー。無理に死ぬまで引っ張る必要なかったんちゃうかなぁ。

と、記録用に思い起こしてたらなんとなくマイナス評価になってきちゃっけど、でも読んでいておもしろくってすぐに読み切れてしまういい小説でございました。何よりタイトルがよい!

ちなみにこの作者の名前は「うぶかた とう」と読む。すぐ忘れそうだから書いとこ、読めないもんなー。