奥さんに祭日勤務のリクエストが入り、代わりに1日休みにしてもらった。ランチへ出かけて、いつもと違うところでコーヒーを飲んでいると、「あれ、〇〇ちゃんかなぁ!?」と言った。20年以上会ってなかった友達と、まさかの再会。こっちに住んでいるのも知らなかった。ほんとは奥さんのバイトの日だったし、いつもと違うカフェで、コーヒーを飲む時間が少しでもズレていたら会わなかったから、偶然というのは面白い。
話は変わって、他のパイロットのブログが出てきて、ちょっと「ん?」と思った事があって、反論とかではなく、自分個人の見解を言わせてもらいます。
シートベルト着用サインがついている時は、日本では着席、海外では立っている人もいて、日本と海外では意味が違うというような記事を見かけましたが、シートベルト着用サインの意味は世界共通です。敵対するわけでもなく、ブログの営業妨害をしたいわけでもありません。その業界で勤務したことのない人がそのように言っているならばスルーしますが、現役の機長がそのように言っていたので、勘違いされたくない。攻撃的な反対意見のつもりはなく、操縦席で機長と副操縦士が意見交換するように、自分個人の見解を述べるだけで、私が正しい、あなたは間違いと言うような、ぶつかり合いのつもりではありません。ただ、乗客に勘違いされては困るからと言う理由だけです。まあ、これを読んでいる人のほとんどは自分の飛行機に乗ることはないと思うから、気にすることでもないのかもしれませんが。
運行中は全ての責任が自分にあるわけで、シートベルトサイン点灯時は、乗客みんなが着席しているという前提で運行しています。それを、海外では立ってトイレへ行っても良いみたいに勘違いされたくない。自分は、機内アナウンスのボリュームを下げて、いつでもクルーのアナウンスが聞こえるようにしています。シートベルトサインが点灯しているのに誰か立った場合は、クルーがすかさず「着席してください」とアナウンスします。それが聞こえたら、誰か立っているなと認識し、必要であれば自分で操縦席から「着席してシートベルトを絞めるように」と、アナウンスします。
子供や赤ちゃんの数も考慮して、大人だったらこれぐらい大丈夫だろうと判断する時もあれば、子供が乗っている時は少しの揺れでもベルトサインをつける事もあります。
たまに揺れがないのにシートベルトサインがついている時は、予報や他の飛行機のレポートによって、揺れを予期していることがあります。揺れが起きてからでは遅いので、揺れる前からシートベルトサインをつけます。長く続くようであれば、事前に「もうすぐベルト着用サインをつけますので、必要であれば今のうちにトイレをお使いください」とアナウンスします。もしもシートベルトサイン点灯中に漏れそうになってしまった場合は、クルーに伝えてもらえば、クルーから操縦席に連絡が入り、そうとう危険でなければ「自己責任で素早くどうぞ」と許可を出すこともありますが、もし何かあったら問い詰められるのは機長の自分でしょうね。
どうしても揺れを避けられない時もありますが、管制官を通して、周りを違う高度で飛んでいる他の飛行機と情報交換して、揺れのない高度を探します。ジェット気流などの影響で、上昇した方が気流が乱れていることもあり、燃費が悪くなったとしても高度を下げる場合もあります。また、なかなか良い高度が見つからない場合は、航路が混み合っていなければ、一定の高度ではなく、数千フィート内を自由に上下できる、ブロックレベルと言う許可をリクエストすることもあります。
慣れているクルーであれば立ってサービスを続けても大丈夫だと判断する時もあれば、サービスを続けても良いけど、ホットドリンクのサービスは保留する事もあれば、クルーも含めて全員着席させる事もあります。客室と連携して判断します。「パイロットって何もしてないですよね」と言われたことがありますが、飛行機の運転だけが仕事ではありません。操縦、安全、快適さ、正常なスケジュール運行、効率性、その他いろいろ考慮してマネージメントしています。
操縦自体は、できて当たり前。SNSで、ゴーアラウンドを「神のみぞできる技」と表現されている方がいましたが、ゴーアラウンドもできて当たり前。そのゴーアラウンドするかどうかの判断もできてあたりまえ。もちろんコンディションの悪い時は高度の技術と経験が必要な場合もありますが、それよりも難しいところはマネージメントにあります。コミュニケーション、リーダーシップ、リスク管理、優先順位付け、エラーからの立て直しなどなど。
それでも、選ばれた人しかできないような感じで宣伝してる人はどうにかして欲しい。私パイロットだから凄いんです感を出す人と、その妻たち。どうでもいい。私凄いです感、どうにかならないかな。もちろん、凄いとか言われたら悪い気はしないけど、誰でも目指すことができる職業だということがもう少し浸透して欲しい。日本はまだ規制が多すぎて、パイロットになれる人がパイロットを目指すことができない。それで、規制の緩い外国で育ったパイロットを連れてきている。色弱もダメだけど、色弱の自分が日本へ飛んでいくことはできる(日本便はありませんが、法的な規制はないということ)でも、日本の免許は取れない。
舞い上がれを見ていても、お母ちゃんが「誰にでもできる仕事やない」って言ってた。いや、やったことない人ができないって言わないでよ。自分の子供の夢をそんな簡単に潰すか?
ただ、誰でもできるって言うと、たまに「俺もパイロットになろうかな」と、ただその肩書きが欲しかったり、カッコよく思われたいとか言う見栄丸出しの人がいますが、そう言う人は「この人には向いてないな」と、パイロットになれても機長にはなれないかなと思う人はいます。物凄い責任の重い仕事で、パイロットと言う外側のイメージとはかけ離れた大変さもあるので、それなりの覚悟は必要です。飛行機を触ったことない人が明日パイロットになれますと言うことではないし、ただ他の仕事より良さそうとか、パイロットの給料目当てだったり、カッコよく思われたいとか、そう言うふらついた目的しか持っていない人には向いてない。でも、本気で目指してる人であれば、大抵の人に可能性は充分にあります。もちろん、目的地に辿り着くには道のりは長いし費用もかかりますし、海外へ出なくてはいけない場合もあり、簡単ではない。簡単ではないと言われて諦めちゃう人にも難しいかもしれない。けど、途中でやめずに続けてたらできるよ。
舞い上がれを見て残念に思ったのは、舞ちゃんがせっかく航空学校を卒業したのに、家の工場を立て直すためにパイロットになるのを諦めてしまった。工場立て直してから再チャレンジすればよかったのに、女性は家庭に入るし子供産まれたら無理みたいなメッセージになってた。豪州では、女性で子供がいてもパートタイムで働けるし、新婚ですぐに産休入るかもしれなくても、それを理由に面接で落とされることはない(とは言い切れませんが、大手企業ではほぼ無いと思います)
舞ちゃんが子供の頃から女性機長に憧れて、それを目指してたのに、可哀想なことをするなあ、でもいつか復帰するのだろうと思いながら見てましたが、結局最後の方はNHKの放送回数に合わせて適当にストーリーを繋ぎ合わせて、ダラダラと伸ばし伸ばしにしたような感じだった。なんで作者が3人もいるんだろうと言うところも気になっていて、3人それぞれのストーリーが噛み合ってなかったのかな?
舞い上がれの酷評みたいになってしまったけど、自分の言いたいことは、女性でもできるということです。由良風子が、身長が足りなくてパイロットになれないみたいなことを言ってたように、装置に手や足が届かないほど小さければ難しいかもしれないけど、飛行機によっては届くかもしれないし、支障なく操作できることが条件で、定められた最低身長が決められていない国もある。けっきょく由良先輩はグランドキャニオンでセスナを飛ばすとこまで行ったけど、せめてビジネスジェットの機長になって、エアラインパイロットよりも世界の至る所を飛び回って、女性にも夢を与えて欲しかった。ビジネスジェットも、中東とか国によってはエアラインの機長より稼げるらしい。夢あるね。でも、お金目当てで頑張れる仕事ではないので、それだけが目当ての人は挫折するかも。矢野凛子の就職先もわからなかったけど、アメリカで2年後ぐらいに機長になっていて欲しかった。2年で?と思われるかもしれませんが、波によっては可能です。パイロット業界は波があり、10年近く経っても機長昇格のチャンスが巡ってこない場合もあれば、その時代のタイミング次第では入社2年ぐらいで機長になるような人もいます。自分にも、入社2年目ぐらいで機長昇格のチャンスが来ました。英語ができなくて落ちたけど。けっきょく、ジェット機の機長になれたのは入社11年目。エアライン入社前の修業で、小型プロペラ機を飛ばす会社を同じ時期に辞めたパイロットは、エアライン入社2年目ぐらいで、ジェット機の機長になりました。
なんでみんなアメリカなんだよとも思った。たぶん柏木くんは英語もできるし、あの性格は世界へ羽ばたいて中東辺りでスーパージャンボとか飛んでると思う。工場の家族愛や空飛ぶクルマもいいけど、空飛ぶクルマって、訓練を受けた操縦士とかじゃなくで、誰でもみんなが車みたいに運転できる設計になるだろうし、ドラマのタイトルから見ても、もっと舞い上がるような夢を与えて欲しかった。3人の作者の思惑以外にも、NHK側に編集されてしまったのかな。