「まさかゆかりさんが来てくれるなんて、」
「あたしもね、息子夫婦が行かれなくなって。なんかユキちゃんともう一度会うようにって神様が言ってる気がして・・。」
「・・ありがとうございます。本当に嬉しい、」
「うん、うん・・」
高野有希子と北都ゆかりの二人がパーティー会場の受付でなぜか抱き合って涙している。
あとからあとからたくさんの人が来る中、それは異様な光景だった。
ゆかりは感動の涙をハンカチで拭いながら
「なんかね。招待状忘れちゃってね・・。 入れないのー、」
と訴えた。
「あらあら。大丈夫ですよ。 私が手続きしますから。すみません、何年か前のイベントで不審な人物が紛れ込んで騒ぎになってしまって。それからセキュリティーを強化することになって・・。今、名札のプレートをお持ちしますね。あ・・こちらは、」
有希子は隣の真緒に気づいた。
「あ。娘。」
そう言われて真緒は我に返った。
「あっと・・。 北都真緒と申します。本日は・・おめでとうございます・・あー・・っと、」
もう礼儀も何もなく疑問ばかりが浮かんでしまいまともな挨拶ができなかった。
「ああ! この方が。 ゆかりさんのお嬢さん??」
有希子は少しオーバーじゃないか、と思えるほど真緒を見て喜んだ。
「そうなの。もー、色々うるさくて・・」
「はじめまして。 高野有希子でございます。本日はようこそおいでいただきまして、」
有希子は受付で二人のプレートをもらってきて彼女たちに手渡した。
「あ、ありがとうございます・・」
真緒は礼を言いながらも
この人が。
高野楽器の副社長・・
そして。
初音さんのお母さん・・
思わず彼女をジッと見てしまった。
似てる。
確かに!
涼しげな目元、スッと通った鼻筋。
「そう。・・いいお嬢さんですね、」
有希子も嬉しそうに真緒を見て頷いた。
「・・いえ、」
そんな風に言われて照れて笑ったが。
いや!
そうじゃなくて!
「じゃあ。今日はゆっくりされていかれるでしょう?良かったらパーティーが終わった後お話しません?」
「えー?いいの? 嬉しい!」
女性陣二人はそんな約束をしてホスト側の有希子はお辞儀をして去って行った。
真緒はその後ろ姿をボーっと見た後ハッとして
「ちょっと!お母さん!どういうこと??」
と問いただした。
「どういうこと??」
天音も思わず身を乗り出した。
ゆかりはふふっと笑って
「・・ふふ。 ナイショ、」
人差し指を口に当てておどけた。
どうやら母ゆかりと天音たちの母有希子は何かしらの関係があるようですが・・
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