Polarstar(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

そして。

 

それから1か月半が経った。

 

その間。

 

真緒は捻挫をした足を治療しつつ、リモートで仕事をこなし。

 

時折初音と電話やメールなどで打ち合わせをしたりと

 

カフェレストランオープンまであと7か月となった。

 

 

天音は4月から専門学校に通いながらセリシールでバイトをし、時折調律の仕事もあって忙しく過ごしていた。

 

そんなころ。

 

 

「あ、天音くーん、」

 

学校を終えて夕方出社した天音にさくらはデスクワークをしながら声をかけた。

 

「はい、」

 

「高野楽器から調律の仕事来てるよ、」

 

「え、」

 

手渡された用紙にメールがプリントアウトされていた。

 

「高野楽器の100周年記念イベント。秋に真尋さんについてライヴの調律行ったでしょ?」

 

「はあ、」

 

「その他に再来週はパーティーがあって。そのパーティーの前に高野主催のピアノコンクールの決勝があるのよ。そのピアノ調律だって。他にも調律の人いるらしいんだけどまあ補佐って感じで。優勝者がパーティーでも演奏っていう流れらしいよ、」

 

概要を見て天音はちょっと訝しげに

 

「ぼくを。指名してくださったんですか?」

 

さくらの表情を伺うように聞いてしまった。

 

「うん。ほら。天音くんの名前入ってるでしょ。その前に担当者の人から連絡あったんだけど。真尋さんのライヴの時に失礼があって申し訳なかったって言ってたけどー、」

 

「ああ。たいしたことじゃないです。だから社長にも言わなかったんですけど、」

 

天音は頭をかいた。

 

「なんか天音くんの腕を見込んでくれたみたいよ。まあ高野には前にお世話になっていたとは思うけどこうやって違う所属になってもオファーくれるなんて太っ腹だよね、」

 

さくらは笑ったが天音はなんとなく複雑だった。

 

母や伯父が何か手を回してくれたんじゃないかと思った。

 

 

 

「いやそれはないやろ。だってコンクールのピアノ任せてくれるんやろ?他にも高野なら調律師手配できるんやからそれは天音の腕を見込んでくれたんやないか?」

 

兄に電話をしてしまった。

 

「うーん・・。そうなんかなあ。ちょっとさあお母ちゃんに聞いてみてくれない? おれ、なんか情けかけられてるんかなって思うと嫌やわ、」

 

「情けって、」

 

「万が一やで? 償い、とかさ。そんなん思われてたらさあ、」

 

そんな風に言う天音に初音はふっと笑って

 

「おれかて。まあ借金のカタって感じでそっち行ったけど。実際お母ちゃんも伯父さんもほんまにようしてくれて。お金のこと持ちださんとおれが来てくれないって思ったんやろな。ほんまはそんなの二の次で。ウチに何もなしに施しするのが失礼やて思ったんと思う。ちゃんと給料ももろてたし。今思えば。いい経験やったと思う、」

 

優しくそう言った。

 

そんな時天音に高野楽器からコンクールの調律の補佐の仕事が。

ここから運命が少しずつ動きます・・

 

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