なんとか昼過ぎには北都邸に戻ることができた。
「あらあら、まあまあ。全くもうどうしたの、」
初音に抱えられるように帰ってきた真緒にゆかりは呆れたように言った。
「ただの捻挫よ・・。 雪道で転んだの!」
「もう。おっちょこちょいなんだから。ちゃんとスノーブーツ履いて行ったくせに、」
「いや。ぼくが悪いんです。ひとりでさっさと歩いてしまって。真緒さんはぼくに追いつこうとして慌てて、」
初音は申し訳なさそうに言った。
「だから。初音さんのせいじゃないってば。ホントありがとうございました。直帰で戻るはずだったんだけどあたしがこんなだから送ってくれたのよ、」
よっこいしょと椅子に腰かけた。
「申し訳なかったね。忙しい所を、」
リビングに居た北都が彼に礼を言った。
「いいえ。 じゃあ。ぼくはこれで。荷物は玄関に置いてあります。」
時計を見てお辞儀をした。
「ありがとうございました。このお礼はまた・・」
真緒が声をかけると
「いいえ。早く良くなってください、」
さわやかな笑顔で去ってしまった。
「もう。いつも初音くんに迷惑ばっかりかけて、」
ゆかりは真緒の荷物を移動させた。
「なんか。 ドジっちゃうんだよね・・。 初音さんがしっかりしてると思って油断ばっかりしちゃって、」
はあっとため息をついた。
もうあの人にどん底まで見られて。
スッピンも見られて。
でもなんかそれでもいいか、と思えるから不思議。
・・
あたしがこんなに晒してるっちゅーのに、彼はなかなか心開いてくれないなあ・・
お手伝いさんが淹れてきてくれたお茶を一口飲んだ。
「すみません。ありがとうございました、」
玄関に行くとお手伝いの美和子が靴をそろえておいてくれた。
「ありがとうございます。 ・・あ、」
しかもキレイになっていた。
「汚れを拭って下さったんですか、」
「少しだけです。雪で大変だったでしょう。」
年齢は60過ぎほどの婦人でとにかく安心できる笑顔の人。
「真緒さんはちょっとおっちょこちょいなところがありますから。私はあの子が生まれた時からずっと見てるので、」
と笑う。
「いえいえ。ぼくの責任ですから。」
初音は彼女からくつべらを手渡されて笑顔で返した。
「でも。とても素直でいい子なんです。お子様たちのお世話をさせていただきましたけど、奥様からふたつだけ言われたことがあって。」
「ふたつ?」
そのくつべらを彼女に返した。
何とか真緒は帰宅できましたが、初音は北都家のお手伝いさんからある話を聞きます・・
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