せやから。
初音は今。
ここを出るべきなんや
父はカタっと箸を置いた。
洗い物をして戻ってきた赤星に
「なあ。その・・ホクトのお嬢さんと初音はどんな感じなんやろか、」
神妙な表情で聞いた。
「は? 真緒ちゃん?」
初音がグウグウ寝ている場所を避けて赤星がこたつに戻ってきた。
「どんな感じって・・。 うーーん。なんか。長年の付き合いの勘ていうか。なんとなくお互いちょっと意識してんかなあって気もする、」
「やっぱりそうか、」
「やっぱりって?」
「この前ウチにお嬢さんを連れてきたとき。何となく。ええ感じやなあって、」
「うん。それは俺も思う。ただ・・。 あまりにもおっちゃんとおばちゃんの関係に似てるから。初音は絶対に自分からつきあいたいとか言わないと思うわ、」
赤星は宙を見た。
それは。
父も同じように思っていた。
「彼女のことを大切にしたいと思えば思うほど。あいつの性格からすると・・。 つきあえんて思うよな、」
煙草を取り出して勝手知ったる感じで戸棚の隅から灰皿を出した。
「すべて。初音が高野の家に行けば。解決することや、」
父は赤星をものすごい真剣な表情で見やった。
煙草に火をつけようとした手が止まった。
「初音は自分が幸せになったりすることを『罪』やと思ってる。なんとかしてやりたい。」
父親としての思いがヒシヒシと伝わってくる。
確かに。
あの真緒の感じを見ると。
生粋の
『お嬢さん』
という感じで。
気さくな性格ではあるものの、やはり初音とはこれまで生きてきた環境が違い過ぎる。
赤星は煙草に火をつけるのをやめて頭を掻いた。
「これは。難しいなあ・・。 さすがに。」
はあっとため息をついた。
気が付いたら赤星も野々村家のこたつで眠ってしまい、気が付いたらもう朝になっていた。
何とか目を開けて少し起き上がると、こたつにいたのは自分だけで初音の父も初音もいない。
目をこすっているとどこからか初音の声が聞こえた。
「・・うん。そういうことやから。 おれと天音、明日そっちに行くから。・・うん、うん。いや、そんなぎょうぎょうしい感じはええから。シンプルに挨拶っていうか。そんな感じで。」
どこかに電話をしている。
ああ。
お母ちゃんトコか・・
赤星は目だけぱっちりと覚めた。
「・・うん。 じゃあまた電話する。」
電話を切って戻って来た初音はこたつで仰向けに寝転がりながら目を覚ましている赤星に驚く。
「・・びっくりした。目えだけ開いて、」
「お母ちゃん?」
赤星は伸びをしながら起き上がった。
「ん。明日。天音と行ってくるわ。んで。これからはもう天音も誰に遠慮せんでもええからお母ちゃんに自由に会えるような感じにしときたい、」
初音は少し吹っ切れたような笑顔をみせた。
初音と真緒のことは気になりますが、なかなかうまくゆきそうもない予感で・・
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