Aldebaran(13) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

もう気がつけば12時を回っていてとっくに年が明けていた。

 

「なあ。風太、」

 

蕎麦をすすりながら初音の父が言う。

 

「ん?」

 

「・・初音を。助けてやってくれんか、」

 

ふいっと彼を見た。

 

「おれが?初音を?」

 

赤星は少し驚いた。

 

「こいつがこんな性格になってしまったのはワシのせいや。ワシのせいで自分の気持ちを出すことがでけんようになってしまって。とにかく家を支えることと弟を一人前にすることだけでここまで来てしまった。」

 

「初音は。身の回りの世話だけやなくて。天音の躾までしとったからなあ。ウチのお母ちゃんが天音に菓子やって、ボーっとしとったら『なんでありがとう言われへんねん!』ってめちゃくちゃ怒ってたもんな。まだ小学校に上がる前くらい。」

 

赤星は思い出して笑った。

 

 

「小学校の頃、友達と遊び過ぎて帰りが遅うなって。時間守らへんかったって言って寒いときに外に放りだしたりもしとったなあ。ワシのが『もうええやないか』って言うくらい、」

 

父も笑った。

 

「・・それ。高校生の頃やもんな。自分のことだけでも精一杯の時期なのに。弟の躾まで、なあ。それでも試験になると学年でトップクラスやったしな。・・もう『意地』に近かったのかもな。こいつ穏やかそうに見えてめっちゃ負けず嫌いやし。」

 

赤星は蕎麦の汁を飲んだ。

 

「もう。おばちゃんとヨリ戻すとか。そんなんは・・ないん?」

 

そして改まって聞いた。

 

すると父は笑って

 

「ないない。あのあとはもちろん他の人と結婚も考えられへんかったし。向こうだってもう別の人生歩んでるんや。男女の間ってそんな簡単なモンやあらへんやろ?」

 

また蕎麦をすすった。

 

赤星は自分に置き換えて考えてみた。

 

「まあ。なあ・・。ウチの場合は。カミさんはおれやこの田舎を今も憎んでるやろけど。」

 

「有希子も。ワシらのことはともかく。田舎はもう勘弁て思ってると思うで。」

 

「今、田舎に移住とか流行ってるやん?あれも。もともと田舎育ちの人ならええけど。都会育ちでいきなり田舎に移住てなると。最初はええとこやなあってなるけど・・。やっぱ自然の厳しさだけはどうしようもないやん。不便さとか。そんな簡単に田舎に移住するなんてできるんかなあっておれは思う。」

 

蕎麦を食べ終わって赤星は自分の分の器を台所にかたしに行った。

 

彼が食器を洗う音が静かな居間にも響いた。

 

初音をなんとか自由にしてやりたい父。そして結婚が簡単なものではないと赤星もその気持ちを汲み取ります・・

 

 

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