「さすがの初音も。おまえにこのことを打ち明けるのめっちゃ勇気いったと思うよ。決心もつかんかったと思う。自分がした選択でおまえの運命変えちゃったって負い目あったろうし。おれ一生言わないんかなって思ったもん。」
赤星はまだ混乱する天音に対して冷静にそう言った。
「逆に。なんで今言う気になったのかなっておれはそっちのが不思議。」
確かに。
天音は心で思った。
「別に誰も間違ってないんよ。お母ちゃんも。今は東京で元気になったんやろ?ここを出たからこそ、かもしれへんやん。いや初音はおれにはなんも言わんよ?でもなんとなくわかんだよね、」
そんなこと。
弟のおれだってわかってる。
そう言いたかったけれど言葉が出ない。
「ウチの子供死んだときも。初音がずううっとおれのそばにいてくれたし。何言うわけでもないんやけど。とにかくずっといてくれた。離婚ってなった時もなんも言わずに酒持ってウチに来てくれた。昔のアホらしい話一晩中して。笑って。それだけでどれだけ救われたか。」
赤星はそう言ってそばにあったスマホを操作し始めた。
同期したスピーカーから音楽が流れた。
「なあ。このASHURAってアプリ。立ち上げたの初音なんやで、」
そう言ってニヤっと笑った。
「はあ?」
いきなりなんのことかわからなかった。
「ASHURAは高野楽器が出資して作ったアプリ。もともとシンガポールの配信会社のものやったけどそれ買収して。日本人ユーザーに合うように改良した。今や日本で1,2を争う人気音楽配信アプリ。初音が東京の高野楽器に行った時このプロジェクトにかかわっててな。結局概要立ち上げただけであいつ帰ってきてしまったんやけど。今の社長やお母ちゃんに何とかもう少し残ってもらえないかってめちゃくちゃ引き留められたらしい。めっちゃ使いやすいもんな、」
「えええええ???」
それには思わず声が出た。
自分のスマホを取り出す。
ASHURAのアプリは入れてるし、サブスク契約もしている。
「これを?初兄が??」
「アイデア立案は初音やったらしいで。まあアイデア置いてっただけで出て来ちゃったみたいやけど。高野楽器は色んな事業やってるけどレコードやCDが廃れていくのは時間の問題って考えて何とか新しい事業をってことで考え付いたらしい。
今、ストリーミング再生なんか当たり前やん。もうダウンロードの時代でもない。初音は真っ先にそれを見越してたってわけ。あいつほんま天才やな、」
赤星はアハハと笑ったが天音は驚くだけだった。
あの音楽配信アプリの開発に初音が関わっていたと聞いて天音は驚きます・・
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