Betelgeuse(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

そうしたら。

 

自然と初音のスマホに電話ができた。

 

 

「もしもし、」

 

「あ。こんばんわ。今忙しいですか?」

 

「いや、もう夕飯が済んだところです、」

 

遠くにいるはずなのにすぐそこにいるような声で。

 

「今。元ダンナにメールをしてみました。」

 

真緒はクスっと笑った。

 

「え、」

 

「最後に『お幸せに』って。入れられましたよ、」

 

「そう。」

 

初音はふっとほほ笑んだ。

 

「どうあっても一度は夫婦でいたわけですから。なんか憎しみあって別れたくないなあって。もう二度と会うことないって思ってたけど。夫婦であることを解消しただけで。単なる知り合いに戻っただけだし。やっぱり幸せでいてほしいって。やっと思えるようになりました。」

 

吹っ切れたような真緒の表情が目に浮かんだ。

 

「離婚って。したらもう人間失格なのかなくらいに思ってたから。でも家族を解消せざるをえない事情ってやっぱりあります。それまで全く違う人生を歩んできた二人なんですから。間違うことだってあるって、」

 

彼女の言葉がどんどん心にしみる。

 

 

初音。

 

わかってほしい。

 

どうしてもダメなんや。

 

このままだと誰も幸せになれん。

 

全部お父さんが悪かった。

 

お父さんがもっともっと考えなくちゃアカンかった。

 

 

泣きたかった。

 

でも何もわからずぽかんとしている弟を見たら泣くこともできなかった。

 

 

なんで。

 

なんで家族でいられへんの。

 

どんな方法を考えてもアカンの。

 

どうにもならんの。

 

 

 

自分の中で何かが弾けた。

 

 

「初音さん?」

 

ずっと黙ってしまった彼に真緒は不審に思って声をかけた。

 

「あ、ああ。ごめん。 うん、きちんとけじめをつけられてよかった。お互いのために・・」

 

ものすごく上っ面な言葉しか出てこなかった。

 

「・・ごめんなさい。明日早いから。もう寝ます。」

 

そしてこの動揺を彼女に悟られたくなくて自分から終わりにしてしまった。

 

「ごめんなさい。お疲れなのに。じゃあ、おやすみなさい。」

 

真緒は自分ばかりしゃべってしまったことを後悔した。

 

電話を切ったあと小さなため息をついた。

 

 

なかなか近づけない。

 

まだまだ彼が遠くに感じた。

 

 

 

一生。

 

このままでいるのだろうか。

 

 

初音は北風と共に舞ってきた雪を窓から見た。

 

なんだかぞっとした。

 

みんなが。

 

何も我慢せずに幸せになる方法って

 

今からでもあるのだろうか。

 

どうしたら・・

 

ぎゅっとこぶしを握り締めた。

 

離婚から3年経って『真実』を話しにやって来た真緒の元夫の気持ちをかみしめ、ジッと考え込んでしまった。

 

何か心に重いものを抱えて生きるのは。

 

つらい。

 

 

 

 

 

初音にも重い過去がありました。真緒はまだそのことに気づいていません・・

 

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