Departure(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・そんなに。 泣かないで、」

 

奏は困ってしまった。

 

「だ・・って、い・・行きたかった・・、」

 

病院から戻ったひなたはベッドの中でもうしゃくりあげるほど泣いてしまった。

 

「しょうがないよ・・ そんな熱じゃあ。」

 

「熱、なんか・・普段、ぜんっぜん・・熱なんか・・出さないのに・・なんで、なんで今日・・?」

 

鼻をすする音まで聴こえる。

 

「ひな。 大丈夫だよ。 また、きっと二人で行かれる、」

 

「え? それっていつ? カナ・・絶対帰ってこないもん、」

 

逆ギレしたように言う彼女に

 

「いつって。 約束はできないけど。 でも。 絶対行くから、」

 

「そんなあてにならない約束しないで、」

 

さらに泣いてしまった。

 

奏は困ったようにため息をついた。

 

 

 

「んじゃあ。 あったかくしてとにかく寝るようにして。 ななみたちに感染さんようにな、うん。 うん、じゃあな。」

 

志藤はゆうこからの電話を切ってひとつ息をついた。

 

「え、誰か具合悪いん?」

 

志藤のいた休憩室に南が入ってきて自販機で飲み物を買っていた。

 

「・・ひなた。 熱出した。」

 

志藤が明後日の方向を見ながら言うと

 

「・・ひなた・・?」

 

南はぎょっとした。

 

「え? どしたん・・?」

 

焦って彼に縋るように言うと

 

「どしたん・・って。 知らん。 インフルやって、」

 

「うっそ、」

 

南は色んなことが頭に廻った。

 

そんな彼女を横目で見て

 

「・・おまえやな、」

 

冷めたように言い放った。

 

「ハア?」

 

「余計なことしくさって!」

 

志藤はプイっと横を向いて窓の方に行って手にした缶コーヒーに口をつけた。

 

「ちょ、ちょっと。 なによ、それ・・」

 

南は彼を追うように歩く。

 

すると志藤はさらに彼女を睨みつけるように

 

「おまえが。 ひなたと奏の『隠密旅行』を仕掛けた!!」

 

思いっきり指をさした。

 

「へっ・・・」

 

さすがの南もそれに気圧されて一歩下がってしまった。

 

「箱根って。 NCの箱根『ななつぼし』やろ?? 奏がウィーンに発つまであと10日。 そのタイミングでいきなり旅行って。 しかも箱根って。『ななつぼし』は超人気ホテルで予約でいっつもいっぱい。 そんなん手配できるのはおまえしかおらん!」

 

ぎくううううっとした心境が顔に出てしまった。

 

「余計なことすんな! 何考えてんねん! 高校生カップルに宿手配とか! 旅行勧めるとか!」

 

ひょっとして。

 

どこかで密かに聞いてたんちゃう?

 

そう疑うほどあまりの志藤の鋭さに南は呆れそして焦りまくった。

 

ちょっと志藤さん怖いんですけど・・(*_*)

 

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