To my beloved(12) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「じゃあ。 ぼくは仕事に出かけますね・・」

 

葦切は心配そうにさくらとさくらの父を見やった。

 

「いってらっしゃい。 こっちのことは気にせずに。 お仕事頑張ってくださいねー」

 

さくらは上機嫌で見送ってくれたが

 

葦切は一抹の不安がよぎった。

 

「お義父さんはよかったら泊まって行ってください、」

 

「よかよかー、ホテル取っておくばい。 おれがおってもな、どうせ役にも立たんばい、」

 

「いや、そうおっしゃらず、」

 

「ま、せっかく来てくれたんだし。 孫の顔でもゆっくり見ればよか。 ええよ、泊まっていけば。」

 

「おまえに言われると腹が立つのう!」

 

とにかく寄ると触るとこのような状態になってしまい、葦切はハラハラした。

 

 

 

「今、ぐっすり寝とるけん。 おまえも寝ておけ、」

 

お腹がいっぱいになってスヤスヤと眠っている一楓を見て、父はさくらに言った。

 

「・・じゃ。 泣いたら起こして、」

 

さくらはやや気まずそうに寝室に戻った。

 

 

もー。

 

お母さんもお父さんよこすなら一言いうてくれてもええのに。

 

全く、気を遣う・・

 

さくらはため息をついた。

 

 

そう言いつつさくらはまたも爆睡してしまった。

 

ふっと気づくと何やらいい匂いが漂ってくる。

 

起き上がってリビングに出て行くと、父がキッチンで料理をしていた。

 

「え!」

 

思わず驚いて声が出てしまった。

 

「まだよう寝とるぞ、」

 

父は一楓を見やった。

 

冷蔵庫にあった食材で食事を作ってくれていた。

 

「・・お父さん・・ 料理なんか、できっと?」

 

ちょっと信じられなかった。

 

「若い頃はヨソの旅館に修行に行って、厨房のこともやったりしとった。 今は必要ないからやらんだけや、」

 

ここへきて

 

父の意外な一面ばかりを見せられていた。

 

とにかくもう

 

昭和のオヤジそのもので、家にいるときは右にあるものを左に動かすことさえせず

 

家事なんかするのももちろん見たことがない。

 

仕事仕事で子供たちのことは母親やお手伝いさんに任せっぱなしで、学校の行事にも顔を出したこともない。

 

さくらは大皿に出来上がっていたきんぴらごぼうをひょいっとつまんで食べた。

 

「・・うまっ・・」

 

「こら! 行儀わるか! いい年こいて! 産後はカルシウムや食物繊維や鉄分をたくさん採るとよか。 あとはじゃことくるみの甘辛煮。これはサラダにかけて食べるとうまか。 ほうれん草のおひたし、ひじきの炊き込みごはん。」

 

「なんね、こんな特技隠しとったん?」

 

「隠すもなにもなか。 もう文句言うとらんと。 明日の分の食糧買い物に行ってくるけん。 近くに買い物するとかあるんか?」

 

火を止めて手を洗った。

 

「・・歩いて10分くらいの所にスーパーが・・」

 

「ちょっと行ってくる、」

 

出て行こうとする父に

 

「あ!」

 

思わず呼び止めた。

 

「なん?」

 

「・・ポイント入れて来てくれん?」

 

さくらは自分の財布からカードを取り出した。

 

「なんね、もう・・ みみっちい・・」

 

ブツブツ文句を言いながらもそれを持って出て行った。

 


さくらと父は相変わらずです・・

 

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村

 



恋愛小説ランキング

 

↑↑↑↑↑

読んでいただいてありがとうございました。よろしかったらポチお願いします!

 

 

 

 

 

  で過去のお話を再掲しております。こちらもよろしくお願いします。