To my beloved(13) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「アハハ、お父さんが。」

 

電話の向こうの母は呑気に笑っていた。

 

「もー、なんなん? 気持ち悪いんですけど、」

 

さくらはさっそく父のことを母に相談した。

 

「お父さん、けっこう一人で何でもできる人なんよ。 でもそういうの人前で見せん人やし。 あたしがおらん時なんか一人でご飯作って食べたりしてるんよ。 九州男児やけんね、あんまりやってる所は見られたくないんよ。」

 

「けっこう美味しいのよ、それが。今も買い物行っとる、」

 

「お父さん、あれでもあんたのこと心配してたんよ。 赤ん坊の世話でパニックになってなんもでけんようになるとか言うて。 あたしが出産予定日頃に予定していた用事を前倒ししたもんやけん、逆にすぐに行かれんてことになったら、『おれが行ってくる』言うて。」

 

「出張とか言うてたとよ、」

 

「ああ、後付け後付け。 孫の顔見たさと、あんたのこと心配すぎてどうでもいい用事作ったと。 銀座にある昔の友達がやっとる店がね、開店20周年記念や言うて。最初は花だけ贈るって言うてたのに、急に顔出すって言いだしただけ。」

 

あまりにタイミングの良すぎる出張に、そんなこともあろうかと予測はしていたものの。

 

「まあ、ここは甘えて。 いろいろやってもらいなさい。 産後はのんびりしてるのがよか。 夜もなかなか眠れんけんね。 今のうちに体力を回復して。 ・・無痛分娩。 できなかったとやろ?」

 

母の意地悪な顔が目に浮かんだ。

 

「もう病院の先生が驚くくらいの超安産やったとよ! あんなに楽なんやったら、まだ2人くらい産めそうや!」

 

さくらはわざとそんな風に言ってしまった。

 

「あらあら。 もう若くないんですから。 身体大事にしてください~。 じゃあ、あたしは来週になったら行くから。 赤ちゃんの写真、もっともっと送っておいて~~。 みんなに見せびらかしたか、」

 

相変わらずの母だったが

 

父も母も自分のことを心配してくれていることはしみじみ感じた。

 

 

電話を切ると、一楓が泣き出した。

 

「あ~、よしよし。 おっぱいかな・・。 子供が泣くと焦る・・」

 

ベッドから抱き上げた。

 

 

「アホ! こうやって手で頭を押さえっと! 耳に水が入ったらどげんすっとか!」

 

「え~? なにそれ・・」

 

「交代せえ! もう見とられん!」

 

「ちょっと! 乱暴にひっくり返さないでよ!」

 

「こうやって胸を支えてやりゃだいじょぶや。 ほら、おとなしくしとろうもん、」

 

「怖くて震えてるわよ!」

 

「赤ん坊はこの前まで羊水の中におったけん。 こうやってぷかぷか浮いてると安心すると、」

 

父は一楓の沐浴まで嬉しそうに担当していた。

 

なんやかんやで父はさくらを心配して・・

 

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