Autumn shower(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

また。

 

きゅーーーっとおなかが張って来た。

 

さくらはお腹の子を宥めるように少し苦しそうに撫でた。

 

目の前の瑠依があまりにも落ち込んでいる。

 

だんだんと純太に似てくるのではないか、と悩んでいる。

 

「・・ねえ、」

 

思い出したように瑠依は顔を上げて

 

「さくらちゃんは。 おれと、この人。 似てると思う?」

 

純太の写真を指差して言った。

 

「え、」

 

おなかをさすりながら一瞬言葉に詰まった。

 

正直。

 

この写真を見た時に、もちろんすぐに嵯峨純太とはわからなかったが

 

瑠依かと思ってしまった。

 

そっくり、というわけではない。

 

それでも何となく、何となく似ていた。

 

男の子は成長すると女の子よりも顔が変わる。

 

弟の大我は子供の頃は母親似だと思っていたが、久しぶりに実家に帰って会ったりすると

 

どんどん父親に似てくるな、と思っていた。

 

どこが、というのではないが

 

体つき、顔つき。

 

ふとした時の仕草、など。

 

ひとことでは言い表せないところが。

 

 

さくらは焦って

 

「・・似てないよ、」

 

ときっぱりと答えた。

 

瑠依はジロっと彼女を睨んで

 

「気ィつかわなくていいから。 ホントのこと言って、」

 

全く信じないようにため息をついた。

 

しかしさくらはかぶせ気味に

 

「似てないって言ってんじゃん。 素直に聞きなよ、」

 

逆ギレするように言った。

 

「・・その人がこの写真持ってきた時から。 もう毎日毎日このことで頭がいっぱいになって! サックスどころじゃなくて! いや、おれはそもそもサックスをやってていいのか?とか! ・・新年度になってから・・学校も行ってなくて。」

 

「え?」

 

「星野先生に相談して。 少し休んで日本に帰るって言って。 ・・でも。 こんなこと父さんや祐美さんにも言えないし。 でも、日本に・・帰りたくて、」

 

いつもは年よりも大人びていて、ものすごくしっかりしている瑠依が

 

小学生の男の子のような頼りなさになっている。

 

さくらはおなかをさすりながら

 

「・・あたしに。 会いに来てくれたの?」

 

彼にそう言った。

 

 

「さくらちゃんしかいねえじゃん。 こんなこと相談できるの。 さよちゃんだって・・このことは知らない。 でも。 さくらちゃんに会って、いったいおれは何を言いたいのかも・・よくわかんないし。」

 

ため息をついて頭を掻いた。

 

「それなら。 あたしにはひとつしか言えることないよ。 ・・似てない!」

 

さくらは少し彼を窘めるように強めに言った。

 

「・・だから・・さあ、」

 

「だからもなにもない! 似てないって言ったら似てないの!! 耕平さんがあんたをどれだけ愛してきたか! 今のあなたたちしか知らないあたしでもわかる! 何を迷っているの! 純太さんに似ていようが似ていまいが。 そんなこと関係ないよ! あんたのサックスが。 今は耕平さんと祐美さんの光だよ? そりゃ複雑な思いはあったかもしれない。でも。 今は本当に嬉しいとおもうよ。 こんなことで放り出さないで! たとえ・・耕平さんと祐美さんが・・あんたに純太さんを重ねたりすることがあっても。 あんたはあの二人の子供に違いないでしょうが! こんなに幸せなのに! 愛されてるのに! 何が不満か!!」

 

さくらのボルテージはどんどん上がって行った。

 

さくらは瑠依の心情を激しく否定します・・

 

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