Autumn shower(13) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

コーヒーカップを取り出しているとき

 

「・・あいたた・・」

 

さくらはおなかを抑えて顔をしかめた。

 

「どうしたの?」

 

瑠依は慌てて彼女に近づいた。

 

「あ、大丈夫。 おなか張ってるだけだから。 出産が近づくとよくあるんだって。 少し休めば治る。」

 

「もー、ほら。 座ってなよ。 お茶くらい自分で淹れるよ、」

 

瑠依はさくらをソファに座らせた。

 

「おなか張ってるって。なに? 陣痛とかじゃないの?」

 

「や、陣痛とは違うみたいよ。 ホントもうおなかが重くて夜もよく寝れないし・・。 早く出てこないかなあ、」

 

「買い物とかある? 行ってきてやるよ、」

 

「今のところ大丈夫。 それより祐美さんの所にもちゃんと顔出して。」

 

「わかってる。 あとで行くよ・・」

 

瑠依は代わりに自分の分のコーヒーとさくらの分のほうじ茶を淹れてきた。

 

「さよちゃんにだって、」

 

小和の名前を出されて

 

「・・祐美さんにも。 さよちゃんにも。 帰ること言ってないから・・」

 

瑠依は気まずそうにつぶやいた。

 

「・・どしたの?」

 

その様子が普通ではない気がした。」

 

「どうって。 わけでもないんだけど。」

 

歯切れが悪く、彼らしくなかった。

 

「学校、大変なの? 大丈夫?」

 

「まあ。 うまいヤツらばっかでさ。 言葉の方は・・ヒアリングはまあまあいける。 しゃべるのも慣れてきたし・・カタコトっぽいけど。会話はできる。」

 

瑠依はコーヒーを口にした。

 

母親や恋人の小和にも言わずに突然帰ってきたことが普通ではない気がした。

 

 

「なんか。 ちょっと大人っぽくなったね、」

 

さくらは優しく言った。

 

「は? てか。 前からすでに大人だし、」

 

「いやいやいや。 会ったばっかりの頃はさ。 まだ・・高校生に毛が生えたくらいな感じだったよ。」

 

瑠依はカップをソーサーにかちゃりと置いた。

 

「・・顔つきも。 変わったかな、」

 

自分の頬に手を当てた。

 

「変わってはいないけど。 少年から男になっていく変遷ってあるじゃない。 男の子は精神的には大人になるのがゆっくりな感じでもあるけど、少し見ないと見た目は劇的に変わるしね。」

 

何気ないさくらの言葉だったが瑠依は押し黙ってしまった。

 

明るくて、おしゃべりで。

 

そんな彼との会話が続かない。

 

「もー。 どうしたのよ。 なんか悩んでんだったら、言ってみ? てか、ホントならお父さんかお母さんに言うことなんだろうけども、」

 

性格的にウジウジしていることが嫌いなさくらはこの状況に思い切って言った。

 

すると瑠依はふっと顔を上げ

 

「・・親に。 言えないこともあるだろ、」

 

見たこともないような鋭い視線を向けてきた。

 

果たして瑠依が帰国してきた理由は・・

 

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