「無理を言ってすみませんでした。 でも少しホッとしました、」
昼休み葦切はさくらの母に電話をした。
「いいええ。 あん子は子育ての大変さを全くわかってないんですよ。 こっちの仕事もあるにはありますが、長くいる従業員もたくさんいますし、みんな理解してくれてます、」
「そうですか。・・で、お義父さんは・・」
実はそこも気になっていた。
「別に。 『ああ、そうか。』って言っただけで。 さすがに年末年始は忙しいですけど、この時期なら少しは。 お父さんも実は心配しとるんですよ。 さくらは勉強はできましたけど、頭でっかちなもんですからきっと赤ん坊が生まれたらわけわからなくてヒステリー起こしかねませんからねえ。 出産も『無痛分娩』? とか? それで産むとかなんとか言うて。 大丈夫なのかって聞いても『そんなもん今じゃみんなやってるわ。 あたし痛いの絶対に嫌やけん、』とか笑っちゃって。 アレ絶対なんかのバチ当たるんやなかと思ってます、」
相変わらずのさくらの母の感じに思わず笑ってしまった。
「さくらさんの同級生が同じ病院で無痛分娩で2回出産したって言ってたので。 まあ大丈夫だと思いますが。 バチが当たっても困るんですけど、、」
「まあ外に出て犬のフン踏むくらいやと思いますけど。 とにかく生まれたら連絡下さい。 まだ生まれそうもないとかなんとかいうてましたけど。 出産ナメとりますから、注意してやってくださいね、」
「・・はい、ありがとうございます。」
笑いをこらえながら返事をした。
「さくらちゃん幸せだよー。 ほんまにみんな心配してる、」
仕事の途中、さくらの自宅に寄った南はおみやげのプリンを食べながら言った。
「なんかさ、あたしも男性の育休のことよくわかってなかったなって。生まれたらただ休んでもらえばいいって思ってたけど。 人それぞれ事情が違うもんね。 なにより。 長い目で見て子供が病気したりした時に気兼ねしないでお休みできたりする方が大事って感じやもんね。 いちおう専門家に意見聞いたりして真太郎とどうやって導入したらいいかって話してたんやけど。 要は一緒に仕事してる仲間と育休を取る社員の相互の理解だよね。 斯波ちゃんトコも二人目考えようかって言ってるみたいなの、」
「そう、」
さくらはしみじみしてしまった。
「葦切さんってほんまにすごい人やなって思った。なかなかあんなデキたダンナいないよ。」
そんな風に言われて
「いや~~、そうかなー、」
さくらはそう言いながらも嬉しさが隠し切れなかった。
さくらも取りあえず実家の母に手伝いを頼むことになりました・・
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