「斯波が。 こんな風に考える男になるなんて。 全く想像できなかったしな、」
志藤はふっと笑った。
「・・なんスか、いきなり。」
斯波は少し恥ずかしそうに視線を外した。
「自分が今までしてきたどんな経験よりも。 『子育て』の経験って尊いよなって思う。 人間育てるって。 すごいなって思う。 人として、やなくて、親として成長させてもらってるって感じ。 子供って自分の所有物のような気がするけど・・ 自分の遺伝子を受け継いだ全くの別モノやからな。 意思を持ち、親がこうしてほしいと思っても言うこときかへんし。 結局のところ難しいことを子供に教えるんやなくてただただ『愛』をあげればええんやなって。 『愛情』だけ与えてればいいんやなって、」
志藤の言葉は深かった。
「男は金だけ稼いでくればいいって時代は終わった。 ヨメだって稼いでるんやから。 したら、やっぱり男も子育てするっきゃねえだろって。仕事できる間なんて限られてる。 家族は一生や。 だから。 ヨメさんも、子供も。 大事にしていかないとアカン。」
「なんか志藤さんが言うと。 思わず納得してしまいますね、」
玉田は笑った。
「おれが家事手伝うと美咲は文句ばっかり言うんですよ・・ 風呂掃除がなってないとか。 この前もおれが遅く帰ってきてめっちゃ疲れてたんで、飯食ったあとシンクに食器置いておいたら、次の日の朝『茶碗に水を入れておいてくれないと、カピカピになって落ちないでしょ!』って烈火のごとく怒るんですよー。 え~? それも? って感じ、」
八神はやや不満そうに言った。
「それは。 できれば洗っておくってのが一番いいわけで。 カピカピのまま置いておいたら怒るよ~、」
玉田は彼の背中をぽんと叩いた。
「結局さ。 家事の主導権は美咲にあるわけで、おれにやってくれって言うんならおれのやり方でやらせてほしいんだよね。 自分の思うとおりにいかないからって怒れるのもなんか腹立つんだよね、」
八神はさらに口をとがらせる。
「おまえと美咲ちゃんには『遠慮』がないからなー。 」
志藤も笑った。
「そういうのは。 各家庭で何とかしてくれ。 家事も子育ても、ヨメを『手伝う』んじゃなくて。 自分が『やる』って思えば。」
斯波は冷静にそう言ってまた仕事に掛かり始めた。
葦切はそんなみんなの様子をいつものように穏やかに見ていた。
夫の子育てとは、をみんなが考えます・・
↑↑↑↑↑
読んでいただいてありがとうございました。よろしかったらポチお願いします!
で過去のお話を再掲しております。こちらもよろしくお願いします。