Autumn shower(3) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「ホントはもっともっと前から言っておけばよかったんやけど、この件に関しての討議が後回しになっちゃって。 逆に葦切さんには迷惑かもしれないけどー」

 

南は小さくため息をついた。

 

「篠宮さんも葦切さんもご実家が遠方ですし、なかなか頼れる人もいないでしょう。 保育園も探すのが大変らしいですし・・」

 

真太郎はあくまで葦切夫妻を気遣った。

 

「さくらさんのお母さんが産後こちらに来てくれると言ってくれたらしいんですが、彼女が断ってしまったらしくて。」

 

葦切は困ったように言った。

 

「もし。 さくらさんのお母さんの事情が許せば。 お母さんに来てもらうことが一番だと思ってました。 なんか・・彼女は大丈夫って思っちゃってるんですけど、実は心配で、」

 

「さくらちゃんってわりと物事を軽く考えるタチだよね・・」

 

南は彼女のこれまでのいろいろを思い出しているようだった。

 

「ぼくは。 瑠依の時に新生児を育てる大変さを思い知りました。 元妻も実家の方とうまくいってなかったので、ぼくの母が1週間だけ青森から来て手伝ってくれたんですけど、正直1週間で楽になるわけでもなんでもなく。 ぼくも元妻も若くて全く子育てに関して無知だったし、本当に大変でした。 さくらさんは・・甘く見ていると思うんですけど・・ あの通りの人なので、ぼくがいくら言っても聞いてくれなくて。」

 

「じゃあ。 なおさら葦切さんが育休を取ってあげたら、」

 

真太郎はそう言ったが

 

「でも。 今の事業部は。 ぼくが長い休みを取るわけにはいかないんですよ。 南さんや社長のお気持ちは嬉しいです。 斯波さんも心を鬼にしてぼくに育休を取るように言ってくれてます。 確かに男性も育休を取って行くという社会の風潮はあるんですが。 ただ取ればいい、というのも・・少し違う気がするんですよ、」

 

普段は無口でニコニコしている葦切が珍しく声を張った。

 

「誰がいつ育休を取っても大丈夫、という体制を常日頃から作っておくことが大切だと思います。 子供は新生児も大変ですが、もっと大変なのは少し大きくなって保育園に入るようになってからです。 とにかく。 1カ月の間に何度も何度も風邪を引いて熱を出したり、冬にはインフルエンザに罹ったり。 そうなるともう妻が休んで子供の面倒をみなくてはなりません。 東京シンフォニックの事務局にいた時は無理を言ってぼくも子供のことで休ませてもらいました。 当時はまだまだ夫が育休を取るなんて夢みたいな時代で・・正直よく思われなかったと思いますが。妻の方にも仕事があります。彼女だけ休ませて会社から白い目で見られるのは・・」

 

葦切は視線を手元に落とした。

 

20数年前瑠依の子育てをしてきた葦切ならではの視点を真太郎らに訴えます・・

 

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