Prima Stella(3) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

奏は家の前まで送ってくれた。

 

「中、入る?」

 

涼太郎が言ったが

 

「ううん。 帰る。 じゃあね、」

 

奏は小さく手を振った。

 

「・・ありがと、」

 

少し照れくさそうに涼太郎も笑顔で手を振った。

 

 

 

「涼・・。 カナは?」

 

ひなたは帰ってきた涼太郎に心配そうに聞いた。

 

「そこまで来たけどー・・。 帰る、って。」

 

「まあ・・ 悪いことしちゃったわね、」

 

母も申し訳なさそうに言った。

 

「ごはんは?」

 

「奏くんがファミレスで奢ってくれた、」

 

「え~? もう、しょうがないなァ、」

 

「電車の中で、宿題も教えてくれた。」

 

「あんたはどこまでカナに迷惑かけてんのよ、」

 

ひなたはポンと涼太郎のおしりを叩いた。

 

 

奏は帰りの電車の中で、メールを打っていた。

 

何度も考えながら

 

打ち直しをしながら。

 

 

この日も志藤が帰ってきたのは11時過ぎで、ひなたを除いた子供たちはもう眠ってしまっていた。

 

「あーー、疲れた。」

 

ネクタイを緩めてリビングの椅子にドカっと座った。

 

「あの。 今日涼太郎が・・」

 

食事を運んできたゆうこが事の顛末を話そうとした時

 

「・・さくらちゃんとこ行って。 奏に送ってもらったんやろ?」

 

志藤から言ってきた。

 

「え、なんで知ってるんですか、」

 

「奏からメールもらったから・・」

 

味噌汁をすすった。

 

「奏くんから?」

 

「ん。 この前のケンカ。 ひなたが電話してて丸聴こえだったらしい・・」

 

「え! ホント?」

 

ゆうこはあのケンカの内容を思い出して焦った。

 

「涼がピアノやめたいって言ってたことも。 自分より奏のが大事なんだって言ったことも。 全部聞こえてたらしい、」

 

小さなため息をついた。

 

「なんで涼が奏のところに行ったのか。 ・・奏からのメールに、」

 

志藤は奏からのメールの文面を思い出していた。

 

 

 

涼太郎くんから

 

パパを返せ、と言われると思っていました。

 

でも、そんなことは一言も言わず、ただただお父さんに喜んで欲しくてピアノを弾いていたい、という感じでした。

 

本当にピアノをやめたいわけではないだろうし、お父さんのためにピアノをやっているわけでもないのでしょうが

 

お父さんの傍にいたい、ということだと思いました。

 

ぼくがお母さんと二人だった頃、本当に寂しかったけれど休みの日はお母さんがつきっきりでピアノを教えてくれました。 ピアノを教わるのが楽しい、というより。 ずっとお母さんがそばにいてくれることが嬉しかった。 本当に、それだけでした。

 

涼太郎くんは志藤さんがぼくを教えることが仕事だ、ということもわかっているのだと思います。

 

でも

 

傍にいてほしいんだと思います。

 

 

長いメールだった。

 

その一語一語を志藤は噛みしめるように読んだ。

 

志藤は奏からのメールを読んでジッと考え込みます・・

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