Take a chance(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

そこでひなたは我に返って

 

「ご、ごめん・・。 涼とパパがめっちゃケンカしちゃってて・・。」

 

慌てて電話の向こうの奏に言った。

 

「・・・」

 

二人の口論の内容が丸聴こえで、奏は何も言えなくなってしまった。

 

「最近、涼も反抗期って言うか。 ママにすぐ当たったり、こころや凛を泣かせたりするの。」

 

「・・大丈夫・・?」

 

「うん。 いつもケンカしてもすぐケロっとしてるから。 平気。 パパもたまに早く帰ってきたと思ったら、コレだし・・もー、」

 

 

ひなたはそうフォローしたが、奏は自分のせいで二人がケンカになっているような気がして

 

いたたまれなかった。

 

 

「発表会、約束したのに・・。 急に行かれないって言い出すから、」

 

ゆうこがぽつりと言うと

 

「仕事。 別に遊びに行くわけやあらへん。 ・・ピアノも無理にやらせることない。 やめたかったらやめさせろ、」

 

志藤はネクタイを緩めながら、不機嫌そうにそう言って洗面所に向かってしまった。

 

 

 

「・・奏くんを教えているのは。 パパの仕事でしょ。 それは涼とはちがうよ、」

 

部屋で泣いている涼太郎をななみが慰めた。

 

「ちがう! おれより、奏くんのが大事なんだ!」

 

涼太郎は机に突っ伏して聞く耳を持たない。

 

「・・おれは。 奏くんみたく才能ないし。 ピアノやっててもパパ、喜んでくれないし。 発表会だって・・見に来てくれたこと1回くらいしかないし、」

 

ななみはそんな弟に

 

「パパが喜んでくれるからピアノやってたの?」

 

と優しく言った。

 

すると泣き声がピタっと止んだ。

 

「涼、ピアノが好きだからやってると思ってた・・」

 

ななみの素直な疑問に涼太郎は何も答えられなかった。

 

小学校6年生になって、わりと素直でおとなしい涼太郎だったが

 

ここのところわけもなくイライラし、姉たちや妹弟にもケンカをふっかけたり

 

そのことで母にこっぴどく叱られたりしている姿をよく見ていた。

 

これがいわゆる男の子の

 

反抗期

 

なのだな、とななみは感じていたのだが

 

とうとう父相手に爆発してしまった。

 

仕事のことは家にあまり持ち込む父ではないが

 

奏の才能に夢中なことは、何となく子供心に伝わっていた。

 

涼太郎の気持ちもわかるし

 

父の思いもわかる。

 

ななみは小さなため息をついた。

 

 

翌朝も涼太郎の不機嫌はおさまらなかった。

 

「行ってらっしゃい。 車に気をつけてね、」

 

妹弟たちよりも先に家を出た涼太郎は母のその声に振り返りもせず出て行ってしまった。

 

「まったく・・」

 

ゆうこは肩を落とした。

 

父は自分より奏の方が大事、と思う涼太郎でしたが・・

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