You alone(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

夕飯を終えた頃。

 

「ハイ。」

 

真尋宅にカタリナがやってきた。

 

「カタリナ、」

 

マリーは少し驚いた。

 

「この前、マリーに会ったら。 エリサたちにも会いたくなっちゃって、」

 

「真尋は昨日からパリなの。 ごめんね、」

 

絵梨沙は彼女に珈琲を淹れてきた。

 

「忙しいのね。 相変わらず。 ホント、大人気ピアニストになっちゃったね。 マサは、」

 

絵梨沙は彼女たちと駆け抜けた日々を思い出す。

 

まだまだ若くて、シェーンベルグ先生と出会い真尋にたくさんのことが訪れて。

 

ほんの数年のことなのに、何十年分の年月を過ごしたかのようだった。

 

奏がリビングに降りて行くと

 

「あー。 この間の。 コンニチワ。」

 

カタリナは笑顔で挨拶をした。

 

「あ、ええっと・・ Guten Abend・・」

 

つたないドイツ語であいさつを返す。

 

「Sehr gut.  ジョウズ、」

 

カタリナは笑った。

 

マリーは彼女の前に座って

 

「もう一度だけ。 聞かせて。」

 

とカタリナに言った。

 

「え?」

 

「どうして。 パパと別れたの?」

 

彼女の真剣なまなざしにカタリナは少し驚いた顔を見せそして微笑んだ。

 

「大きな理由はないのよ、」

 

そしてコーヒーカップに口をつけた。

 

「え、」

 

「なんでだろう。 ホント、レオは優しくて思いやりがあって。何よりマリーをものすごく大事にしていて。 とても尊敬できる男性。 私にもとても優しい人だった。」

 

「じゃあ。 どうして?」

 

「年が15離れていて。 少しずつ少しずつどちらかが無理をして相手に合わせているなってわかってきて。 その頃私もデザインの仕事についてとても余裕がなくなって。 彼のことを考える時間がだんだんと少なくなった。 嫌いになったわけでもなんでもないのよ。 彼と結婚したいなって思ったこともあった。 でも。 不思議に・・何となくわかるのよね。 お互いにそういう気持ちから離れていってしまったことが。」

 

カタリナは静かに語り始めた。

 

マリーは二人の間に決定的な『何か』があったとずっと思いこんでいたので、彼女の話はとても意外だった。

 

「・・あたしの、こととか。 それが原因じゃなかったの?」

 

「え? マリーのこと? ううん。 全然。 マリーは私に懐いてくれたし、私もマリーのことがとてもかわいかった。 もしマリーの母親になれるのだとしたら本当に嬉しいことだと思ってた。 でも。 やっぱりね。 一生家族として暮らすって考えると、あたしはちょっと無理かなァって思ってしまって。 たぶんレオもそう思ったと思うの、」

 

カタリナはあっけらかんと言った。

 

「ハ・・」

 

マリーは何だか力が抜けてしまった。

 

そして

 

「ハハ・・・、なんだ・・」

 

そして、笑ってしまった。

 

父とカタリナが別れた理由は、マリーが思い悩んでいることではありませんでした…

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