Träumerei(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

さくらはそっと葦切の肩に手をやった。

 
そして、そっとどちらともなく
 
唇を寄せた。
 
「もう・・あなたでいっぱいすぎて。」
 
そして吐息で彼にそう言った。
 
もう恋なんてこりごりだって、思ってた。
 
当分、男なんかどうでもいいと思ってた。
 
だけど
 
やっぱり求めてしまう。
 
 
 
「・・今度は。 『桜』が満開になったら…、また見に行きましょう、」
 
丘を降りてゆきながら
 
葦切はさくらの手をぎゅっと握った。
 
「夏生まれなのに。 なんで『さくら』って名前なのか。 小学生の頃親に聞いたことがあります。」
 
さくらはふと笑った。
 
「母親が桜の花が大好きで、どうしても女の子が産まれたら『さくら』にしたかった、って言うんですけど。 『桜』はパッと咲いてサッと散ってしまうって父は反対したらしいんです。 でも母は、『一度でもパッと咲けば、人生それでいい』って。 強引に決めてしまったようです。」
 
「ぴったりですね。 さくらさんに。」
 
「どういう意味ですか?」
 
さくらは彼を小突いて笑った。
 
「耕平さんは、名前の由来はなんなんですか?」
 
「・・いや、代々うちは海の仕事の家でしたから。 逆に『耕す』という字を使ったと言っていましたけどー」
 
そう言ってから、ハッとしてさくらを見る。
 
さくらはそんな彼の様子に
 
「え? なんですか?」
 
と、聞き返す。
 
「・・いえ、」
 
すーっとそのまま視線を前に移した。
 
耕平さん・・
 
彼女から初めてそう呼ばれた。
 
もうすごい勢いで二人の間が接近しているのがわかる。
 
急に心臓がどきどきと音をたてはじめた。
 
「ここまで梅の香りがしますね・・」
 
本当に彼女の横顔がきれいで。
 
このまま近づいて行っていいのか、と戸惑うほどだった。
 
「耕平さん、おなか空きません? もうお昼過ぎましたね、」
 
かぶせて彼女がそう言ったので
 
「・・わかってて。 言ってるでしょう、」
 
葦切は思わず立ち止まって言った。
 
「え?」
 
さくらはいたずらっぽく笑った。
 
「なんですか? 耕平さん、」
 
そう言ってずいっと顔を近づける。
 
「悪い人ですねえ、ほんと。」
 
「耕平さんの困った顔を見たくて。 つい・・意地悪をしてしまう・・」
 
そう言う彼女の顔をチラっと見て、思わず額に手を充てた。
 
「・・もう。 それ以上は勘弁してください・・」
 
「また。 困ってるんですね…。 その姿が。 かわいいです、」
 
さくらはさらにおもしろがって彼の腕を取って嬉しそうに笑った。
 
お互いの気持ちを確かめ合う二人・・
 

奏の登場はこのへんから→

 

奏が北都家に下宿するいきさつからさくらとの出会いはこのへんから→

 

お話が長くなっております。よろしかったら読んでやってください・・

 

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