Everlasting(18) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

枯葉もきちんと片づけて


陸はしゃがんでゆっくりと目を閉じて手を合わせた。



母が死んだ時まだ高校2年生の17歳だった。


母と共に暮らした年月の倍以上を過ごしてしまった。



心筋梗塞であっという間に亡くなってしまって


最期の言葉なんかももちろんなかった。



もし


母が最期の言葉を残せるとしたら


おれに何て言っただろうか。



自分が母の本当の子供ではない、とわかってから


そのことばかり脳裏に浮かぶ。



本当のことを


自分に話しただろうか。



静かに目を開けた。



いや。


きっと母は一生このことをおれに知らせることはなかっただろう。


絶対。


そういう人だ。



じっと墓の前で動かない陸に


「陸?」


南が不審に思った。



「・・おれ。 お母ちゃんが喜ぶようなこと。 なんもでけへんかった、」


そう言った後


つぶった目から涙が零れ落ちた。


「ほんまのこと今も知らなかったら・・お母ちゃんのありがたさも大きさも。 こんなに感じること、なかった。 だって。 ダンナの憎い愛人の子供やで。 普通やったら・・顔も見るのも嫌なはずやん。 でも、お父ちゃんより、おれをとったわけで。 なんでそこまで思えたんやろって、」


手で涙をぬぐった。


「・・陸、」


「お母ちゃんのこと。 幸せにしてやりたかった、」


そう言って泣く弟に南もホロっときてしまい


震える声で


「もー、あんまりそんなん言うと。 紗枝ちゃんにどこまでマザコンやねんて思われるよ、」


わざとふざけたように言って彼の背中を小突いた。


紗枝はそんな彼にふっと笑って


「ええやん。 マザコンでも。 ウン、亡くなったお母さんの話聞くたびにな。 この人ほんまにお母さんが大好きなんやなって思ってた。 お母さんの影をずっと求めてきたんやろなって。」


優しくそう言った。


「若い子やったら。 そうそう受け止めきれへんで。 このマザコン具合は。」


そして明るく笑った。



「確かに、」


南はハンカチで涙をぬぐって


やっぱり笑った。



マザコンだって許せてしまう。 それが年の功と言えるのかもしれません…(^_^;)




人気ブログランキングへ


↑↑↑↑↑↑


読んで頂いてありがとうございました。

ポチっ!わんわん お願いします!